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“日本の道路に合わない”ピックアップトラック、国内メーカーがこぞって着手する理由【ジャパンモビリティショー】

 『東京モーターショー』から名称を変え、自動車業界だけでなく、さまざまなモビリティ関連企業・団体が一堂に会した大型イベント『Japan Mobility Show 2023』(ジャパンモビリティショー)。4年ぶりに開催され、111.2万人が来場した本イベントには、車だけでなくさまざまなタイプのモビリティを展示。EVを中心とした近未来的なデザインのコンセプトカーも数多く発表されるなか、さまざまなメーカーがピックアップトラック(セダンなど一般的な車同様ボンネットがあり、運転席の後方に開放的な荷台を持つトラック)を発表していたのが印象的だった。

三菱自動車が、12年ぶりに日本市場での発売を発表した新型『トライトン』 撮影/逢坂聡

三菱自動車が、12年ぶりに日本市場での発売を発表した新型『トライトン』 撮影/逢坂聡

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 トヨタ自動車(以下/トヨタ)が発表したのは、BEVでモノコックボディ採用の次世代ミッドサイズピックアップトラックコンセプトである『EPU』。キャビン背面の大胆なデッキスルー構造によってユーザーの多彩な要望を実現し、アウトドアなどユーザーのモビリティライフを幅広くサポートするモデルとなっている。

 三菱自動車(以下/三菱)は、新型『トライトン』を来年初頭に日本で販売予定と発表。12年ぶりに日本市場に投入される本モデルは、「Power for Adventure」という商品コンセプトのもと、内外装デザインからフレーム、シャシー、ボディ、エンジンなどを一新。2.4Lクリーンディーゼルターボエンジンによって、高出力化と環境性能向上を両立した。

 なぜ各社がピックアップトラックに力を入れているのだろうか? その理由として、世界市場での需要の高さががあげられる。北米では2022年の車種別の新車発売台数のトップ3がいずれもピックアップトラック。さまざまなものを乗せることができ、パワーがあって実用的、かつ乗用車よりも税金がかからないといった理由から、商用だけでなく、パーソナルユースとしても需要が高いことがこの結果を生んだと言えるだろう。
 また東南アジアでも需要が高まっており、ここに挙げたトヨタや三菱以外にも、日産、ホンダ、マツダ、いすゞなどの日本メーカー各社も、日本未発売のモデルをこうした市場に投入するなど力を入れている。ちなみに『トライトン』も海外で人気を博し、逆輸入的に日本市場に復活させたモデルとなる。

 海外で活況なピックアップトラックだが、日本市場ではどうか? 日本はかつて、道幅が狭いという事情もあって全長5メートルを超えるようなフルサイズよりも小型トラックの需要が高かった。『日産サニートラック』『トヨタパブリカトラック(ピックアップ)』などがロングヒットを記録したが、その多くが商用利用。装備の簡素さや乗り心地などもあって、一部の車好きを除いて日常的に乗る人が少なかった。またその商用についても、雨など天候の影響を受けないライトバンや、積載量は劣るが小回りが利き維持費の安い軽トラック(ボンネットのないキャブオーバー式・セミキャブオーバー式)などに需要を奪われ、ピックアップトラックはその存在感を失っていく。1988年に『トヨタパブリカトラック(ピックアップ)』、1994年に『日産サニートラック』が生産終了。2002年に『日産ダットサントラック』、2004年に『ハイラックス』も日本国内での発売を終えた。だが、2014年に『トヨタランドクルーザー70』のピックアップモデルを発売。2017年に『トヨタハイラックス』の国内発売を再開すると、一時は受注をストップするほどの大ヒットを記録した。

 なぜ、今になって日本で需要が高まってきているのだろうか? ひとつは、2010年代以降のキャンプブームの追い風を受けたことがあげられる。泥や土を気にせずに荷台に荷物を積みこめ、自転車やバイクなども積載でき、さらに人を乗せてもパワーがある実用性の高さが日本でも認識され、若者を中心に受けている。
 また、特に『トヨタハイラックス』は、荷台を含むカスタムパーツの豊富さも、受け入れられている理由のひとつと言えるだろう。キャノビーや、キャンピング仕様へのカスタムなど自身の個性を出しやすく、同じようなデザインの車が多い時代へのアンチテーゼから選ばれているともいえるだろう。

 トヨタは本イベントで『EPU』だけでなく、ピックアップタイプの“荷台”部分の拡張性を重視した『IMV 0』も発表。荷台部分と架装部をボルトとナットで連結することができ、使用用途に応じてカスタム可能なユーザビリティーの高いモデルとして注目を集めた。

 同社取締役・佐藤恒治社長は、『IMV 0』で描く未来について「お客様のニーズ次第で、自由自在にカタチを変えていきます。例えば、畑で収穫した野菜や果物をたくさん運んで…街に到着したら、直売所(ちょくばいじょ)に早変わりします。街の広場では、コーヒーショップや、フードトラックになったり、夜には、バーになったり、DJブースにもなります。実際、間もなく発売するアジアでは、既にさまざまなカスタマイズのアイデアが提案されています。そうやって、ユニークで多様なクルマが社会に溶け込んでいく。クルマがプラットフォームとなり、お客様自身が価値を拡張していく。バリューチェーンの新しいビジネスの可能性も、新しい仲間も増えていきます。IMV0で目指しているのは、まさに、『みんなでつくる』モビリティの未来です」と語る。

 決められたボディのなかに何を積めるかではなく、開放的な“荷台”を自分らしくどう生かしていくのか? 多様化が進む現代において、海外はもちろん、日本でもピックアップトラックの需要が高まっている理由はそこにあるのかもしれない。

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