俳優の福士蒼汰と松本まりかのダブル主演で、作家・吉田修一の小説を大森立嗣の脚本・監督で映画化した『湖の女たち』が11月に劇場公開されることが発表された。福士は「非常に意義のある作品」、松本は「強烈な映画体験」などとコメントを寄せている。また、禁忌と無垢の間で揺れ動き、そして抗い合う二人を収めたファースト・ビジュアルも解禁となった。
琵琶湖近くの介護施設で百歳の老人が不可解な死を遂げた。老人を延命させていた人工呼吸器の誤作動による事故か、それとも何者かによる殺人か。謎を追う刑事たちと介護士の女、そして過去の事件を探る記者の行方は、深淵なる湖に沈んだ恐るべき記憶にのみ込まれていく。
事件を追う刑事・濱中圭介役を福士、事件が起きた施設の介護士・豊田佳代役を松本が演じる。映画やドラマなど一線で活躍し続ける二人が初共演となる本作で挑んだのは、事件が袋小路に入り込むにつれ、インモラルな関係性に溺れて行く刑事と容疑者という難役。
撮影を振り返り、福士は「今まで経験したことのない役柄だったので、僕にとって非常に意義のある作品となりました。役者がすべきことは"その場の空気に身を置く"こと。思考を取っ払い、その場で感じるままを表現するのがお芝居だということに、改めて向き合えた気がします」。
松本も「自分と役を隔てるものはなかったように思います。ラストシーン。彩りを帯びてゆく空と湖、逆光の大森組が三位一体になった夜明け。あんなにも美しい景色を見たのは初めてでした。あの強烈な映画体験は、生涯この身体から離れることはないでしょう」と、その挑戦的な役どころに全身全霊で向かい合ったことへ、非常に熱のこもったコメントを寄せている。
撮影は2022年10月から23年2月にかけて琵琶湖周辺を中心にオールロケによって実施され、この4月に完成。「この世のケガレと生の輝きが渦巻くようなものすごい小説」、「大きな挑戦でしたが映画にしたいと熱望し、なんとか完成までこぎつけました」と語る大森監督。
大森監督が吉田の小説を映画化するのは、「第35回モスクワ国際映画祭」(2013年)で日本映画48年ぶりとなる審査員特別賞の快挙をはじめ、数々の国内賞を受賞した『さよなら渓谷』以来のタッグとなる。
主演の二人に対し、原作者の吉田は「何かを問いかけるような凄みが強く伝わってくる」「二人の姿に根源的なことまで考えさせられた」と語る。さらに「映画を見ていたつもりが、気がつけばずっとその映画に見られていたような感覚」、「ほんの少しの勇気によって世界が変わることを、あの涙が出るほど美しい湖の風景を通して観客にそっと教えてくれる」と称賛のコメントを寄せている。
■福士蒼汰のコメント
圭介は今まで経験したことのない役柄だったので、僕にとって非常に意義のある作品となりました。
原作や台本を読み込み、撮影に向けて準備を整えて臨んだのですが、大森監督には原点に引き戻していただいた感覚でした。
役者がすべきことは"その場の空気に身を置く"こと。思考を取っ払い、その場で感じるままを表現するのがお芝居だということに、改めて向き合えた気がします。
"わかりやすさ"や"意味"を求められることが多い昨今ですが、この作品では、人間の奥底で疼く何かを感じていただきたいです。言葉だけでは説明がつかない人間という生き物を、湖の絶景と共に受け止めていただけたらと思います。
■松本まりかのコメント
大森立嗣という人はただひたすらに私を見つめ続けました。
何も語らず肯定し続けました。
私は認められ解き放たれ自由であることに戸惑いました。芝居は俳優はこうあるべきとか、誰かが決めてくれた常識を鵜呑みして従い縛られ生きることに安心感を覚えていること…なんならその不自由さを求めてすらいることに気がつきました。自分は何者なのか、何がしたいのか、何がしたくてここまできたのか、自分の中に何があるのか、何もない、持たない、結局何者でもないことを突き付けられ、焦り、限界を知り、静かに壊れてゆきました。
そこに至って私はようやく、自分を守る、偽るガードが崩れ、その隙から本当に美しいもの、その本質に一瞬、出会うことが出来たのです。
それは私であり佳代であり、自分と役を隔てるものはなかったように思います。
ラストシーン。
彩りを帯びてゆく空と湖、逆光の大森組が三位一体になった夜明け。
あんなにも美しい景色を見たのは初めてでした。
どうしようもなく此処で生きたいと思ってしまった。
「誰かを信じ切る」という監督の揺るぎない覚悟と共に、
あの強烈な映画体験は、生涯この身体から離れることはないでしょう。
■監督・脚本:大森立嗣のコメント
吉田修一さんの『湖の女たち』と言う小説を読みました。この世のケガレと生の輝きが渦巻くようなものすごい小説でした。沸々とした気持ちを抑えられず、大きな挑戦でしたが映画にしたいと熱望し、なんとか完成までこぎつけました。福士蒼汰と松本まりかが主演です。二人は本当に素晴らしい演技をしています。今は心に響く映画になったのではないかと思っていますが、どのように伝わるか緊張の中にいます。どうか皆さまに届きますように。
■原作・吉田修一のコメント
海は眺めるものだが、湖はこちらを見つめてくる。
本作を観終わって尚、ざわざわと落ち着かぬ心にそんな言葉が浮かんでくる。
映画を見ていたつもりが、気がつけばずっとその映画に見られていたような感覚だった。
劇中、不毛でアブノーマルな性愛に溺れていく男女を演じる福士蒼汰さんと松本まりかさんからも、その何かを問いかけるような凄みが強く伝わってくる。
二人が重ね合わせるのは体ではなく、互いの弱さである。互いが日常生活で抱えている服従心である。
では人はどのようなときに服従を選択するか。
自由を奪われたときである。
では自由とは何か。
それは恐怖心がないということだ。
とすれば、服従心というのは、恐怖心への対抗策であり、自由を希求する心であるとも言える。
暗い湖に落ちていくような二人の姿に、そんな根源的なことまで考えさせられた。
本作で描かれるのはグロテスクな事件であり、目を背けたくなるような人間の弱さである。しかしその人間の弱さこそが、物語を生み、歴史となっていくことを大森立嗣監督は伝えてくる。
そしてそれでも尚、ほんの少しの勇気によって世界が変わることを、あの涙が出るほど美しい湖の風景を通して観客にそっと教えてくれる。
琵琶湖近くの介護施設で百歳の老人が不可解な死を遂げた。老人を延命させていた人工呼吸器の誤作動による事故か、それとも何者かによる殺人か。謎を追う刑事たちと介護士の女、そして過去の事件を探る記者の行方は、深淵なる湖に沈んだ恐るべき記憶にのみ込まれていく。
撮影を振り返り、福士は「今まで経験したことのない役柄だったので、僕にとって非常に意義のある作品となりました。役者がすべきことは"その場の空気に身を置く"こと。思考を取っ払い、その場で感じるままを表現するのがお芝居だということに、改めて向き合えた気がします」。
松本も「自分と役を隔てるものはなかったように思います。ラストシーン。彩りを帯びてゆく空と湖、逆光の大森組が三位一体になった夜明け。あんなにも美しい景色を見たのは初めてでした。あの強烈な映画体験は、生涯この身体から離れることはないでしょう」と、その挑戦的な役どころに全身全霊で向かい合ったことへ、非常に熱のこもったコメントを寄せている。
撮影は2022年10月から23年2月にかけて琵琶湖周辺を中心にオールロケによって実施され、この4月に完成。「この世のケガレと生の輝きが渦巻くようなものすごい小説」、「大きな挑戦でしたが映画にしたいと熱望し、なんとか完成までこぎつけました」と語る大森監督。
大森監督が吉田の小説を映画化するのは、「第35回モスクワ国際映画祭」(2013年)で日本映画48年ぶりとなる審査員特別賞の快挙をはじめ、数々の国内賞を受賞した『さよなら渓谷』以来のタッグとなる。
主演の二人に対し、原作者の吉田は「何かを問いかけるような凄みが強く伝わってくる」「二人の姿に根源的なことまで考えさせられた」と語る。さらに「映画を見ていたつもりが、気がつけばずっとその映画に見られていたような感覚」、「ほんの少しの勇気によって世界が変わることを、あの涙が出るほど美しい湖の風景を通して観客にそっと教えてくれる」と称賛のコメントを寄せている。
■福士蒼汰のコメント
圭介は今まで経験したことのない役柄だったので、僕にとって非常に意義のある作品となりました。
原作や台本を読み込み、撮影に向けて準備を整えて臨んだのですが、大森監督には原点に引き戻していただいた感覚でした。
役者がすべきことは"その場の空気に身を置く"こと。思考を取っ払い、その場で感じるままを表現するのがお芝居だということに、改めて向き合えた気がします。
"わかりやすさ"や"意味"を求められることが多い昨今ですが、この作品では、人間の奥底で疼く何かを感じていただきたいです。言葉だけでは説明がつかない人間という生き物を、湖の絶景と共に受け止めていただけたらと思います。
■松本まりかのコメント
大森立嗣という人はただひたすらに私を見つめ続けました。
何も語らず肯定し続けました。
私は認められ解き放たれ自由であることに戸惑いました。芝居は俳優はこうあるべきとか、誰かが決めてくれた常識を鵜呑みして従い縛られ生きることに安心感を覚えていること…なんならその不自由さを求めてすらいることに気がつきました。自分は何者なのか、何がしたいのか、何がしたくてここまできたのか、自分の中に何があるのか、何もない、持たない、結局何者でもないことを突き付けられ、焦り、限界を知り、静かに壊れてゆきました。
そこに至って私はようやく、自分を守る、偽るガードが崩れ、その隙から本当に美しいもの、その本質に一瞬、出会うことが出来たのです。
それは私であり佳代であり、自分と役を隔てるものはなかったように思います。
ラストシーン。
彩りを帯びてゆく空と湖、逆光の大森組が三位一体になった夜明け。
あんなにも美しい景色を見たのは初めてでした。
どうしようもなく此処で生きたいと思ってしまった。
「誰かを信じ切る」という監督の揺るぎない覚悟と共に、
あの強烈な映画体験は、生涯この身体から離れることはないでしょう。
■監督・脚本:大森立嗣のコメント
吉田修一さんの『湖の女たち』と言う小説を読みました。この世のケガレと生の輝きが渦巻くようなものすごい小説でした。沸々とした気持ちを抑えられず、大きな挑戦でしたが映画にしたいと熱望し、なんとか完成までこぎつけました。福士蒼汰と松本まりかが主演です。二人は本当に素晴らしい演技をしています。今は心に響く映画になったのではないかと思っていますが、どのように伝わるか緊張の中にいます。どうか皆さまに届きますように。
■原作・吉田修一のコメント
海は眺めるものだが、湖はこちらを見つめてくる。
本作を観終わって尚、ざわざわと落ち着かぬ心にそんな言葉が浮かんでくる。
映画を見ていたつもりが、気がつけばずっとその映画に見られていたような感覚だった。
劇中、不毛でアブノーマルな性愛に溺れていく男女を演じる福士蒼汰さんと松本まりかさんからも、その何かを問いかけるような凄みが強く伝わってくる。
二人が重ね合わせるのは体ではなく、互いの弱さである。互いが日常生活で抱えている服従心である。
では人はどのようなときに服従を選択するか。
自由を奪われたときである。
では自由とは何か。
それは恐怖心がないということだ。
とすれば、服従心というのは、恐怖心への対抗策であり、自由を希求する心であるとも言える。
暗い湖に落ちていくような二人の姿に、そんな根源的なことまで考えさせられた。
本作で描かれるのはグロテスクな事件であり、目を背けたくなるような人間の弱さである。しかしその人間の弱さこそが、物語を生み、歴史となっていくことを大森立嗣監督は伝えてくる。
そしてそれでも尚、ほんの少しの勇気によって世界が変わることを、あの涙が出るほど美しい湖の風景を通して観客にそっと教えてくれる。
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2023/05/10