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ジョニー・デップの役者道「自分という道具箱を持って仕事場へ」【オンラインインタビュー】


 米俳優のジョニー・デップが、全編でフランス語のせりふに挑んだ映画『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人』が2日から全国公開されている。ORICON NEWSでは1月下旬にオンラインでジョニー・デップにインタビューを実施した。

ジョニーデップ=「第76回カンヌ国際映画祭」(2023年5月17日撮影)にて(写真:AP/アフロ)

ジョニーデップ=「第76回カンヌ国際映画祭」(2023年5月17日撮影)にて(写真:AP/アフロ)

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 本作のタイトルロールであるジャンヌ・デュ・バリーは、池田理代子の不朽の名作漫画『ベルサイユのばら』にも登場する実在の人物。18世紀のフランスで、59年間の長きにわたり国王に在位したルイ15世の最後の公妾としてその名を残した。類い稀な美貌と知性、奔放な性格によって、娼婦の身分から社交界に進出し、ルイ15世を一瞬で魅了した彼女は、ヴェルサイユ宮殿を牛耳っていたとも言われ、さまざまなスキャンダラスな事件、マリー・アントワネットとの確執なども伝わっている。

 庶民から国王の公妾への階段を駆け上がったジャンヌ。そのプロセスは戦略的でありつつ、本能に従った結果でもあった。国を揺るがすほどの大胆なラブストーリー、人間関係を経験しながら、彼女は何を求め続けたのか。

 ジャンヌ役で主演を務めたのは、本作の立案者で監督を務めたマイウェン。絶世の美男とも伝わるルイ15世をジョニー・デップが演じた。

映画『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人』(公開中)場面写真 (C)Stephanie Branchu - Why Not Productions

映画『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人』(公開中)場面写真 (C)Stephanie Branchu - Why Not Productions

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――アメリカ人であるデップさんにフランス国王ルイ15世役のオファー。あまりにも突拍子もないオファーで逆に興味が湧いたそうですね。

【JD】その通りです。フランス出身の監督が米ケンタッキー州生まれの私に、フランス国王・ルイ15世役のオファーが来るなんて、驚きでした。そんなことを思いついた彼女に興味が湧きました。それで、私は彼女と会ってみようと思いました。才能にあふれた監督だと思いました。初めて会ったばかりでしたが、私たちはすぐに意気投合しました。しかし、ルイ15世役はフランスの俳優をキャスティングした方がいいのではないか、と彼女に言いました。

 彼女はフランスの俳優を起用しようと思ったこともあったけれど、どういうわけか、私とルイ15世の間に通じる何かがあると感じたようなんです。それで、私が引き受けることにしたのは、何でも挑戦してみるべきだと思ったからです。挑戦は必要です。成長するチャンスになる。失敗するかもしれないけど(笑)。それでも私にとって魅力的だったのは、ルイ15世という人物そのものです。

 彼だけでなく、どの君主もそうだと思うけど、王になるために、おそらく12歳くらいから非常に多くのスキルを見つけなければならなかったと思います。宮廷のさまざまなしきたりに従って、最初から決められた人生を生きなければならなかった。閣議に出席している時と自分の娘たちの前とでは違う言葉づかいをしていたでしょう。しかし、ジャンヌと一緒にいる時だけは人間らしい時間を過ごすことができた。

 そんな彼の人生は興味深いものがあります。国王の生活は裕福で、贅沢で、欲しいものは何でも手に入ると思っているかもしまれませんが、私は王になりたいかといったら、責任が非常に重い仕事なのでなんとも言えませんが、ルイ15世は疲れ切っていたと思います。ノーマルな人間ではいられなかったと思います。

映画『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人』(公開中)場面写真 (C)Stephanie Branchu - Why Not Productions

映画『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人』(公開中)場面写真 (C)Stephanie Branchu - Why Not Productions

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■人々は嘘のにおいを嗅ぎつけるもの

――マイウェン監督も、デップさんの起用について、「本作のルイ15世役がもつロマンチックな側面、繊細さは、ジョニーと重なる」と公言されています。そして、本作のルイ15世は、その沈黙と視線が、発する言葉と同じくらい雄弁な人物でした。ティム・バートン監督の『シザーハンズ』以来、デップさんが得意としてきたキャラクターだったのでは?

【JD】やさしいお言葉ありがとうございます。視線には、目の奥にある頭の中が表れるものです。視線やボディランゲージというのは口ほどのものを言う。言葉で言うのは簡単です。「I love you」.「Je t’aime」「愛している」と言うのは簡単です。しかし、口から出た言葉に隠れている意図を私は読み取ろうとしてきました。

 言葉は言葉でしかなくて、地図のように便利で導いてもくれますが、最も重要なことは、言葉の背後で実写は何を思っているのか。私は信じています。人々は嘘のにおいを嗅ぎつけるものだと。不誠実に気づくものだと思うんです。それは難しいことではありません。言葉の背後にあるものを探ることが私の仕事かもしれません。興味深い役ほどそれができる。

映画『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人』(公開中)場面写真 (C)Stephanie Branchu - Why Not Productions

映画『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人』(公開中)場面写真 (C)Stephanie Branchu - Why Not Productions

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――どのように役にアプローチしたのですか?

【JD】それはすべてが当てはまるんです。自分の人生にどう向き合っているのか。私がどのような人生を送ってきたか。いろいろなことを通して学び、素晴らしい人からも、そうではない人からも学び、これまでの経験すべてが自分の糧になっています。ですから、自分という道具箱を持って、仕事に行くようなものです。

 特に歴史上の人物を演じる場合は責任重大ですが、何をもってして完璧なのか。正確性に囚われるのではなく、私は私の中の真実に正直でありたいと思いました。役者として自分の仕事をしようと。この映画における真実を伝えようと努めました。撮影現場で演技をしたのではなく、ただ自然に振る舞い、反応していただけなんです。

映画『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人』(公開中)場面写真 (C)Stephanie Branchu - Why Not Productions

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■ヴェルサイユ宮殿で「タイムトラベル」気分に

――本作の最大の見どころは、18世紀のフランスおよび王室の再現。あのヴェルサイユ宮殿でも大規模なロケが行ったそうですが、いかがでしたか?

【JD】ヴェルサイユ宮殿はアクセスしやすい場所にあります。セットに入ると、撮影で使っていたのでセットと言ってしまいましたが、(全長75メートル)の広々とした鏡の回廊に、豪華なコスチュームを身につけた俳優たちが大勢集まっていました。その光景は、圧巻でした。タイムトラベルしたみたいでした。

 さらに印象的だったのは、宮廷に集う人たちの国王の前での仰々しい礼儀作法の再現です。国王に背を向けていいのは、王太子だけという決まりがあり、退室する時は、小刻みに後退(あとずさ)りしていくんです。この映画を観て、ヴェルサイユ宮殿という大きな存在を体験してもらいたいのと、その中で起きていた不条理さを知ってもらえたらうれしいです。

映画『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人』(公開中)場面写真 (C)Stephanie Branchu - Why Not Productions

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(インタビュー終わり)

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  • 映画『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人』(公開中)場面写真 (C)2023-WHY NOT PRODUCTIONS-FRANCE 2 CINEMA- FRANCE 3 CINEMA-LA PETITE REINE-IMPALA PRODUCTIONS

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