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笠井信輔、齊藤工に「本格的な監督の道を歩み始めた」とエール 『スイート・マイホーム』トークイベント

 映画やドラマで俳優として活躍する一方、監督やプロデュース業でも多彩な才能を発揮する斎藤工が17日、都内の映画館で行われた「齊藤工」名義で監督した映画『スイート・マイホーム』(公開中)のトークイベントに登壇。司会を務めたフリーアナウンサーの笠井信輔と作品について考察を繰り広げ、観客からの質問にも答えた。

映画『スイート・マイホーム』(公開中)のトークイベントに登壇した(左から)笠井信輔、齊藤工監督

映画『スイート・マイホーム』(公開中)のトークイベントに登壇した(左から)笠井信輔、齊藤工監督

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 映画は、小説現代新人賞受賞の作家・神津凛子によるデビュー小説が原作。1台のエアコンで家全体を暖められるという「まほうの家」と呼ばれる念願のマイホームに引っ越した直後から、次々と奇妙で不可解な現象に襲われる一家の姿を描く予測不能のホラー・ミステリー。

 笠井は齊藤監督について「『blank13』(2018年)も良かったし、俳優さんの作る映画って個性的で、自分はこういう映画が撮りたいんだと表現する監督が多いし、齊藤監督がそこに進んだというのは本格的な監督の道を歩み始めたんだと強く感じました。“クリント・イーストウッドへの道”ですね」とほめ称えると、齊藤監督は「恐れ多いです」と恐縮。

 さらに、物語の核心部分に踏み込んだ笠井は「(住宅会社社員で主人公・賢二の新居『まほうの家』の営業担当を演じた)ある秘密を抱える奈緒さんが怖いと思いながらも、霊的なものを感じながら客感的な事実を提示されると、安心するんです。さらにそれで終わらないのがこの映画で、もう一回ひっくり返して(主人公の妻を演じた)蓮佛美沙子さんの異様な展開になっていく。蓮佛さんの役名の“ひとみ”がキーワードで、瞳の表現がとても多い。子どもが瞳を覆ったり、(主人公を演じた)窪田正孝さんや赤ちゃんの瞳のアップがあったり。子どもには見えているという感じ。奈緒さんに何か悪魔的なものが取りついて、それが蓮佛さんに最終的に乗り移ってしまい、悪魔が自分を認識されたくないから恐怖のラストにつながっていくという、その描写が記憶に残るからぞわっと怖さも残ります。奈緒さんで終わらないところがこの映画の見事なところかなと思います」と絶賛した。

 齊藤監督はその見事な解説に「ありがとうございます。今の言葉がすべてだったと思います」とこれまた恐縮しきり。「この原作を読んだときに、単なる犯人は誰だっていう物語ではないと思いました。鬼子母神という言葉が僕はすごくこの作品の真髄にあるんじゃないかなと思ったんです。日本人の母性の深さの成れの果て、西洋でいうと悪魔的な何かっていうものが、肉体を媒介して伝承される物語だと思っていました。この物語を見つめる瞳で始まり、この物語を見届けた瞳で終わるということに意味を込めたつもりです。最初に『これがあるから家があったかい』と説明があるんですけど、今回は家自体を人体として描きたかったんです。その血管みたいなものが温度の循環という。そこに宿るものを、子どもや赤ちゃんは感じているんじゃないかなと思って」と述懐した。

 さらに、出演者の奈緒について笠井が「こういうミステリーの物語の場合は、どこか匂わせたいと監督や俳優たちが考えるんですけども、奈緒さんにおいて匂わせる芝居はないと感じた」と語ると、齊藤監督は「仰る通りですね。キャスティングのネームバリューで、この人は普通の役のわけはないとか、そういういやらしい見方を普段してしまうんですが、奈緒さんが素晴らしかったのが、出ていないシーンでも存在感を薄められるんです。奈緒さんの地肩の強さというか、素晴らしさです。そこにいるんだけど、何かに潜んでいるというか」と振り返った。

 観客からの質問に答えるコーナーでは、映像の中に隠されている十字架について質問され、齊藤監督は「過去に罪を背負ったキャラクターには、背後に十字架を背負わせています。(ディズニーランドの隠れミッキーのような)隠れ十字が6つ、3人のキャラクターにあります」と6つすべてのネタバレを披露。それに対して観客から「救急箱の十字は?」と問われると、齊藤監督は「あ!救急箱!それ足しましょう!それもらいましょう!足して7つにしたいくらいです(笑)。ただ救急箱、どこにありましたっけ?」とタジタジに。

 さらに12回観たという観客から「賢二とひとみの結婚指輪がラストに近づくにつれて主張が強くなって怖く感じました」と聞かれると、齊藤監督は「結婚指輪にはひとつ鎖のような意味合いを持たせています。血縁と地縁のような、人間が選べない鎖もひとつテーマなので、そういう意味合いで撮っていました」と答えつつ、「12回!1回くらい同じ“家モノ”の『ホーンテッドマンション』とかも(笑)」とほかの作品を挙げて笑いを誘っていた。

 最後に齊藤監督は「今日いらっしゃっている皆さんの数だけ、もっと質問があったと思います。僕は、映画は賞味期限がないと思っていますし、そう思って作りました。例えばSNSを使って、今日皆さんから聞き取り切れなかった質問や、あそこはどうなんだってことに積極的に答えていけたらと心から思っています。これからセカンドラン、サードランと全国のローカルのミニシアターにも、フィルムの時代のように手渡しで僕が行けたら、全部順番に回りたいくらいです。それは作った者の責任もありますが、これだけ多くの皆さんがこの作品に寄り添ってくれるってことが何より自信になっています」と心からの感謝の言葉でトークイベントを締めくくった。

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  • 映画『スイート・マイホーム』(公開中)のトークイベントに登壇した(左から)笠井信輔、齊藤工監督
  • 映画『スイート・マイホーム』(公開中)のトークイベントに登壇した齊藤工監督
  • 映画『スイート・マイホーム』(公開中)のトークイベントに登壇した笠井信輔
  • 映画『スイート・マイホーム』(公開中)のトークイベントに登壇した(左から)笠井信輔、齊藤工監督

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