テレビ東京系で放送の最新テレビシリーズ『ウルトラマンブレーザー』(毎週土曜 前9:00)が後半戦に突入する。ORICON NEWSでは、田口清隆監督にインタビューを実施。お気に入りの怪獣や、作品の秘話を明かしてくれた。
■盟友の小柳啓伍氏とのタッグで新機軸のウルトラマンに
最新テレビシリーズ『ウルトラマンブレーザー』は、地球からはるか遠くの天体「M421」からやってきた、揺るがぬ正義感を持つ新ヒーローウルトラマンブレーザーが、地球防衛隊が設立した特殊怪獣対応分遣隊「SKaRD(スカード)」の隊長を務める主人公ヒルマ ゲントの、人の命を救うために力を欲する強い心に共鳴して一体化。ウルトラマンに変身する隊長、そして隊員・上官らが織りなすハートフルなヒューマンドラマを、ウルトラマンシリーズならではの最新特撮技術を通して描くSF作品となる。
――放送からしばらく時間が経過しましたが、田口監督には『ウルトラマンブレーザー』のどんな反響が届いていますか?
【田口監督】おおむね好評ということで安心しているところです。
――うれしかったことがあれば。
【田口監督】第1話が割りと冒険だったので、ああいう内容について、反対もないことはなかった。YouTubeでの再生数が大事だって言われていて、そこですごい数字叩き出した。純粋に明確な数字が出たのでうれしかったですね。やってよかったと思いました。
――第1話の冒頭から引きつけられる空中から飛び降りるシーンはインパクトがありました。もちろん意図するところではあったと思いますが。
【田口監督】この話を1番最初にいただいたのは、円谷プロに呼び出された時だったんです。その時に、どういうのを作るかって話になり、『ニュージェネガイア』みたいな話もありましたけど、今回あえてやめようってことになりました。じゃあ全く新しいことをやろうとなって、「何かアイデアある?」と円谷プロ側から言われた時に、僕が最初にプレゼンしたのが「池袋に特殊部隊が降下するところから始まるドラマはどうですか?」ということでした(笑)。実は最初の段階から、それをプレゼンしているんです。その時に僕の好きな動画をいくつか見せて「こういうことを、いきなりやったら面白いと思うんです」っていう提案をしたら、円谷プロ側も乗ってくださり、「面白いかもしれない、それをやってみよう」と。「全体的に1回やりたいことを全部言ってみて」みたいなことを言ってもらえました。そういうところからスタートした企画だった。そういう意味では、最初に言った内容をそのままできることは大体ないんですけど、今回はそれができました。
――ミリタリー要素も感じられる作品に仕上がっています。
【田口監督】今回、一緒にシリーズ構成をやってるメインライターの小柳啓伍さんとはプライベートでも仲がいいんです。とある仕事でミリタリー要素を強く出したいと思った作品があって「脚本はミリタリーに強い方いませんか?」ってプロデューサーにお願いして紹介されたのが小柳さんでした。だから、ミリタリー的にゴリゴリに一緒に考えた作品の脚本があったんですけど、その作品がなくなってしまって。でもその後、自主映画『UNFIX』でミリタリー考証してもらったり、『ウルトラマンZ』では全面的にバックアップで入って、『ウルトラマントリガー』では脚本を書いてもらって、みたいな。まだ発表できない仕事もいくつか一緒にやってるんです。今、相棒みたいな感じでやってる方。趣味がとっても合うんです(笑)。「こういうのいいよね?」って言ったら「あーかっこいい!それ好き」みたいな感じの仲なんです。それで今回「こういう企画成立したぞ」と言って、正式発注来た時から、もうシリーズ構成は小柳さんがいい、と。その時点で『Z』と『トリガー』も一緒にやってるので紹介も早かった。じゃあ、もう思い切って「俺たちが思うウルトラマンやろう」と考えていったという感じです。
――子どもたちが「ウィルコォ」をまねしています。そういう反響もうれしいですよね。
【田口監督】そうですね。でも、本当この手の設定でややこしいのは、「ウィルコォ」は「了解」とは違って全部の返事に使ってはいけないんですよ。「ウィルコォ」は命令されたのに対して「それを実行します」という意味が含まれるので、命令に対してでないと答えとして使ってはダメなんです。「ラジャー」とか「イエス」とか「了解」ではないというところが使い方難しいんです(笑)。ミリタリーって、そういうややこしいことがいっぱいあって(笑)。そんなの本気でやってしまったら僕らが自分たちでやってるうちはいいけど、そこから先はきっと散らかるだろうなってのは思ってたんです。
■“中間管理職”なウルトラマンに変身する隊長「超然的な人じゃない」
――今回は隊長がウルトラマンに変身するという設定です。これは田口監督のアイデアだったでしょうか?
【田口監督】隊長を主役にして、ウルトラマンにしようっていう話は小柳さんと2人で話をしている中で出てきた設定です。1番最初にしたのが「特殊部隊にしよう」と。いつもたった5人くらいで全部を解決しようとするの無理があるよね?みたいな話から始まって、怪獣対処をまずは地球防衛隊っていう大きな組織がやる前提にしようとなりました。
『ガイア』をやらなくなった理由として、『ガイア』は設定が大きい。『ガイア』よりも規模を縮小してやったら絶対につまらなくなるし、当時とは環境も違うので。とはいえ、地球防衛隊が大きく存在する中での1部隊に焦点を当てるというのをやってはどうかと。そこから始まり、主役を隊長にしよう、と。
あと、一時期、コロナ禍でリモートが増えた時に、子どもが思う将来なりたい職業に、急に「サラリーマン」っていう言葉が上がってきた、と聞きました。その理由が、お父さんがリモートで家で仕事をして、初めてお父さんが仕事してる姿を子どもたちが見るようになって、今までYouTuberとか、みんなの目につく職業ばっかりが人気だったけど、自分のお父さんが意外とかっこいいってことに子どもたちが気づいたからだと。その話がすごくうれしくて。別に僕は、まだお父さんじゃないですけど(笑)。いい話だなと思って、パパが主人公はいいなって。『ウルトラマンジード』の時にレイトさん、要はパパがウルトラマンゼロだったじゃないですか。あのころ、全く別で企画を考えてたのが、まさにサラリーマンがウルトラマンという企画を勝手に考えていた。前からやりたかったのを自分の『ジード』の担当回でやったのが、絶対に書類を持っていかなきゃいけない時に変身しなきゃいけなくなるサラリーマン。それを『ジード』でちょっとやってたんですけど、お父さんが家庭の事情と怪獣が出ている状態と板挟みになるみたいなのも、前からアイデアとしてはあったので、その辺をごそっと今回のゲントさんに背負ってもらったというか、アイデアを生かしました。
その設定で考えてみると、もう芋づる式に面白いことがいっぱい出てくるんですよ。部下と上官に挟まれる中間管理職みたいなこととか。だから今回、普通にドラマとして面白くするためには、どうしたらいいだろうってのを最初に考えました。やっぱり視聴者のみんなが主人公に乗っかれなきゃダメだなと思ったんです。超然的な人じゃなくて、「わかる。そういう時あるよね」という感じのことを主人公に味わわせたいってのは最初にあった。それで、大体みんなどの立場にいたって板挟みってあるじゃないですか。なんなら子どもだって、きっと親と友達の板挟みにあるはずだ、と。どの仕事やってても板挟みに合うし、僕も今ウルトラマンシリーズの監督を10年やって、まーいろんな板挟みに合ってきたし(笑)。ウルトラマンになったからこそ、どんどん背負わせるってどうだろうか。事情がある時に怪獣が出てきてしまって、今変身しちゃったら社会的にアウトって時にどうする、って面白いと思ったんです。それを、ちょっと本気でやってみようって思ったのが、今回のスタートというか、隊長を主役にする面白さとしての出だしでした。
――ウルトラマンブレーザーの戦いは野生的というかワイルドな戦い方をする。緻密な設定とまた逆で面白いなと思いました。
【田口監督】緻密な設定も含めてですけど、要はSF。サイエンスフィクションで、ある程度ちゃんとサイエンスに基づいていたい、というのがありました。だから軍事考証をちゃんとしたいっていうのは、もともとミリタリー好きですけど、それを抜きにして、SFである以上、ミリタリーだと、そこに明確な答えがある。そうじゃないことをやったら間違いなワケです。なるべく嘘をつくとしてもわかってて嘘をつきたいし、基本嘘はつきたくない。そもそも50メートルの巨大な宇宙人と怪獣が出てくる時点で大うそなんだから、せめて足元は常にリアルでありたい。これは別に今回に限らず常に思ってることなんですけど、それをなるべく徹底的にやろうと思った時に出てきたのが、前からほんわか思っていた「宇宙人が地球語をしゃべるわけがない」だったんです。
最近よく言われる「ウルトラマンがいっぱいしゃべるのはどうか」っていう理論とは全く別です。それについては自分もちょっと思ってますが、初代ウルトラマンが第1話からガッツリしゃべってるし。ウルトラマンゼロが宮野真守さんの声であれだけしゃべったから、あれだけの人気が出たとのは事実だと思いますし。そのことを言いたいのではなくて、ただ今回ハードSFとしてしっかり描こうっていう中であったのは、ウルトラマン=宇宙人が地球語をいきなり理解しているわけがない、地球人が思うような動作、身振りをするわけがない、ということ。スーツアクターの岩田栄慶くんからもうなずくのをやめよう、と提案されたんです。「うなずくのは地球人の動作だ」って。
■ウルトラマンとの“コミュニケーション”とは 岩田栄慶の声の秘密も
――確かに、そうですね。
【田口監督】M78星雲のウルトラマンたちは古代から地球のことを助けてくれて、地球の文化が分かってたり、言葉が分かってたりしていい。今まで自分がメイン監督だったウルトラマンは僕の中でのギリギリの設定として、地球のことをちゃんと研究して覚えてるから日本語をしゃべってるんだっていうもの。『Z』の時にモロにやりましたけど(笑)。だから勉強中のやつは下手くそで、今回はそれどころか、突然ボンって地球人とくっついちゃった設定なのでしゃべれるわけがない。今回コミュニケーションがテーマだというところで、しゃべれるからこそ起きるいざこざもあるけど、しゃべれない人と一心同体になってしまったらどうなってしまうのかというのも面白いんじゃないかと思いました。かつ、今まで観測されたことのないウルトラマン。今までとは完全に違うユニバースのウルトラマンで、今までのユニバースには多分M78があったり、O-50があったけど、今回のユニバースのウルトラの星は初めて観測された、いやまだ観測されてないウルトラの星。もしかしたら、このブレーザーの星があと何億年かしたら文化を築いて、M78みたいになるかもしれないけど、今はまだおそらく怪獣を狩って暮らしている星なのだろうと。
ただ、それは別に原始的な生活を送っているわけではなくて、そういう文化の世界であると思っています。だから今後の『ブレーザー』を扱っていく上で勘違いしないでほしいなって、ずっと思っているんですけど、僕らが想像する原始的な生物ってわけじゃない。それがウルトラマンブレーザーの星の文化なだけ。原始だのなんだのっていうのは地球人的な考えで、もっと宇宙のことを考えていくと全然違うものが生まれてくる。だからこそ、栄慶くんと話していたんですけど、今回あえて設定を決め込まないっていうのもある。例えばブレーザーが戦う前か後に不思議なポーズをする。あれは地球人である僕の説では天と大地に感謝を込めて、あなたの命ちょうだいしますって構えてる。これは僕の説で設定ではない。
あのポーズを最初にやったのは栄慶くんで、特撮クランクインの日、最初のカットを撮影するちょっと前に「なんか足りない」と思い、(アクションコーディネーターの)寺井(大介)さんと栄慶くんが控えてるところにいって、「何か欲しい」って言ったんです(笑)。「ブレーザー独特の構えとか、何かブレーザーを代表する特徴が欲しい」って急遽話し始めて。それでなんだろうって3人で考えた時に、寺井さんが「戦う前に、何か儀式的なポーズをするのはどうだろう」って。剣道の前の蹲踞(そんきょ)だったりとか。そしたら栄慶くんが、あの動きをしたんですよ。「こんな感じ?」と言って。「面白い、それだ!」ってなりました。ブレーザーが戦う前後にあの動きをする設定はその場で決まったんです。だから、絵コンテにはないんです。栄慶くんと、この間ちゃんと話して笑っちゃったのが、栄慶くんもあのポーズがなんなのかわかってないんですよ。「降りてきたからやった」と。
よくムエタイみたいと言われますが、祈祷的なことも言われるんですけど、それも地球人の考え方。みんなは、それが舞かなにかなのかって思ってていいんです。たぶん、いつもだったら、きっと「ブレーザーダンス」みたいな名前が付くけど、わざと今回は設定も何もしていないんです。僕は設定したい方なんですけど「だって、しゃべれないし、わかるわけない」ということをあえてやってみました。栄慶くんも、もともとウルトラマンの時は、憑依型というか、あまり設定してやってるわけじゃないらしいんですよね。それは前から聞いてたし、オーブオリジンをやった時ぐらいから構えないとか、もっと野性的にやりたいとかってずっと言ってたので、今回思い切って直球で全部やってみよう、となりました。それで、なんなら声もやってくれみたいな。
――そういう流れで、岩田さんが声を務めることも決まったんですね。
【田口監督】今回、地球語はしゃべらない。いつもだったら地球語をしゃべるのは声優さんなんですけど、ウルトラマンブレーザーはしゃべらないし「ヘロオォォォォ」だの「プロォォォ」だのしか言わない。で、栄慶くんも前からウルトラボイス自分でやりたいんだって言ってたので、「今年やれるよ!」ってなったんです。それで、本人が発明したのが「ウルトラマンの巻き舌」。舌ないじゃんって思いましたけど(笑)。わかんないからこそ好きにしていいっていう自由度が高かった。
――スパイラルバレードの使い方も独特です。田口監督の中でのイメージ通りですか?
【田口監督】完全に各監督の自由にしていいって言いました。前に『ウルトラマンX』の時に、ザナディウム光線っていう必殺技を打つ前に、いろんなアングルから撮っていた。周りがボンっと吹き飛びながら打つみたいことをやったら、各監督がいろんなアングルから、すごい撃ち方をしたってことがあったんです。それにみんな反応して「ザナディウム大喜利」ってネットミームがついたぐらい。あれが楽しかったので、今回は気心知れた仲間たちが監督なので、きっとみんなやってくれると思って、もう初めから大喜利と宣言しました(笑)。今年の武器はもうクロスビームですらなく、なんか槍状の棒です、自在棒ですと。1話からすでにアンダースローで投げちゃって、どれが正しい投げ方かもわからなくして。それで、2話では釣り竿にして、「もう自由です。好きにしてください」みたいな。1話も2話も3話も実はまともに上から普通に投げてないですよね。一応、バザンガのウィークポイントは脇腹の隙間であるっていうところから正しい撃ち方よりは、その場に1番適した撃ち方をしてるっていうことなんです。
今回、そういうのを細かくやっていて、5人の隊員もエミとゲントだけは靴にズボンの裾を入れてないんです。今までの、例えば『ウルトラマンX』とか『ウルトラマンZ』のころの隊員たちは全員絶対に裾を中に入れているんです。今回あえて不規則にしてる。でも、実はこれには理由があるんです。ゲントとエミは元々特殊部隊員だからであると。これまた小柳さんがメインライターだったからこそできたんですけど、特殊部隊って最近は靴に裾を入れないんです。機能性重視なんですね。だけどテルアキとアンリは叩き上げの歩兵なので入れていて。ヤスノブはエンジニアなんで基本入れてるんだけど靴は短くて自由なんです。だから靴も統一してない。僕はいつも統一にこだわってきたんだけど、今回は逆に統一してない。なぜなら特殊部隊だからで、普通科部隊だとそろっていなきゃいけないから全員一緒だけど、特殊部隊はその人の仕事に1番あった状態にしていくから鉄砲も装備も全部自分でカスタマイズするのでバラバラになる。だから今回は「いつもそうだから」ではなくて、その場に1番適したことをちゃんとやってる人たち。ウルトラマンブレーザーも「こういうポーズで撃たなきゃダメだ」っていう決まりはない。自在に使える必殺技だから、その怪獣に対して1番適した形にして倒すっていうことをやる。これまた自由度が高すぎると今度はルールがないようなもんだから、後に作る人たちは多分めちゃくちゃ大変なことなんですけど(笑)。でも、自由なんだけど、実はある法則性はあるってところが難しい。さっきの「ウィルコォ」の使い方もそうですけど、だからこそ全脚本の打ち合わせに出ました。内容は各監督が呼んできた脚本家さんと「この話はヤスノブ回」「この伏線を張る」ぐらいで後は自由みたいな。1回書いてもらって、それに対して、打ち合わせを一緒にやりながら、「この人こういうしゃべり方しません」とか、「こういう場合だったら命令の仕方こうです」みたいに小柳さんに言ってもらって、 形作っていきました。
■怪獣に脚光は「狙いどころ」 誕生に立ち会い愛着も
――ウルトラマンブレーザーにタイプチェンジがないことで、逆に怪獣に注目が集まっています。
【田口監督】もう完全に狙いどころです。新怪獣たくさん出そうっていうのが1番大きい狙いどころでした。まさにウルトラマンがタイプチェンジをあまりしない、怪獣に適したハンター。その分、怪獣がもっとどんどん個性的に、毎回どう倒せばいいのかとみんなが頭を抱えなきゃいけないような怪獣にしよう、となりました。そもそもウルトラマンシリーズを観てるウルトラファンは、全員とは言わないけど、やっぱり怪獣好きだと思うんです。しかし怪獣も同じ怪獣の繰り返しがだいぶ増えてしまった。そもそももっと怪獣に力を入れるべきだってことは常に言ってきたことだったんです。なので、今回やっとそれがかなって、円谷プロにもその話をしたら「何体出したらいいと思う?」と言われて。「少なくとも全話の半分!」と提案をしてみたら「じゃあ挑戦してみよう」みたいなことを言ってくださった。たぶん、調整はとても大変だったと思うんですけど、もうみんなそれに乗っかって、「それは挑戦としてやろう」となりました。やっぱりウルトラマンに関わっている人たちってウルトラマンもそうだけど、ウルトラ怪獣もスターであるっていうことはみんな思っている。だからみんなが「やるんだな、ついに」みたいな感じの空気がありました。
――覚悟を決めたんですね。
【田口監督】怪獣を造っている造形部に行くと、知らない子たちがいっぱい並んでるわけですよ!「いいねぇ!知らないやつしかいないじゃん!」みたいな。できていく時もワクワクしてましたね。
――その中で田口監督のお気に入り怪獣を挙げるとしたら。
【田口監督】バザンガはかなり気に入ってます。1話の怪獣ってやっぱり気合入れて考えたし、作ってくださった品田冬樹さんにいろんなことをお願いして。作ってる間、本当に何回も見に行きました。品田さんがゴジラを作られた『GMK(ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃)』で僕は助監督のペーペーだった。怪獣が本当に好きなので、いろんな思い出話もしながら、品田さんが削って、怪獣を造っている姿を見たりしてました。どの怪獣も造っているのをずっと眺めてたのでどれも思い出深いです。他の監督回の怪獣もチェックに行けば大体作ってるから「うわ、この怪獣こうなるんだ」みたいな。レヴィーラとか、半透明の怪獣じゃないですか。いつもとは全然違う工程で作られていく感じだったんです。行くたびにだんだんできてきて「こうなるんだ!」みたいなことを言ってベタベタ触ったりしながら。だから1番嫉妬したのはレヴィーラでしたね。半透明の怪獣ってガッツ星人の後頭部は当初の構想では半透明だったみたいな話とか、昔から思想としてはあったわけです。前からやってみたいなと頭では思いつつ、造形物でちゃんとやれるとは思ってなかったから発想もしてなかったので、それに真っ向勝負したレヴィーラはすごいですね。その横でドルゴがずっと背中にずっと草を張られていて(笑)。あの頃の怪獣造形部屋は、ほんと楽しかったです。そういう意味では、アースガロンも思い出深いです。もう本当に手塩にかけたというか、造形部さんにも頑張っていただいたんです。普段ならしないことをいっぱいしてくれたらしくて、本当大変だったみたいです。動いた時は感動しました。
――後半戦に突入します。謎がどんどんこれから深まっていくし、解決もしていくと思いますが、田口監督が思う見どころを教えてください。
【田口監督】基本的には、物語に流れている僕らが縦軸と呼んでいるドラマは最終回に向かってどんどん盛り上がっていくんですけど、基本的には1話完結の短編SFであるっていうのは徹底しようとしています。伏線張ろうとか縦軸を入れすぎて毎回同じことの繰り返しになっちゃったりするのが嫌なので。縦軸に対して、いわゆる横軸と呼んでいる単発話もいっぱいあるので、単純にそれは楽しんでもらいたいと思っています。
でも、思わぬところに伏線を張ったりはしてるんです。だから、そこも気づけたら面白い、というぐらい。それに気づけなくても別にいい。むしろSKaRDの人たちとか、ウルトラマンとゲントとか、あのユニバースにおける地球人類が、どうやって本作の最終回でやってくる難局を乗り越えるのか。彼らはそのためにいろんな目に合ってるという側面もある。謎そのものを楽しむというよりは、その大きな局面に来た時に、あいつらが何をするか、どう切り抜けるか。そして、切り抜けるために彼らはそれまでにどんな成長をしていくのか、どんな人間関係を築くのか、みたいな話を楽しめるように作ったつもりです。
――3年前の事件の謎もファンは注目していると思います。ヒント的なものがあるとするなら。
【田口監督】「全部分かりやすく説明しないと描いたことにならない」という考え方はあまり好きじゃないんです。本当にちゃんと理解したいならば、細かいところまで観ていればヒントはある、というように作っています。優しくは作ってないけど、それがわからないとストーリーがわからないようには作っていない。今回特にそんなに小難しい話ではないんで。
ブレーザーについてもあえて細かいことは設定しない。だって、地球人が認知できるようなレベルのことじゃないから。これまた答えなんてないんじゃないかと思っていて。だから、あまりガチガチに設定しすぎず、それはもう宇宙の神秘であると。もちろん作ってく上での設定はあるんです。でもそれすら、それは我々の説であって、事実かどうかわからない。そうすることで、だいぶ余地残す感じにわざとしています。
――ゲントとウルトラマンブレーザーの関係性も変化します。
【田口監督】どうして彼らがそうなったのかというよりは、そうなっちゃった後の彼らがどうするのかに重きを置いてるという感じです。なっちゃったことはしょうがないんだからっていうぐらい。どうしてそうなったのかのヒントというか、材料はちゃんと撒いているんですけど、それを具体的に説明的に描いたりはしないっていう風になっています。
――後半を楽しみにしているファンにメッセージを。
【田口監督】後半も各話エピソードを単品でも楽しめるよう心がけて構成しています。その中で、実は流れてる縦軸の「あの時に言ってた、あの一言が!」とか「あの時の書類に書いてた文字はこれを指してたんだ」とか、割と見つけるのを難しくしてる代わりに見つけたら嬉しいばらまいている要素を探す、オプション的な楽しみ方もあるかもしれません。あと何と言ってもSKaRDの各キャラの成長と関係性を見ていて欲しいですね。
――最後に後半戦に出てくるおすすめ怪獣とか好きな怪獣を言える範囲で
【田口監督】最終回の怪獣は気に入ってます。いい怪獣出ますよ!
★YouTube公式チャンネル「ORICON NEWS」
■盟友の小柳啓伍氏とのタッグで新機軸のウルトラマンに
最新テレビシリーズ『ウルトラマンブレーザー』は、地球からはるか遠くの天体「M421」からやってきた、揺るがぬ正義感を持つ新ヒーローウルトラマンブレーザーが、地球防衛隊が設立した特殊怪獣対応分遣隊「SKaRD(スカード)」の隊長を務める主人公ヒルマ ゲントの、人の命を救うために力を欲する強い心に共鳴して一体化。ウルトラマンに変身する隊長、そして隊員・上官らが織りなすハートフルなヒューマンドラマを、ウルトラマンシリーズならではの最新特撮技術を通して描くSF作品となる。
――放送からしばらく時間が経過しましたが、田口監督には『ウルトラマンブレーザー』のどんな反響が届いていますか?
【田口監督】おおむね好評ということで安心しているところです。
――うれしかったことがあれば。
【田口監督】第1話が割りと冒険だったので、ああいう内容について、反対もないことはなかった。YouTubeでの再生数が大事だって言われていて、そこですごい数字叩き出した。純粋に明確な数字が出たのでうれしかったですね。やってよかったと思いました。
――第1話の冒頭から引きつけられる空中から飛び降りるシーンはインパクトがありました。もちろん意図するところではあったと思いますが。
【田口監督】この話を1番最初にいただいたのは、円谷プロに呼び出された時だったんです。その時に、どういうのを作るかって話になり、『ニュージェネガイア』みたいな話もありましたけど、今回あえてやめようってことになりました。じゃあ全く新しいことをやろうとなって、「何かアイデアある?」と円谷プロ側から言われた時に、僕が最初にプレゼンしたのが「池袋に特殊部隊が降下するところから始まるドラマはどうですか?」ということでした(笑)。実は最初の段階から、それをプレゼンしているんです。その時に僕の好きな動画をいくつか見せて「こういうことを、いきなりやったら面白いと思うんです」っていう提案をしたら、円谷プロ側も乗ってくださり、「面白いかもしれない、それをやってみよう」と。「全体的に1回やりたいことを全部言ってみて」みたいなことを言ってもらえました。そういうところからスタートした企画だった。そういう意味では、最初に言った内容をそのままできることは大体ないんですけど、今回はそれができました。
――ミリタリー要素も感じられる作品に仕上がっています。
【田口監督】今回、一緒にシリーズ構成をやってるメインライターの小柳啓伍さんとはプライベートでも仲がいいんです。とある仕事でミリタリー要素を強く出したいと思った作品があって「脚本はミリタリーに強い方いませんか?」ってプロデューサーにお願いして紹介されたのが小柳さんでした。だから、ミリタリー的にゴリゴリに一緒に考えた作品の脚本があったんですけど、その作品がなくなってしまって。でもその後、自主映画『UNFIX』でミリタリー考証してもらったり、『ウルトラマンZ』では全面的にバックアップで入って、『ウルトラマントリガー』では脚本を書いてもらって、みたいな。まだ発表できない仕事もいくつか一緒にやってるんです。今、相棒みたいな感じでやってる方。趣味がとっても合うんです(笑)。「こういうのいいよね?」って言ったら「あーかっこいい!それ好き」みたいな感じの仲なんです。それで今回「こういう企画成立したぞ」と言って、正式発注来た時から、もうシリーズ構成は小柳さんがいい、と。その時点で『Z』と『トリガー』も一緒にやってるので紹介も早かった。じゃあ、もう思い切って「俺たちが思うウルトラマンやろう」と考えていったという感じです。
――子どもたちが「ウィルコォ」をまねしています。そういう反響もうれしいですよね。
【田口監督】そうですね。でも、本当この手の設定でややこしいのは、「ウィルコォ」は「了解」とは違って全部の返事に使ってはいけないんですよ。「ウィルコォ」は命令されたのに対して「それを実行します」という意味が含まれるので、命令に対してでないと答えとして使ってはダメなんです。「ラジャー」とか「イエス」とか「了解」ではないというところが使い方難しいんです(笑)。ミリタリーって、そういうややこしいことがいっぱいあって(笑)。そんなの本気でやってしまったら僕らが自分たちでやってるうちはいいけど、そこから先はきっと散らかるだろうなってのは思ってたんです。
■“中間管理職”なウルトラマンに変身する隊長「超然的な人じゃない」
【田口監督】隊長を主役にして、ウルトラマンにしようっていう話は小柳さんと2人で話をしている中で出てきた設定です。1番最初にしたのが「特殊部隊にしよう」と。いつもたった5人くらいで全部を解決しようとするの無理があるよね?みたいな話から始まって、怪獣対処をまずは地球防衛隊っていう大きな組織がやる前提にしようとなりました。
『ガイア』をやらなくなった理由として、『ガイア』は設定が大きい。『ガイア』よりも規模を縮小してやったら絶対につまらなくなるし、当時とは環境も違うので。とはいえ、地球防衛隊が大きく存在する中での1部隊に焦点を当てるというのをやってはどうかと。そこから始まり、主役を隊長にしよう、と。
あと、一時期、コロナ禍でリモートが増えた時に、子どもが思う将来なりたい職業に、急に「サラリーマン」っていう言葉が上がってきた、と聞きました。その理由が、お父さんがリモートで家で仕事をして、初めてお父さんが仕事してる姿を子どもたちが見るようになって、今までYouTuberとか、みんなの目につく職業ばっかりが人気だったけど、自分のお父さんが意外とかっこいいってことに子どもたちが気づいたからだと。その話がすごくうれしくて。別に僕は、まだお父さんじゃないですけど(笑)。いい話だなと思って、パパが主人公はいいなって。『ウルトラマンジード』の時にレイトさん、要はパパがウルトラマンゼロだったじゃないですか。あのころ、全く別で企画を考えてたのが、まさにサラリーマンがウルトラマンという企画を勝手に考えていた。前からやりたかったのを自分の『ジード』の担当回でやったのが、絶対に書類を持っていかなきゃいけない時に変身しなきゃいけなくなるサラリーマン。それを『ジード』でちょっとやってたんですけど、お父さんが家庭の事情と怪獣が出ている状態と板挟みになるみたいなのも、前からアイデアとしてはあったので、その辺をごそっと今回のゲントさんに背負ってもらったというか、アイデアを生かしました。
その設定で考えてみると、もう芋づる式に面白いことがいっぱい出てくるんですよ。部下と上官に挟まれる中間管理職みたいなこととか。だから今回、普通にドラマとして面白くするためには、どうしたらいいだろうってのを最初に考えました。やっぱり視聴者のみんなが主人公に乗っかれなきゃダメだなと思ったんです。超然的な人じゃなくて、「わかる。そういう時あるよね」という感じのことを主人公に味わわせたいってのは最初にあった。それで、大体みんなどの立場にいたって板挟みってあるじゃないですか。なんなら子どもだって、きっと親と友達の板挟みにあるはずだ、と。どの仕事やってても板挟みに合うし、僕も今ウルトラマンシリーズの監督を10年やって、まーいろんな板挟みに合ってきたし(笑)。ウルトラマンになったからこそ、どんどん背負わせるってどうだろうか。事情がある時に怪獣が出てきてしまって、今変身しちゃったら社会的にアウトって時にどうする、って面白いと思ったんです。それを、ちょっと本気でやってみようって思ったのが、今回のスタートというか、隊長を主役にする面白さとしての出だしでした。
――ウルトラマンブレーザーの戦いは野生的というかワイルドな戦い方をする。緻密な設定とまた逆で面白いなと思いました。
【田口監督】緻密な設定も含めてですけど、要はSF。サイエンスフィクションで、ある程度ちゃんとサイエンスに基づいていたい、というのがありました。だから軍事考証をちゃんとしたいっていうのは、もともとミリタリー好きですけど、それを抜きにして、SFである以上、ミリタリーだと、そこに明確な答えがある。そうじゃないことをやったら間違いなワケです。なるべく嘘をつくとしてもわかってて嘘をつきたいし、基本嘘はつきたくない。そもそも50メートルの巨大な宇宙人と怪獣が出てくる時点で大うそなんだから、せめて足元は常にリアルでありたい。これは別に今回に限らず常に思ってることなんですけど、それをなるべく徹底的にやろうと思った時に出てきたのが、前からほんわか思っていた「宇宙人が地球語をしゃべるわけがない」だったんです。
最近よく言われる「ウルトラマンがいっぱいしゃべるのはどうか」っていう理論とは全く別です。それについては自分もちょっと思ってますが、初代ウルトラマンが第1話からガッツリしゃべってるし。ウルトラマンゼロが宮野真守さんの声であれだけしゃべったから、あれだけの人気が出たとのは事実だと思いますし。そのことを言いたいのではなくて、ただ今回ハードSFとしてしっかり描こうっていう中であったのは、ウルトラマン=宇宙人が地球語をいきなり理解しているわけがない、地球人が思うような動作、身振りをするわけがない、ということ。スーツアクターの岩田栄慶くんからもうなずくのをやめよう、と提案されたんです。「うなずくのは地球人の動作だ」って。
■ウルトラマンとの“コミュニケーション”とは 岩田栄慶の声の秘密も
――確かに、そうですね。
【田口監督】M78星雲のウルトラマンたちは古代から地球のことを助けてくれて、地球の文化が分かってたり、言葉が分かってたりしていい。今まで自分がメイン監督だったウルトラマンは僕の中でのギリギリの設定として、地球のことをちゃんと研究して覚えてるから日本語をしゃべってるんだっていうもの。『Z』の時にモロにやりましたけど(笑)。だから勉強中のやつは下手くそで、今回はそれどころか、突然ボンって地球人とくっついちゃった設定なのでしゃべれるわけがない。今回コミュニケーションがテーマだというところで、しゃべれるからこそ起きるいざこざもあるけど、しゃべれない人と一心同体になってしまったらどうなってしまうのかというのも面白いんじゃないかと思いました。かつ、今まで観測されたことのないウルトラマン。今までとは完全に違うユニバースのウルトラマンで、今までのユニバースには多分M78があったり、O-50があったけど、今回のユニバースのウルトラの星は初めて観測された、いやまだ観測されてないウルトラの星。もしかしたら、このブレーザーの星があと何億年かしたら文化を築いて、M78みたいになるかもしれないけど、今はまだおそらく怪獣を狩って暮らしている星なのだろうと。
ただ、それは別に原始的な生活を送っているわけではなくて、そういう文化の世界であると思っています。だから今後の『ブレーザー』を扱っていく上で勘違いしないでほしいなって、ずっと思っているんですけど、僕らが想像する原始的な生物ってわけじゃない。それがウルトラマンブレーザーの星の文化なだけ。原始だのなんだのっていうのは地球人的な考えで、もっと宇宙のことを考えていくと全然違うものが生まれてくる。だからこそ、栄慶くんと話していたんですけど、今回あえて設定を決め込まないっていうのもある。例えばブレーザーが戦う前か後に不思議なポーズをする。あれは地球人である僕の説では天と大地に感謝を込めて、あなたの命ちょうだいしますって構えてる。これは僕の説で設定ではない。
あのポーズを最初にやったのは栄慶くんで、特撮クランクインの日、最初のカットを撮影するちょっと前に「なんか足りない」と思い、(アクションコーディネーターの)寺井(大介)さんと栄慶くんが控えてるところにいって、「何か欲しい」って言ったんです(笑)。「ブレーザー独特の構えとか、何かブレーザーを代表する特徴が欲しい」って急遽話し始めて。それでなんだろうって3人で考えた時に、寺井さんが「戦う前に、何か儀式的なポーズをするのはどうだろう」って。剣道の前の蹲踞(そんきょ)だったりとか。そしたら栄慶くんが、あの動きをしたんですよ。「こんな感じ?」と言って。「面白い、それだ!」ってなりました。ブレーザーが戦う前後にあの動きをする設定はその場で決まったんです。だから、絵コンテにはないんです。栄慶くんと、この間ちゃんと話して笑っちゃったのが、栄慶くんもあのポーズがなんなのかわかってないんですよ。「降りてきたからやった」と。
よくムエタイみたいと言われますが、祈祷的なことも言われるんですけど、それも地球人の考え方。みんなは、それが舞かなにかなのかって思ってていいんです。たぶん、いつもだったら、きっと「ブレーザーダンス」みたいな名前が付くけど、わざと今回は設定も何もしていないんです。僕は設定したい方なんですけど「だって、しゃべれないし、わかるわけない」ということをあえてやってみました。栄慶くんも、もともとウルトラマンの時は、憑依型というか、あまり設定してやってるわけじゃないらしいんですよね。それは前から聞いてたし、オーブオリジンをやった時ぐらいから構えないとか、もっと野性的にやりたいとかってずっと言ってたので、今回思い切って直球で全部やってみよう、となりました。それで、なんなら声もやってくれみたいな。
――そういう流れで、岩田さんが声を務めることも決まったんですね。
【田口監督】今回、地球語はしゃべらない。いつもだったら地球語をしゃべるのは声優さんなんですけど、ウルトラマンブレーザーはしゃべらないし「ヘロオォォォォ」だの「プロォォォ」だのしか言わない。で、栄慶くんも前からウルトラボイス自分でやりたいんだって言ってたので、「今年やれるよ!」ってなったんです。それで、本人が発明したのが「ウルトラマンの巻き舌」。舌ないじゃんって思いましたけど(笑)。わかんないからこそ好きにしていいっていう自由度が高かった。
――スパイラルバレードの使い方も独特です。田口監督の中でのイメージ通りですか?
【田口監督】完全に各監督の自由にしていいって言いました。前に『ウルトラマンX』の時に、ザナディウム光線っていう必殺技を打つ前に、いろんなアングルから撮っていた。周りがボンっと吹き飛びながら打つみたいことをやったら、各監督がいろんなアングルから、すごい撃ち方をしたってことがあったんです。それにみんな反応して「ザナディウム大喜利」ってネットミームがついたぐらい。あれが楽しかったので、今回は気心知れた仲間たちが監督なので、きっとみんなやってくれると思って、もう初めから大喜利と宣言しました(笑)。今年の武器はもうクロスビームですらなく、なんか槍状の棒です、自在棒ですと。1話からすでにアンダースローで投げちゃって、どれが正しい投げ方かもわからなくして。それで、2話では釣り竿にして、「もう自由です。好きにしてください」みたいな。1話も2話も3話も実はまともに上から普通に投げてないですよね。一応、バザンガのウィークポイントは脇腹の隙間であるっていうところから正しい撃ち方よりは、その場に1番適した撃ち方をしてるっていうことなんです。
今回、そういうのを細かくやっていて、5人の隊員もエミとゲントだけは靴にズボンの裾を入れてないんです。今までの、例えば『ウルトラマンX』とか『ウルトラマンZ』のころの隊員たちは全員絶対に裾を中に入れているんです。今回あえて不規則にしてる。でも、実はこれには理由があるんです。ゲントとエミは元々特殊部隊員だからであると。これまた小柳さんがメインライターだったからこそできたんですけど、特殊部隊って最近は靴に裾を入れないんです。機能性重視なんですね。だけどテルアキとアンリは叩き上げの歩兵なので入れていて。ヤスノブはエンジニアなんで基本入れてるんだけど靴は短くて自由なんです。だから靴も統一してない。僕はいつも統一にこだわってきたんだけど、今回は逆に統一してない。なぜなら特殊部隊だからで、普通科部隊だとそろっていなきゃいけないから全員一緒だけど、特殊部隊はその人の仕事に1番あった状態にしていくから鉄砲も装備も全部自分でカスタマイズするのでバラバラになる。だから今回は「いつもそうだから」ではなくて、その場に1番適したことをちゃんとやってる人たち。ウルトラマンブレーザーも「こういうポーズで撃たなきゃダメだ」っていう決まりはない。自在に使える必殺技だから、その怪獣に対して1番適した形にして倒すっていうことをやる。これまた自由度が高すぎると今度はルールがないようなもんだから、後に作る人たちは多分めちゃくちゃ大変なことなんですけど(笑)。でも、自由なんだけど、実はある法則性はあるってところが難しい。さっきの「ウィルコォ」の使い方もそうですけど、だからこそ全脚本の打ち合わせに出ました。内容は各監督が呼んできた脚本家さんと「この話はヤスノブ回」「この伏線を張る」ぐらいで後は自由みたいな。1回書いてもらって、それに対して、打ち合わせを一緒にやりながら、「この人こういうしゃべり方しません」とか、「こういう場合だったら命令の仕方こうです」みたいに小柳さんに言ってもらって、 形作っていきました。
■怪獣に脚光は「狙いどころ」 誕生に立ち会い愛着も
――ウルトラマンブレーザーにタイプチェンジがないことで、逆に怪獣に注目が集まっています。
【田口監督】もう完全に狙いどころです。新怪獣たくさん出そうっていうのが1番大きい狙いどころでした。まさにウルトラマンがタイプチェンジをあまりしない、怪獣に適したハンター。その分、怪獣がもっとどんどん個性的に、毎回どう倒せばいいのかとみんなが頭を抱えなきゃいけないような怪獣にしよう、となりました。そもそもウルトラマンシリーズを観てるウルトラファンは、全員とは言わないけど、やっぱり怪獣好きだと思うんです。しかし怪獣も同じ怪獣の繰り返しがだいぶ増えてしまった。そもそももっと怪獣に力を入れるべきだってことは常に言ってきたことだったんです。なので、今回やっとそれがかなって、円谷プロにもその話をしたら「何体出したらいいと思う?」と言われて。「少なくとも全話の半分!」と提案をしてみたら「じゃあ挑戦してみよう」みたいなことを言ってくださった。たぶん、調整はとても大変だったと思うんですけど、もうみんなそれに乗っかって、「それは挑戦としてやろう」となりました。やっぱりウルトラマンに関わっている人たちってウルトラマンもそうだけど、ウルトラ怪獣もスターであるっていうことはみんな思っている。だからみんなが「やるんだな、ついに」みたいな感じの空気がありました。
――覚悟を決めたんですね。
【田口監督】怪獣を造っている造形部に行くと、知らない子たちがいっぱい並んでるわけですよ!「いいねぇ!知らないやつしかいないじゃん!」みたいな。できていく時もワクワクしてましたね。
――その中で田口監督のお気に入り怪獣を挙げるとしたら。
【田口監督】バザンガはかなり気に入ってます。1話の怪獣ってやっぱり気合入れて考えたし、作ってくださった品田冬樹さんにいろんなことをお願いして。作ってる間、本当に何回も見に行きました。品田さんがゴジラを作られた『GMK(ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃)』で僕は助監督のペーペーだった。怪獣が本当に好きなので、いろんな思い出話もしながら、品田さんが削って、怪獣を造っている姿を見たりしてました。どの怪獣も造っているのをずっと眺めてたのでどれも思い出深いです。他の監督回の怪獣もチェックに行けば大体作ってるから「うわ、この怪獣こうなるんだ」みたいな。レヴィーラとか、半透明の怪獣じゃないですか。いつもとは全然違う工程で作られていく感じだったんです。行くたびにだんだんできてきて「こうなるんだ!」みたいなことを言ってベタベタ触ったりしながら。だから1番嫉妬したのはレヴィーラでしたね。半透明の怪獣ってガッツ星人の後頭部は当初の構想では半透明だったみたいな話とか、昔から思想としてはあったわけです。前からやってみたいなと頭では思いつつ、造形物でちゃんとやれるとは思ってなかったから発想もしてなかったので、それに真っ向勝負したレヴィーラはすごいですね。その横でドルゴがずっと背中にずっと草を張られていて(笑)。あの頃の怪獣造形部屋は、ほんと楽しかったです。そういう意味では、アースガロンも思い出深いです。もう本当に手塩にかけたというか、造形部さんにも頑張っていただいたんです。普段ならしないことをいっぱいしてくれたらしくて、本当大変だったみたいです。動いた時は感動しました。
――後半戦に突入します。謎がどんどんこれから深まっていくし、解決もしていくと思いますが、田口監督が思う見どころを教えてください。
【田口監督】基本的には、物語に流れている僕らが縦軸と呼んでいるドラマは最終回に向かってどんどん盛り上がっていくんですけど、基本的には1話完結の短編SFであるっていうのは徹底しようとしています。伏線張ろうとか縦軸を入れすぎて毎回同じことの繰り返しになっちゃったりするのが嫌なので。縦軸に対して、いわゆる横軸と呼んでいる単発話もいっぱいあるので、単純にそれは楽しんでもらいたいと思っています。
でも、思わぬところに伏線を張ったりはしてるんです。だから、そこも気づけたら面白い、というぐらい。それに気づけなくても別にいい。むしろSKaRDの人たちとか、ウルトラマンとゲントとか、あのユニバースにおける地球人類が、どうやって本作の最終回でやってくる難局を乗り越えるのか。彼らはそのためにいろんな目に合ってるという側面もある。謎そのものを楽しむというよりは、その大きな局面に来た時に、あいつらが何をするか、どう切り抜けるか。そして、切り抜けるために彼らはそれまでにどんな成長をしていくのか、どんな人間関係を築くのか、みたいな話を楽しめるように作ったつもりです。
――3年前の事件の謎もファンは注目していると思います。ヒント的なものがあるとするなら。
【田口監督】「全部分かりやすく説明しないと描いたことにならない」という考え方はあまり好きじゃないんです。本当にちゃんと理解したいならば、細かいところまで観ていればヒントはある、というように作っています。優しくは作ってないけど、それがわからないとストーリーがわからないようには作っていない。今回特にそんなに小難しい話ではないんで。
ブレーザーについてもあえて細かいことは設定しない。だって、地球人が認知できるようなレベルのことじゃないから。これまた答えなんてないんじゃないかと思っていて。だから、あまりガチガチに設定しすぎず、それはもう宇宙の神秘であると。もちろん作ってく上での設定はあるんです。でもそれすら、それは我々の説であって、事実かどうかわからない。そうすることで、だいぶ余地残す感じにわざとしています。
――ゲントとウルトラマンブレーザーの関係性も変化します。
【田口監督】どうして彼らがそうなったのかというよりは、そうなっちゃった後の彼らがどうするのかに重きを置いてるという感じです。なっちゃったことはしょうがないんだからっていうぐらい。どうしてそうなったのかのヒントというか、材料はちゃんと撒いているんですけど、それを具体的に説明的に描いたりはしないっていう風になっています。
――後半を楽しみにしているファンにメッセージを。
【田口監督】後半も各話エピソードを単品でも楽しめるよう心がけて構成しています。その中で、実は流れてる縦軸の「あの時に言ってた、あの一言が!」とか「あの時の書類に書いてた文字はこれを指してたんだ」とか、割と見つけるのを難しくしてる代わりに見つけたら嬉しいばらまいている要素を探す、オプション的な楽しみ方もあるかもしれません。あと何と言ってもSKaRDの各キャラの成長と関係性を見ていて欲しいですね。
――最後に後半戦に出てくるおすすめ怪獣とか好きな怪獣を言える範囲で
【田口監督】最終回の怪獣は気に入ってます。いい怪獣出ますよ!
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2023/10/21