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小室哲哉、『シティーハンター』の「Get Wild」秘話「イントロは不思議なマジックのような曲」

 音楽プロデューサーの小室哲哉が7日、都内で行われた映画『劇場版シティーハンター 天使の涙』の大ヒット御礼スペシャル舞台あいさつに登壇した。

映画『劇場版シティーハンター 天使の涙』の大ヒット御礼スペシャル舞台あいさつに登壇した小室哲哉 (C)北条司/コアミックス・「2023 劇場版シティーハンター」製作委員会

映画『劇場版シティーハンター 天使の涙』の大ヒット御礼スペシャル舞台あいさつに登壇した小室哲哉 (C)北条司/コアミックス・「2023 劇場版シティーハンター」製作委員会

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 初週週末ランキングでは、動員・興行収入ともに1位のスタートを切り、公開2週間で動員50万人を突破。5日までで動員61万9626人、興行収入9億2029万8162円を記録した。そんな大ヒット御礼の舞台あいさつに、おなじみのエンディングテーマ「Get Wild」と、今作のために書き下ろしたオープニングテーマ「Whatever Comes」を手掛けるTM NETWORKから小室がイベントに参加した。

 満員の観客の大きな拍手に迎えられ、小室のほか、こだま兼嗣総監督、長崎行男音響監督、若林豪プロデューサーが登場。まず、エンディングテーマ「Get Wild」と、本作ではオープニングテーマ「Whatever Comes」をはじめ挿入歌の楽曲を担当したTM NETWORKの小室が「今回の『天使の涙』の話をいただいたのは、2022年の12月のことでした。まずはオープニングテーマの話を伺って、その日の帰り道にほぼできてしまって、楽曲の発表が6月だったので本当に長い道のりだったなと思います。もう今年も終わってしまうので、このまま1年ぐるっとループできるといいなと思います」とあいさつした。

映画『劇場版シティーハンター 天使の涙』の大ヒット御礼スペシャル舞台あいさつより (C)北条司/コアミックス・「2023 劇場版シティーハンター」製作委員会

映画『劇場版シティーハンター 天使の涙』の大ヒット御礼スペシャル舞台あいさつより (C)北条司/コアミックス・「2023 劇場版シティーハンター」製作委員会

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 こだま総監督は「この歳になっても、もっこり総監督を務めております」と会場の笑いを誘い、続けて「(小室と一緒の登壇に)先ほどから緊張しっぱなしです。きょうは小室さんに作っていただいた楽曲の話をたくさんしたいと思います」とする。長崎音響監督は「本日は短い間ですけど、よろしくお願いします」と自己紹介すると「音楽も素晴らしかったですよね」というMCから観客への振りに大きな拍手が起こると恐縮しつつ、頭を下げた。そして制作プロデューサーである若林は「いろいろと小室さんから楽曲に関する裏話を聞きまして、とてもわくわくしています」と明かした。

 ここでMCから本作のオープニングテーマ「Whatever Comes」のCDがオリコンシングルチャートの10位にランクインしたと発表されると会場からは大きな拍手が起こり、さらにこれでTM NETWORKは80年代から2020年代まで5つの年代でTOP10ヒットを生むという偉業が達成されたことを知らされると、さらに会場からは割れんばかりの拍手が起こった。

 小室はこの偉業に関して「長くやっているということもあると思うんですが、最初にオリコンのランキングに入ったのもたしか『Get Wild』で、最新も『Whatever Comes』で『シティーハンター』のおかげで今のところ頭と終わりを締めてくれています。スタートはエンディングテーマで、一番新しいのはオープニングテーマで、ありがとうございます」と喜びを語った。

 また、こだま総監督は最初に「Get Wild」を聞いた当時のことを聞かれ「初めて聞いたときに、この作品にふさわしいかっこいい楽曲だったので、これはハードボイルドに映像を作らなきゃいけないなと思いました。ラストカットにイントロが流れ始める作りなのですが、このイントロの時に止めて引くという映像を最初に作った時に思った以上にかっこよくて、絵が全部完全に止まっているのにも関わらず、イントロがかかっているとなんかキャラクターが生きているような感じがして、それ以来、このやり方でやっていこうと決めました」といまのエンディングになった秘話を明かした。

■エンディングシーンの映像秘話も明かされる

映画『劇場版シティーハンター 天使の涙』の大ヒット御礼スペシャル舞台あいさつより (C)北条司/コアミックス・「2023 劇場版シティーハンター」製作委員会

映画『劇場版シティーハンター 天使の涙』の大ヒット御礼スペシャル舞台あいさつより (C)北条司/コアミックス・「2023 劇場版シティーハンター」製作委員会

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 このエンディングシーンについて若林プロデューサーも「本作でももちろん止めて引く、最後フリーズフレームになってカメラがゆっくりと引いていきながらイントロに入っていくというのはやりました。長崎さんとこだま総監督と僕でダビングという音付けの最後の作業をしていたのですが、今回もこだま総監督のこだわりが炸裂して、どれくらいのスピードで映像を引くとか、せりふの位置もずらしたりしました」とこだま総監督のこだわりぶりを語った。

 すると小室が「イントロが流れている静かな時に、一緒に映画を見ている方、友人、お子さん、ご夫婦でもぜひ会話をしてみてほしいです。イントロの中で何気ない会話をすると急にドラマチックになるんです。このイントロは本当に不思議なマジックのような曲で、感情がボリュームアップして、エモくなるんです」と「Get Wild」のイントロが流れるエンディング時の意外な楽曲の楽しみ方の提案に会場から笑いが起こった。

 続けて小室は「『シティーハンター』はすべてにおいて陰と陽というか、暗い部分と明るい部分がある対比するように同軸上に動いている珍しいドラマなので、こだま総監督からの意向もあったのですが、オープニングは明るい音で始まりたい、後半ドラマチックなことも起こっていくという流れもあったので、程よい『Get Wild』との対比を考えなきゃいけないなと思っていました。明るすぎてもいけないし、暗いのは絶対ダメだったので、明るすぎない明るさの楽曲を作ろうと考えました。でも、もうすぐあれがいいなと思い、頭の中ですぐ浮かびました」と驚きのエピソードを披露した。

 楽曲を聞いた観客からは「歌詞に勇気づけられる」や「オープニングが始まった瞬間から大興奮する」という反応が出ていると伝えられると小室は「音は劇伴っていうくらいなので、映像に合わせていくものなのですが、今回の『天使の涙』に関しては特になんですけど、音に映像もはまっていると思っていて。(映像からでも、音楽からでも)どちらの面から見ても、すごいフィットしている感じがするので、スタッフの方たちの音楽愛にあふれているんだろうなと思いました」とした。

 若林プロデューサーは音楽と映像の相性について聞かれ「僕の側からするとむしろ『Whatever Comes』は小室さんと作詞の小室みつ子さんの作品への寄り添いをすごく感じさせてくれる曲だなと思いました。最初に小室さんからデモ曲をいただいて、そのあとに小室みつ子さんから歌詞をいただいたんですけど、歌詞の中にエアプレーンという歌詞が入っていて。本編みたらわかるんですが、最初ゾルティック社への侵入劇があってその次、日が変わって空港に行くという流れになっている展開で、歌の中でもシーンをつないでくださっているようなかたちになっていたので、それを受けてオープニングアニメーションでも1カット、飛行機が飛んでいくシーンが入っているんです。そういった部分でもシナリオを読んで考えてくださったんだろうなと感じました」と歌詞により本編に少し演出が加わったことを明かした。

 それを受けて小室は「アニメの場合はシナリオが本当に大事で読み込むんですけど、小室みつ子さんから、電話で説明してほしいと言われて」と意外な交流を明かしつつ続けて「きょうは遅いから明日ちゃんと説明すると伝えて、楽曲はオープニングテーマではあるんですけど、次の日最後のエンディングまできちんと説明して、ぜんぶ伏線で繋がってくるのですべて説明したうえで、なるほどよくわかったと理解してくれました。それで歌詞ができたんですけど、それを受けて僕がまた音楽を付けてと、OKが出るまでのプロセスがいくつもあって、結構時間がかかるんです」と苦労を明かした。

 その音楽についてこだま総監督は「後半がかなりシリアスになるので、前半は明るくテンポのいいものをお願いしました。ノリがよくて非常に気持ちよく画面に入れる曲でしたね」と話し、続けて「僕の場合はアニメ映像は音楽と合わせてやっと完成するという考え方なので、音楽はアニメ映像のパ−トナー。だから音楽がないと完成しないと思っています。今回クライマックスに流れる曲があまりにもすばらしかったので、映像に音を付けてみたところ感動で思わず拍手してしまいました」とした。

 その楽曲「Angie」について小室は「ある程度の映像を見せてもらえていたので、この楽曲は映像流しながら作ったんですけど、これも降ってきて、15分くらいでほぼできました。極限のバトルシーンだと、たぶん争いをしている両者は無音になってくるというか、真剣に戦っている二人はだんだん静寂に包まれるのではないかと思っていて、僕は真っ白な世界に流れてくる、そこにいる人にしかわからない音をイメージしました」と話すと、少し興奮気味のこだま総監督は「僕としてはあのシーンには暗くて重いハードな曲がくると思っていたんですが、届いたのはキャラクターの心情に寄り添った曲だったので、とてつもなく驚きました」と当時の様子を語った。

 また『シティーハンター』の音響について長崎は「『シティーハンター』はすごく映像に音を合わせることをやっておりまして、そのやり方が3つあり、今作は全部やっています。まず『Whatever Comes』は小室さんから音楽をいただいてそれを基にタイムを計って絵コンテを切ってという音楽に合わせて絵を作っています。真ん中の劇中歌『DEVOTION』などは僕のほうで絵にはまるように音楽を編集しています。最後の『Angie』に関しては、フィルムスコアリングというんですけど、小室さんに映像を見てもらい曲をはめて作ってもらっています。なので静寂の生かし方というか息づかいの生かし方とか効果音と音楽がバッティングしないようにうまく入っていて、それ故すごく一体感が出ているという作り方になっていますね。音楽の作り方としては素晴らしいものをいただいたと思っています」とした。さらにこだま総監督は「50年くらいこの仕事しているんですけど、楽曲を聞いて感動して声をあげてしまうなんて、こんな経験は初めてです」と話し、どうしても感謝を伝えたかったため、2023年6月のイベント時に小室と舞台裏で握手を交わしたと明かした。そのエピソードに対し小室は「たぶん今年で音楽家としては一番のうれしさでしたね」と恐縮していた。

 そして挿入歌『DEVOTION』について小室は「オープニングとエンディングの間に挟まれている楽曲なので、『DEVOTION』という言葉をずっと探していて、冴羽リョウは簡単に愛とか恋とかを口に出さない、あまりにもシャイなので、ラブストーリーの要素もあるけれど、そういうところを超えた、愛情みたいなものをさらに超えた献身(DEVOTION)という言葉を見つけて。無償に助ける、守るというキャラクターのイメージがぴったりだなと思って、その言葉をつかって楽曲を作りたいなと思いました。この年齢でラブを超える言葉が見つかったのは、収穫でした」と明かした。

 そして最後にこれから映画を観る観客に対し小室が「スペシャルなトリセツという感じで、マニュアルを聞いてから観るのはみなさんだけなので貴重だと思います。音に耳を傾けつつ、映画をたっぷりと楽しんでください。素晴らしいスタッフの方々が1年2年かけて作ってくれました。またもう1回みようかなと絶対思うと思います」と締めくくった。

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