米アカデミー賞の前哨戦として注目される「第81回ゴールデングローブ賞」の授賞式が現地時間7日に開催され、映画『オッペンハイマー』『バービー』『哀れなる者たち』『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』(Apple TV+)、ドラマ『メディア王 〜華麗なる一族〜(原題:Succession)』(HBO)、『一流シェフのファミリーレストラン』(Disney+)が複数の賞を受賞。宮崎駿監督(※崎=たつさき)の『君たちはどう生きるか(英題:The Boy and the Heron)』が、日本のアニメーション映画で初めて最優秀アニメーション映画賞に選ばれた。
映画・作品賞(ドラマ部門)に輝いたのは、クリストファー・ノーランが監督、脚本を務めた『オッペンハイマー』。監督賞、主演男優賞(キリアン・マーフィー)、助演男優賞(ロバート・ダウニーJr.)、作曲賞も受賞した。
第二次世界大戦中、原子爆弾開発・製造のために、科学者、技術者を総動員したマンハッタン計画を遂行したJ・ロバート・オッペンハイマーの伝記映画で、昨年7月21日より全米公開され、実在の人物を描いた伝記映画作品として歴代No.1記録を更新するヒットとなっている(日本では今年公開予定)。
キリアン・マーフィーがオッペンハイマーを、ロバート・ダウニーJr.がアメリカ原子力委員会の委員長ルイス・ストローズ、マット・デイモンが、アメリカ陸軍の将校で「マンハッタン計画」の責任者、レスリー・グローヴス、エミリー・ブラント(助演女優賞ノミネート)がオッペンハイマーの妻で、生物学者にして植物学者のキティ・オッペンハイマーを演じているほか、フローレンス・ピュー、ジョシュ・ハートネット、ケイシー・アフレック、ラミ・マレック、ケネス・ブラナーらが出演。
映画・作品賞(ミュージカル・コメディ部門)は『哀れなる者たち』が受賞。エマ・ストーンが主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)に選ばれ、主要2部門の受賞となった。
スコットランドの作家アラスター・グレイのゴシック小説を『女王陛下のお気に入り』のヨルゴス・ランティモス監督&エマ・ストーン主演の再タッグで映画化。自ら命を絶った不幸な若き女性ベラ(エマ・ストーン)が、天才外科医ゴッドウィン・バクスター(ウィレム・デフォー)の手によって奇跡的に蘇生し、新たな人生を歩んでいくストーリー。昨年の「第80回ベネチア国際映画祭」では金獅子賞を受賞している。
昨年「第76回カンヌ国際映画祭」最高賞・パルムドールを受賞した『落下の解剖学(原題:Anatomy of a Fall)』(ジュスティーヌ・トリエ監督/フランス)は、非英語作品賞と脚本賞(ジュスティーヌ・トリエ、アルチュール・アラリ)の2冠を獲得した。
人里離れた雪山の山荘で起きた、ある男の転落死から始まるヒューマンサスペンス。はじめは事故と思われたが、次第にベストセラー作家で妻のサンドラ(ザンドラ・ヒュラー)に殺人容疑が向けられる。現場に居合わせたのは、視覚障がいのある11歳の息子だけ。事件の真相を追っていく中で、夫婦の秘密やうそが暴露され、登場人物の数だけ〈真実〉が現れる。
テレビ部門では、最優秀テレビシリーズのドラマ部門は『メディア王 〜華麗なる一族〜』、ミュージカル・コメディ部門は『一流シェフのファミリーレストラン』が選ばれた。
また、今回から新たに、シネマティック&ボックスオフィス・アチーブメント賞(興行成績賞)、テレビ・スタンドアップコメディ賞が表彰されることになった。
興行成績賞は「興行収入総額1億5000万ドル(うち1億ドルは米国国内の興行収入)または信頼できる業界情報源によって認められた、相応のデジタルストリーミング視聴者数を獲得した」作品が対象となり、マーゴット・ロビー主演、グレタ・ガーウィグ監督の『バービー』が受賞。
ほかに、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』『ジョン・ウィック:コンセクエンス』『ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE』『オッペンハイマー』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』『テイラー・スウィフト:THE ERAS TOUR』がノミネートされていた。
テレビのスタンドアップコメディ賞には、テレビシリーズ、リミテッドシリーズ、アンソロジーシリーズ、またはテレビ用に作られた映画での役以外で、少なくとも30分間の伝統的なスタンドアップコメディのパフォーマンスを披露(個人のソーシャル・メディア・アカウントは対象外)した6人のコメディアンがノミネートされ、ゴールデングローブ賞の司会を務めたこともあるリッキー・ジャーヴェイス(『リッキー・ジャーヴェイスのこれじゃ世も末』)が受賞した。
「ゴールデングローブ賞」は、1943年創設の歴史ある賞で、長らくハリウッド外国人映画記者協会(HFPA)が主催してきたが、2021年に会員の人種的多様性の欠如が指摘され、22年の授賞式がスタジオや俳優にボイコットされる事態を招いた。その後、同賞の権利をテレビ制作会社のディック・クラーク・プロダクション(DCP)および、同社を傘下に持つ投資会社エルドリッジ・インダストリーズが取得。それ以来、初めての授賞式となった。76の国と地域から人種的および民族的に多様なジャーナリストで構成される約300人(元HFPA会員含む)が今回の候補者と受賞者を選出した。
■第81回ゴールデングローブ賞受賞一覧
●映画
★作品賞(ドラマ)
『オッペンハイマー』
★作品賞(ミュージカル/コメディ)
『哀れなる者たち』
★作品賞(アニメーション作品)
『君たちはどう生きるか』
★興行成績賞
『バービー』
★作品賞(非英語作品)
『落下の解剖学』
★主演女優賞(ドラマ)
リリー・グラッドストーン(『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』)
★主演女優賞(ミュージカル/コメディ)
エマ・ストーン(『哀れなる者たち』)
★主演男優賞(ドラマ)
キリアン・マーフィー(『オッペンハイマー』)
★主演男性賞(ミュージカル/コメディ)
ポール・ジアマッティ(『The Holdovers(原題)』)
★助演男優賞
ロバート・ダウニーJr.(『オッペンハイマー』)
★助演女優賞
ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ(『The Holdovers(原題)』)
★監督賞
クリストファー・ノーラン(『オッペンハイマー』)
★脚本賞
ジュスティーヌ・トリエ、アルチュール・アラリ(『落下の解剖学』)
★歌曲賞
「What Was I Made For?」(ビリー・アイリッシュ、フィニアス・オコネル/『バービー』)
★作曲賞
ルドウィグ・ゴランソン(『オッペンハイマー』)
●テレビ
★シリーズ作品賞(ドラマ)
『メディア王 〜華麗なる一族〜』
★シリーズ作品賞(ミュージカル/コメディ)
『一流シェフのファミリーレストラン』
★リミテッド、アンソロジー、またはテレビ向け映画賞
『Beef/ビーフ』(Netflix)
★主演女優賞(ドラマ)
サラ・スヌーク(『メディア王 〜華麗なる一族〜』)
★主演男優賞(ドラマ)
キーラン・カルキン(『メディア王 〜華麗なる一族〜』)
★主演女優賞(ミュージカル/コメディ)
アヨ・エデビリ(『一流シェフのファミリーレストラン』)
★主演男優賞(ミュージカル/コメディ)
ジェレミー・アレン・ホワイト(『一流シェフのファミリーレストラン』)
★主演女優賞(リミテッド、アンソロジー、またはテレビ向け映画賞)
アリ・ウォン、ビーフ(『Beef/ビーフ』)
★主演男優賞(リミテッド、アンソロジー、またはテレビ向け映画賞)
スティーヴン・ユァン(『Beef/ビーフ』)
★助演女優賞
エリザベス・デビッキ(『ザ・クラウン』)
★助演男優賞
マシュー・マクファディン(『メディア王 〜華麗なる一族〜』)
★スタンドアップコメディ賞
リッキー・ジャーヴェイス(『リッキー・ジャーヴェイスのこれじゃ世も末』)
(C)Universal Pictures. All Rights Reserved. (C)2023 20th Century Studios. All Rights Reserved. (C)2023 Studio Ghibli
映画・作品賞(ドラマ部門)に輝いたのは、クリストファー・ノーランが監督、脚本を務めた『オッペンハイマー』。監督賞、主演男優賞(キリアン・マーフィー)、助演男優賞(ロバート・ダウニーJr.)、作曲賞も受賞した。
第二次世界大戦中、原子爆弾開発・製造のために、科学者、技術者を総動員したマンハッタン計画を遂行したJ・ロバート・オッペンハイマーの伝記映画で、昨年7月21日より全米公開され、実在の人物を描いた伝記映画作品として歴代No.1記録を更新するヒットとなっている(日本では今年公開予定)。
キリアン・マーフィーがオッペンハイマーを、ロバート・ダウニーJr.がアメリカ原子力委員会の委員長ルイス・ストローズ、マット・デイモンが、アメリカ陸軍の将校で「マンハッタン計画」の責任者、レスリー・グローヴス、エミリー・ブラント(助演女優賞ノミネート)がオッペンハイマーの妻で、生物学者にして植物学者のキティ・オッペンハイマーを演じているほか、フローレンス・ピュー、ジョシュ・ハートネット、ケイシー・アフレック、ラミ・マレック、ケネス・ブラナーらが出演。
映画・作品賞(ミュージカル・コメディ部門)は『哀れなる者たち』が受賞。エマ・ストーンが主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)に選ばれ、主要2部門の受賞となった。
スコットランドの作家アラスター・グレイのゴシック小説を『女王陛下のお気に入り』のヨルゴス・ランティモス監督&エマ・ストーン主演の再タッグで映画化。自ら命を絶った不幸な若き女性ベラ(エマ・ストーン)が、天才外科医ゴッドウィン・バクスター(ウィレム・デフォー)の手によって奇跡的に蘇生し、新たな人生を歩んでいくストーリー。昨年の「第80回ベネチア国際映画祭」では金獅子賞を受賞している。
昨年「第76回カンヌ国際映画祭」最高賞・パルムドールを受賞した『落下の解剖学(原題:Anatomy of a Fall)』(ジュスティーヌ・トリエ監督/フランス)は、非英語作品賞と脚本賞(ジュスティーヌ・トリエ、アルチュール・アラリ)の2冠を獲得した。
人里離れた雪山の山荘で起きた、ある男の転落死から始まるヒューマンサスペンス。はじめは事故と思われたが、次第にベストセラー作家で妻のサンドラ(ザンドラ・ヒュラー)に殺人容疑が向けられる。現場に居合わせたのは、視覚障がいのある11歳の息子だけ。事件の真相を追っていく中で、夫婦の秘密やうそが暴露され、登場人物の数だけ〈真実〉が現れる。
テレビ部門では、最優秀テレビシリーズのドラマ部門は『メディア王 〜華麗なる一族〜』、ミュージカル・コメディ部門は『一流シェフのファミリーレストラン』が選ばれた。
また、今回から新たに、シネマティック&ボックスオフィス・アチーブメント賞(興行成績賞)、テレビ・スタンドアップコメディ賞が表彰されることになった。
興行成績賞は「興行収入総額1億5000万ドル(うち1億ドルは米国国内の興行収入)または信頼できる業界情報源によって認められた、相応のデジタルストリーミング視聴者数を獲得した」作品が対象となり、マーゴット・ロビー主演、グレタ・ガーウィグ監督の『バービー』が受賞。
ほかに、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』『ジョン・ウィック:コンセクエンス』『ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE』『オッペンハイマー』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』『テイラー・スウィフト:THE ERAS TOUR』がノミネートされていた。
テレビのスタンドアップコメディ賞には、テレビシリーズ、リミテッドシリーズ、アンソロジーシリーズ、またはテレビ用に作られた映画での役以外で、少なくとも30分間の伝統的なスタンドアップコメディのパフォーマンスを披露(個人のソーシャル・メディア・アカウントは対象外)した6人のコメディアンがノミネートされ、ゴールデングローブ賞の司会を務めたこともあるリッキー・ジャーヴェイス(『リッキー・ジャーヴェイスのこれじゃ世も末』)が受賞した。
「ゴールデングローブ賞」は、1943年創設の歴史ある賞で、長らくハリウッド外国人映画記者協会(HFPA)が主催してきたが、2021年に会員の人種的多様性の欠如が指摘され、22年の授賞式がスタジオや俳優にボイコットされる事態を招いた。その後、同賞の権利をテレビ制作会社のディック・クラーク・プロダクション(DCP)および、同社を傘下に持つ投資会社エルドリッジ・インダストリーズが取得。それ以来、初めての授賞式となった。76の国と地域から人種的および民族的に多様なジャーナリストで構成される約300人(元HFPA会員含む)が今回の候補者と受賞者を選出した。
■第81回ゴールデングローブ賞受賞一覧
●映画
★作品賞(ドラマ)
『オッペンハイマー』
★作品賞(ミュージカル/コメディ)
『哀れなる者たち』
★作品賞(アニメーション作品)
『君たちはどう生きるか』
★興行成績賞
『バービー』
★作品賞(非英語作品)
『落下の解剖学』
★主演女優賞(ドラマ)
リリー・グラッドストーン(『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』)
★主演女優賞(ミュージカル/コメディ)
エマ・ストーン(『哀れなる者たち』)
★主演男優賞(ドラマ)
キリアン・マーフィー(『オッペンハイマー』)
★主演男性賞(ミュージカル/コメディ)
ポール・ジアマッティ(『The Holdovers(原題)』)
★助演男優賞
ロバート・ダウニーJr.(『オッペンハイマー』)
★助演女優賞
ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ(『The Holdovers(原題)』)
★監督賞
クリストファー・ノーラン(『オッペンハイマー』)
★脚本賞
ジュスティーヌ・トリエ、アルチュール・アラリ(『落下の解剖学』)
★歌曲賞
「What Was I Made For?」(ビリー・アイリッシュ、フィニアス・オコネル/『バービー』)
★作曲賞
ルドウィグ・ゴランソン(『オッペンハイマー』)
●テレビ
★シリーズ作品賞(ドラマ)
『メディア王 〜華麗なる一族〜』
★シリーズ作品賞(ミュージカル/コメディ)
『一流シェフのファミリーレストラン』
★リミテッド、アンソロジー、またはテレビ向け映画賞
『Beef/ビーフ』(Netflix)
★主演女優賞(ドラマ)
サラ・スヌーク(『メディア王 〜華麗なる一族〜』)
★主演男優賞(ドラマ)
キーラン・カルキン(『メディア王 〜華麗なる一族〜』)
★主演女優賞(ミュージカル/コメディ)
アヨ・エデビリ(『一流シェフのファミリーレストラン』)
★主演男優賞(ミュージカル/コメディ)
ジェレミー・アレン・ホワイト(『一流シェフのファミリーレストラン』)
★主演女優賞(リミテッド、アンソロジー、またはテレビ向け映画賞)
アリ・ウォン、ビーフ(『Beef/ビーフ』)
★主演男優賞(リミテッド、アンソロジー、またはテレビ向け映画賞)
スティーヴン・ユァン(『Beef/ビーフ』)
★助演女優賞
エリザベス・デビッキ(『ザ・クラウン』)
★助演男優賞
マシュー・マクファディン(『メディア王 〜華麗なる一族〜』)
★スタンドアップコメディ賞
リッキー・ジャーヴェイス(『リッキー・ジャーヴェイスのこれじゃ世も末』)
(C)Universal Pictures. All Rights Reserved. (C)2023 20th Century Studios. All Rights Reserved. (C)2023 Studio Ghibli
このニュースの流れをチェック
- 1. 宮崎駿監督『君たちはどう生きるか』「第81回ゴールデングローブ賞」最優秀アニメ映画賞受賞
- 2. 「第81回ゴールデングローブ賞」『オッペンハイマー』『哀れなる者たち』など受賞結果まとめ
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- 4. クリストファー・ノーラン監督『オッペンハイマー』ゴールデングローブ賞最多5部門受賞
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- 7. 英国アカデミー賞:C・ノーラン監督『オッペンハイマー』が最多7冠、『君たちはどう生きるか』も受賞
- 8. 映画『オッペンハイマー』広島・長崎で特別試写会開催へ
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2024/01/08