Amazonスタジオと、アニメ『ルパン三世』をプロデュースし続けてきたトムス・エンタテインメントの共同製作による実写映画『次元大介』が、10月13日より動画配信サービス『Prime Video』で世界同時配信される。2014年公開の実写映画『ルパン三世』に続いて今作でも次元を演じる玉山鉄二と、2021年放送のアニメ『ルパン三世 PART6』より次元大介役の声優を務める大塚明夫という、実写×アニメの次元大介対談が実現した。玉山の役作り、2人が考える次元の魅力やカッコよさ、大塚の“小林・次元”に対する想いを聞いた。
■「次元の人間らしさや、かわいい部分を現場で見つけた」(玉山)
故モンキー・パンチさん原作の『ルパン三世』は50年以上にわたり、世界中で人気を誇る作品だ。本作は、長年連れ添った愛銃コンバット・マグナムに違和感を覚えた次元(玉山)が、世界一のガンスミス(銃職人)を探して日本を訪れるところから始まる。寂れた時計店を営む世界一のガンスミス・矢口千春(草笛光子)や、残酷な過去のトラウマで声を出せなくなってしまった少女・オト(真木ことか)との出会いにより、3人の疑似家族のような暮らしが図らずも始まる。ある日、悪名高いスラム・泥魚街のボスで伝説の元殺し屋アデル(真木よう子)とその右腕・川島武(永瀬正敏)によってオトが連れ去られてしまう。次元はオトを助け出すべく孤独な戦いに身を投じていく。
――玉山さんが次元を演じるのは2回目になります。再び次元を演じることが決まった時の率直な気持ちを教えてください。
玉山:とてもうれしかったので、「すぐにお受けします」と。脚本は次元とオトの人間ドラマが慎重に描かれていたんです。距離の詰め方に違和感がなく、徐々に縮まっていくオトとの関係に、小っ恥ずかしさはあるものの次元の人間らしさが表現されている。アニメシリーズとはまた違う景色を見られるので、僕としても感謝しています。
――大塚さんは今作をご覧になってどう感じられましたか。
大塚:30分のアニメシリーズでは、なかなかここまで丁寧にはやれない。少女がひどい目にあっていることに耐えきれず次元が絡んでいき、いろんなドラマを紡いでいくけど、ことさらに優しくしているわけではないのに次元の優しさがにじんで出てくるような作りがすてきだと思います。アクションもカッコいい。ファンが喜ぶような粋な演出もとても好きですね。
――前作から9年空いていますが、当時と今とでは次元を演じる上で変化はありましたか?
玉山:今作はフォーカスが次元に当たっている分、当時だとオフになっていた部分が表面化していましたね。次元のかわいい部分を演じながら見つけることもあって、とても楽しかったです。
■大塚、玉山・次元を絶賛「何の心配もない」
――『ルパン三世』はルパンはじめキャラクター人気も高い作品ですが、次元が愛される理由や次元のカッコよさの軸は何だと思いますか?
玉山:いわゆる次元が持っているであろう哲学みたいなものですね。現場に入ると意識しなくても自分の中に入ってくるんです。そして演じながら、「なにかが足りないかもしれないから、試してみよう」という具合に、感覚的につかんでいる“次元”を大事にしています。監督とも、「活字だと成立していても、声に出すとキザすぎる部分は調節してくれてもいい、動作で表現できるのだったらそれに越したことはない」と言葉をいただいていたので、演じやすかったですね。
――仕草でダンディーさを示せるのも次元のカッコよさのひとつですね。
玉山:オトちゃんに帽子かぶせてあげるシーンは台本にはなく、本当は言葉だったんです。けど、次元らしい優しさを考えたときに、現場であの行動になって。自分が感じている次元らしさが集約されている部分かな、と思っています。
――大塚さんは今作を見て、次元のカッコよさや魅力を再確認したシーンはありますか?
大塚:全編にわたってですね。アニメの実写化は難しいと思います。冒頭、次元大介が三次元だということに「うん?」って思う人もいるでしょうが、すぐ忘れます。玉山鉄二が次元に見えてくるので、みなさんなんの心配もなく楽しめると思います。
――大塚さんの思う、次元の魅力は?
大塚:優しさ、ダンディーさ、とか。それと、ちょっとした照れが色気につながったり、トータルでいい男だと思います。
――実写とアニメ、それぞれのフィールドでおふたりは次元の魅力を体現されていますね。
玉山:僕の場合はアニメの原画も含め、大塚さんや小林さんたちが積み上げてきた土台があって、自分が演じることでどういうスパイスを入れよう、なにを引き算しようとか、そういう作業だったので。次元に対する想いやイメージがすでに人それぞれあって、そこに僕がどうアプローチしていくかは勇気がいることだからこそ、なるべく足さないようにはしていました。そぎ落とすというか。
大塚:気合を入れすぎて次元を“魅せよう”と思うと、多分間違うなという感じですよね。
■「清志さんの遺伝子を大事にしていたら、次の世代に誰かがまた受け取ってくれる」(大塚)
――大塚さんは『ルパン三世 PART6』で次元大介役の声優を、小林清志さんから引き継がれています。改めて影響を受けたことや大事にしているこだわりがあれば聞かせてください。
大塚:どこまでいっても「清志さんの面影」を感じてほしいというのがあります。“最初の次元大介”ですし、僕自身が次元大介の大ファンで、清志さんの次元で育ちました。その遺伝子を大事にしていたら、次の世代に誰かがまた受け取ってやってくれるのだろうなって思っていて。つないでいくバトンを意識して走って行きたいです。
――継承の大切さはあるものの、オリジナリティの部分ではどうでしょうか。
大塚:「清志さんを忘れないでほしい」「あの次元を忘れないでほしい」と思ってやっていたところで、しょせん僕がやっているのでオリジナリティは出ちゃうもの。にじんで出ちゃうはずなので、あえて出そうとは思っていませんね。
――玉山さんにとって、次元を演じる喜びとは?
玉山:次元だけではなく、どの作品もキャラクター作りはとても大事にしています。他のキャストの方々とのバランスも考慮しつつ、自分が台本を読んで「このシーンはこうしたいな」と思う以上に、現場に行ったらいろんな次元に出会える。自分が予期せぬ部分で出てきた次元がどういう次元なのかを楽しみに、毎日現場に行っていたような感覚があります。
――ご自身でも想像していなかった次元が出てくるというのは興味深いですね。
玉山:さきほど、みなさんの次元をベースに演じていると言いましたが、中には僕にしか感じ得ない次元もきっとある。もちろん許容範囲はあるでしょうが、それをどうお客さんに提示できるか、みなさんも楽しみにしていただけければうれしいです。
取材・文/遠藤政樹
撮影/山崎美津留
スタイリスト/袴田能生(玉山鉄二)、森島あさみ(大塚明夫)
ヘアメイク/石邑麻由(玉山鉄二)、藤井康弘(大塚明夫)
■「次元の人間らしさや、かわいい部分を現場で見つけた」(玉山)
故モンキー・パンチさん原作の『ルパン三世』は50年以上にわたり、世界中で人気を誇る作品だ。本作は、長年連れ添った愛銃コンバット・マグナムに違和感を覚えた次元(玉山)が、世界一のガンスミス(銃職人)を探して日本を訪れるところから始まる。寂れた時計店を営む世界一のガンスミス・矢口千春(草笛光子)や、残酷な過去のトラウマで声を出せなくなってしまった少女・オト(真木ことか)との出会いにより、3人の疑似家族のような暮らしが図らずも始まる。ある日、悪名高いスラム・泥魚街のボスで伝説の元殺し屋アデル(真木よう子)とその右腕・川島武(永瀬正敏)によってオトが連れ去られてしまう。次元はオトを助け出すべく孤独な戦いに身を投じていく。
――玉山さんが次元を演じるのは2回目になります。再び次元を演じることが決まった時の率直な気持ちを教えてください。
玉山:とてもうれしかったので、「すぐにお受けします」と。脚本は次元とオトの人間ドラマが慎重に描かれていたんです。距離の詰め方に違和感がなく、徐々に縮まっていくオトとの関係に、小っ恥ずかしさはあるものの次元の人間らしさが表現されている。アニメシリーズとはまた違う景色を見られるので、僕としても感謝しています。
――大塚さんは今作をご覧になってどう感じられましたか。
大塚:30分のアニメシリーズでは、なかなかここまで丁寧にはやれない。少女がひどい目にあっていることに耐えきれず次元が絡んでいき、いろんなドラマを紡いでいくけど、ことさらに優しくしているわけではないのに次元の優しさがにじんで出てくるような作りがすてきだと思います。アクションもカッコいい。ファンが喜ぶような粋な演出もとても好きですね。
――前作から9年空いていますが、当時と今とでは次元を演じる上で変化はありましたか?
玉山:今作はフォーカスが次元に当たっている分、当時だとオフになっていた部分が表面化していましたね。次元のかわいい部分を演じながら見つけることもあって、とても楽しかったです。
■大塚、玉山・次元を絶賛「何の心配もない」
――『ルパン三世』はルパンはじめキャラクター人気も高い作品ですが、次元が愛される理由や次元のカッコよさの軸は何だと思いますか?
玉山:いわゆる次元が持っているであろう哲学みたいなものですね。現場に入ると意識しなくても自分の中に入ってくるんです。そして演じながら、「なにかが足りないかもしれないから、試してみよう」という具合に、感覚的につかんでいる“次元”を大事にしています。監督とも、「活字だと成立していても、声に出すとキザすぎる部分は調節してくれてもいい、動作で表現できるのだったらそれに越したことはない」と言葉をいただいていたので、演じやすかったですね。
――仕草でダンディーさを示せるのも次元のカッコよさのひとつですね。
玉山:オトちゃんに帽子かぶせてあげるシーンは台本にはなく、本当は言葉だったんです。けど、次元らしい優しさを考えたときに、現場であの行動になって。自分が感じている次元らしさが集約されている部分かな、と思っています。
――大塚さんは今作を見て、次元のカッコよさや魅力を再確認したシーンはありますか?
大塚:全編にわたってですね。アニメの実写化は難しいと思います。冒頭、次元大介が三次元だということに「うん?」って思う人もいるでしょうが、すぐ忘れます。玉山鉄二が次元に見えてくるので、みなさんなんの心配もなく楽しめると思います。
――大塚さんの思う、次元の魅力は?
大塚:優しさ、ダンディーさ、とか。それと、ちょっとした照れが色気につながったり、トータルでいい男だと思います。
――実写とアニメ、それぞれのフィールドでおふたりは次元の魅力を体現されていますね。
玉山:僕の場合はアニメの原画も含め、大塚さんや小林さんたちが積み上げてきた土台があって、自分が演じることでどういうスパイスを入れよう、なにを引き算しようとか、そういう作業だったので。次元に対する想いやイメージがすでに人それぞれあって、そこに僕がどうアプローチしていくかは勇気がいることだからこそ、なるべく足さないようにはしていました。そぎ落とすというか。
大塚:気合を入れすぎて次元を“魅せよう”と思うと、多分間違うなという感じですよね。
■「清志さんの遺伝子を大事にしていたら、次の世代に誰かがまた受け取ってくれる」(大塚)
――大塚さんは『ルパン三世 PART6』で次元大介役の声優を、小林清志さんから引き継がれています。改めて影響を受けたことや大事にしているこだわりがあれば聞かせてください。
大塚:どこまでいっても「清志さんの面影」を感じてほしいというのがあります。“最初の次元大介”ですし、僕自身が次元大介の大ファンで、清志さんの次元で育ちました。その遺伝子を大事にしていたら、次の世代に誰かがまた受け取ってやってくれるのだろうなって思っていて。つないでいくバトンを意識して走って行きたいです。
――継承の大切さはあるものの、オリジナリティの部分ではどうでしょうか。
大塚:「清志さんを忘れないでほしい」「あの次元を忘れないでほしい」と思ってやっていたところで、しょせん僕がやっているのでオリジナリティは出ちゃうもの。にじんで出ちゃうはずなので、あえて出そうとは思っていませんね。
――玉山さんにとって、次元を演じる喜びとは?
玉山:次元だけではなく、どの作品もキャラクター作りはとても大事にしています。他のキャストの方々とのバランスも考慮しつつ、自分が台本を読んで「このシーンはこうしたいな」と思う以上に、現場に行ったらいろんな次元に出会える。自分が予期せぬ部分で出てきた次元がどういう次元なのかを楽しみに、毎日現場に行っていたような感覚があります。
――ご自身でも想像していなかった次元が出てくるというのは興味深いですね。
玉山:さきほど、みなさんの次元をベースに演じていると言いましたが、中には僕にしか感じ得ない次元もきっとある。もちろん許容範囲はあるでしょうが、それをどうお客さんに提示できるか、みなさんも楽しみにしていただけければうれしいです。
取材・文/遠藤政樹
撮影/山崎美津留
スタイリスト/袴田能生(玉山鉄二)、森島あさみ(大塚明夫)
ヘアメイク/石邑麻由(玉山鉄二)、藤井康弘(大塚明夫)
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2023/10/13