「第170回芥川龍之介賞・直木三十五賞」の選考会が17日、都内で行われ、芥川賞に九段理江氏(33)の『東京都同情塔』(『新潮』十二月号)が選ばれた。発表後、九段氏は記者会見に出席し、喜びを語った。
九段氏は「小説が好きで勝手に書き始めたのですが、書き続けることは1人では難しいです。書き続ける力をくださる、応援してくださる出版社の方や家族、友人、楽しみに呼んでくださる方々にありがとうございますとお伝えしたいです。とにかく、うれしい。感謝を伝えたいという気持ちでいます」と喜びと周囲への感謝を伝えた。
そして、選考委員の吉田修一氏による「完成度が高い作品」というコメントを受け「完成度が高いという評価をいただけるなんて夢にも思っていませんでした、謙そんではなく」と笑顔に。「アンビルドをテーマに書いている作品ですが、完成するのか、アンビルドになってしまうのか不安な思いで書いておりました」と振り返り「グラグラしている小説だと感じております。今にも崩壊してしまいそうな危うさ、不安定な部分が魅力かなと思っております。そういった面を含めた完成度とおっしゃっていたのでは、うれしいです」と語った。
受賞作のタイトル『東京都同情塔』(とうきょうとどうじょうとう )は韻が固い。「音楽全般がすきなので、その中にヒップホップも含まれています」と語る九段氏は「『シンパシー(同情)タワートーキョー』は、最初に『エンパシー(共感)タワートーキョー』で考えていましたが、その後、韻をそろえるために『シンパシータワートーキョー』に変えたというところです」と、韻が固い芥川賞作品の誕生秘話を明かした。
九段氏は1990年、埼玉生まれ。『悪い音楽』(2021年)で第126回文學界新人賞を受賞し、デビュー。同年発表の『Schoolgirl』が第166回芥川龍之介賞、第35回三島由紀夫賞候補になった。23年3月、同作で第73回芸術選奨新人賞を受賞。11月には『しをかくうま』で第45回野間文芸新人賞を受賞した。
今作は、ザハの国立競技場が完成し、寛容論が浸透したもうひとつの日本で、新しい刑務所「シンパシータワートーキョー」が建てられることから物語がスタート。犯罪者に寛容になれない建築家・牧名は、仕事と信条の乖離に苦悩しながら、パワフルに未来を追求する。ゆるふわな言葉と実のない正義の関係を豊かなフロウで暴く、生成AI時代の預言の書となっている。
なお、「直木賞」は河崎秋子氏(崎=たつさき)の『ともぐい』(新潮社)と万城目学氏の『八月の御所グラウンド』(文藝春秋)のW受賞となった。
両賞は1935(昭和10)年に制定。芥川賞は新聞・雑誌(同人雑誌を含む)に発表された純文学短編作品、直木賞は新聞・雑誌(同)・単行本として発表された短編および長編の大衆文芸作品の中から優れた作品に贈られる。前者は主に無名・新進作家、後者は無名・新進・中堅作家が対象となる。贈呈式は2月22日に都内で行われ、受賞者には正賞として時計、副賞として賞金100万円が贈られる。
■選考委員
【芥川賞】
小川洋子、奥泉光、川上弘美、島田雅彦、平野啓一郎、堀江敏幸、松浦寿輝、山田詠美、吉田修一
【直木賞】
浅田次郎、角田光代、京極夏彦、桐野夏生、高村薫(高=はしごだか)、林真理子、三浦しをん、宮部みゆき
※2023年11月24日に亡くなった伊集院静さんも選考委員を務めており、今回は8人での選考となった。
※五十音順・敬称略
九段氏は「小説が好きで勝手に書き始めたのですが、書き続けることは1人では難しいです。書き続ける力をくださる、応援してくださる出版社の方や家族、友人、楽しみに呼んでくださる方々にありがとうございますとお伝えしたいです。とにかく、うれしい。感謝を伝えたいという気持ちでいます」と喜びと周囲への感謝を伝えた。
受賞作のタイトル『東京都同情塔』(とうきょうとどうじょうとう )は韻が固い。「音楽全般がすきなので、その中にヒップホップも含まれています」と語る九段氏は「『シンパシー(同情)タワートーキョー』は、最初に『エンパシー(共感)タワートーキョー』で考えていましたが、その後、韻をそろえるために『シンパシータワートーキョー』に変えたというところです」と、韻が固い芥川賞作品の誕生秘話を明かした。
九段氏は1990年、埼玉生まれ。『悪い音楽』(2021年)で第126回文學界新人賞を受賞し、デビュー。同年発表の『Schoolgirl』が第166回芥川龍之介賞、第35回三島由紀夫賞候補になった。23年3月、同作で第73回芸術選奨新人賞を受賞。11月には『しをかくうま』で第45回野間文芸新人賞を受賞した。
今作は、ザハの国立競技場が完成し、寛容論が浸透したもうひとつの日本で、新しい刑務所「シンパシータワートーキョー」が建てられることから物語がスタート。犯罪者に寛容になれない建築家・牧名は、仕事と信条の乖離に苦悩しながら、パワフルに未来を追求する。ゆるふわな言葉と実のない正義の関係を豊かなフロウで暴く、生成AI時代の預言の書となっている。
なお、「直木賞」は河崎秋子氏(崎=たつさき)の『ともぐい』(新潮社)と万城目学氏の『八月の御所グラウンド』(文藝春秋)のW受賞となった。
両賞は1935(昭和10)年に制定。芥川賞は新聞・雑誌(同人雑誌を含む)に発表された純文学短編作品、直木賞は新聞・雑誌(同)・単行本として発表された短編および長編の大衆文芸作品の中から優れた作品に贈られる。前者は主に無名・新進作家、後者は無名・新進・中堅作家が対象となる。贈呈式は2月22日に都内で行われ、受賞者には正賞として時計、副賞として賞金100万円が贈られる。
■選考委員
【芥川賞】
小川洋子、奥泉光、川上弘美、島田雅彦、平野啓一郎、堀江敏幸、松浦寿輝、山田詠美、吉田修一
【直木賞】
浅田次郎、角田光代、京極夏彦、桐野夏生、高村薫(高=はしごだか)、林真理子、三浦しをん、宮部みゆき
※2023年11月24日に亡くなった伊集院静さんも選考委員を務めており、今回は8人での選考となった。
※五十音順・敬称略
2024/01/17