2023年のヒット書籍をランキング化した『第16回オリコン年間“本”ランキング2023』で20位。「1番売れてるマネジメント書」として注目の『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)。シリーズ122万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』、待望の続編で、著者の安藤広大氏が、「人の上に立ち続けるための思考法」というテーマのもと、「識学」という考え方をもとに優秀なビジネスパーソンになるためのポイントをわかりやすく解説している。同書から「人事異動」の真意について語った内容を、一部抜粋して紹介する。
■「人事異動」の本当の意味
組織 の「属人化」を防ぐためにも、「人事異動」は有効です。識学では、原則的に「3年に一度の人事異動」をおこなうようにしています。それは、どんなに仕組み化によって考え方を切り替えていても、同じ部署で同じ業務を続けていると、「属人化」が生まれてしまうからです。
1つの業務に慣れてくると、できるだけ頑張らずに作業をこなすようになります。複数の部署があるならば、人事異動が効果的です。
もし、営業職で多くを占める会社であれば、そういう人事はできないかもしれません。その場合では、配置換えや担当変えをおこないます「扱う商品やサービス内容を変える」「エリアや担当者を変える」など、新しく頭を切り替えるような変化を加えます。
放っておくと、同じ得意先へのルーティン作業だけで目標をクリアし続けられるようになってしまいます。その状態は、「属人化」の一歩手前です。
そのタイミングに人事異動などをおこなうことで、また一から試行錯誤する状態にリセットができます。リセットといっても、前の業務スキルを引き継いでいるわけですから、さらに大きな視野で次の業務に当たることができます。
そうやって、1つ1つの壁を越えていくことで、より大きな視点を獲得していく人が、「出世」をします。
■「1つの業務しかしていない人」はリスクである
これがもし、1つの部署しか経験していない人が叩き上げで出世したら、どんなことが起こるでしょう。たとえば、営業だけをやってきた叩き上げの人が、営業部長になるとします。そして、その営業部長が自分で稼ぐようになります。
いつまでもプレーヤーの動きを続けて、「自分のやり方」を全員に押し付けて、画一化します。さらに、それに対して何も言わない人だけを過大評価し、副部長や課長に昇進させます。上司・部下の関係性でも、「既得権益」は生まれるのです。
ずっと同じ上司・部下の関係が続くと、そこに「悪い権利」が出てきます。簡単に言うと、「仲良くなりすぎる」ということです。「この上司についていくためだけに頑張る」という状況を生みます。
この感情は、64ページで述べた「カリスマ性」と同じく、短期的に力を発揮するかもしれません。情がわくことで、やる気が出る部分はあるからです。(※)
しかし、長期的に見ると、デメリットもあります。その上司が部署異動や退職をしたときに、部下たちがそれを不満や会社への不信感に捉えてしまうのです。個人としての成長を考えたときに、「1人でどこでも生きられるようにする」「どんな組織でも働けて、結果が出せるようにする」ということを期待すべきです。
なので、人事異動と同じく、上司・部下の組み合わせも、定期的に変える仕組みが必要です。同様の理由で、営業先のクライアント担当なども配置換えをしたほうがいいでしょう。
異動したり、転勤したりすると、担当者が変わります。そうすると、お客さまのほうから、「前の担当者がよかった」「担当者を変えるなら、御社との付き合いはなくします」というようなことを言われるかもしれません。
しかし、組織が正しく機能していれば、うまく引き継ぐことができるはずです。「誰が担当しても同じパフォーマンスを出すことができる」という仕組みをつくることができるからです。そのためには、自分の仕事をマニュアルに落とし込んだり、人に伝えられるようにしておくことが求められます。
仕組みの発想があれば、担当替えのリスクも回避できるのです。
※参考記事…「自分が辞めたら会社は困るだろう」ポジションに要注意 「カリスマ社員」がいる組織が未熟な理由
■プロフィール
安藤広大/株式会社識学 代表取締役社長。1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、衝撃を受け、2013年に独立。識学講師として多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年あまりで上場を果たし、これまでの8年間で約4000社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ122万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』(ともにダイヤモンド社)がある。
(本文拡張)■「人」は責めるな、「ルール」を責めろ。トップに駆け上がる人に必要な「考え方のすべて」。
『とにかく仕組み化 人の上に立ち続けるための思考法』(ダイヤモンド社)?
■「人事異動」の本当の意味
組織 の「属人化」を防ぐためにも、「人事異動」は有効です。識学では、原則的に「3年に一度の人事異動」をおこなうようにしています。それは、どんなに仕組み化によって考え方を切り替えていても、同じ部署で同じ業務を続けていると、「属人化」が生まれてしまうからです。
1つの業務に慣れてくると、できるだけ頑張らずに作業をこなすようになります。複数の部署があるならば、人事異動が効果的です。
もし、営業職で多くを占める会社であれば、そういう人事はできないかもしれません。その場合では、配置換えや担当変えをおこないます「扱う商品やサービス内容を変える」「エリアや担当者を変える」など、新しく頭を切り替えるような変化を加えます。
放っておくと、同じ得意先へのルーティン作業だけで目標をクリアし続けられるようになってしまいます。その状態は、「属人化」の一歩手前です。
そのタイミングに人事異動などをおこなうことで、また一から試行錯誤する状態にリセットができます。リセットといっても、前の業務スキルを引き継いでいるわけですから、さらに大きな視野で次の業務に当たることができます。
そうやって、1つ1つの壁を越えていくことで、より大きな視点を獲得していく人が、「出世」をします。
■「1つの業務しかしていない人」はリスクである
これがもし、1つの部署しか経験していない人が叩き上げで出世したら、どんなことが起こるでしょう。たとえば、営業だけをやってきた叩き上げの人が、営業部長になるとします。そして、その営業部長が自分で稼ぐようになります。
いつまでもプレーヤーの動きを続けて、「自分のやり方」を全員に押し付けて、画一化します。さらに、それに対して何も言わない人だけを過大評価し、副部長や課長に昇進させます。上司・部下の関係性でも、「既得権益」は生まれるのです。
ずっと同じ上司・部下の関係が続くと、そこに「悪い権利」が出てきます。簡単に言うと、「仲良くなりすぎる」ということです。「この上司についていくためだけに頑張る」という状況を生みます。
この感情は、64ページで述べた「カリスマ性」と同じく、短期的に力を発揮するかもしれません。情がわくことで、やる気が出る部分はあるからです。(※)
しかし、長期的に見ると、デメリットもあります。その上司が部署異動や退職をしたときに、部下たちがそれを不満や会社への不信感に捉えてしまうのです。個人としての成長を考えたときに、「1人でどこでも生きられるようにする」「どんな組織でも働けて、結果が出せるようにする」ということを期待すべきです。
なので、人事異動と同じく、上司・部下の組み合わせも、定期的に変える仕組みが必要です。同様の理由で、営業先のクライアント担当なども配置換えをしたほうがいいでしょう。
異動したり、転勤したりすると、担当者が変わります。そうすると、お客さまのほうから、「前の担当者がよかった」「担当者を変えるなら、御社との付き合いはなくします」というようなことを言われるかもしれません。
しかし、組織が正しく機能していれば、うまく引き継ぐことができるはずです。「誰が担当しても同じパフォーマンスを出すことができる」という仕組みをつくることができるからです。そのためには、自分の仕事をマニュアルに落とし込んだり、人に伝えられるようにしておくことが求められます。
仕組みの発想があれば、担当替えのリスクも回避できるのです。
※参考記事…「自分が辞めたら会社は困るだろう」ポジションに要注意 「カリスマ社員」がいる組織が未熟な理由
■プロフィール
安藤広大/株式会社識学 代表取締役社長。1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、衝撃を受け、2013年に独立。識学講師として多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年あまりで上場を果たし、これまでの8年間で約4000社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ122万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』(ともにダイヤモンド社)がある。
(本文拡張)■「人」は責めるな、「ルール」を責めろ。トップに駆け上がる人に必要な「考え方のすべて」。
『とにかく仕組み化 人の上に立ち続けるための思考法』(ダイヤモンド社)?
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2024/02/07