スクリーンデビューから60年、『愛のコリーダ』（1976年）や『龍三と七人の子分たち』（2015年）など昭和から令和の現在まで活躍し続け、さまざまな主演作や代表作を持つ俳優・藤竜也（81※以下、年齢はすべて撮影時）が、80代になって最初に主演を務めた映画『それいけ！ゲートボールさくら組』（5月12日公開）。藤のほかにもシニア世代となった俳優たちが多数出演しているが、中でも「ウルトラマン」ファミリーの健在ぶりに注目だ。

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　本作は、青春時代の友である元ラグビー部マネージャー・サクラが経営するデイサービス“桜ハウス”の倒産危機を知り、今、自分たちができることで手助けしようと奮起。かつての仲間達を集結させて、どういう訳か「チームさくら組」を結成し、ゲートボール大会に出場して優勝を目指す。

　主人公・織田桃次郎役に藤、高校時代からの元ラグビー部仲間として、石倉三郎（76）、大門正明（73）、森次晃嗣（79）、小倉一郎（71）らが出演。平均年齢76歳・合計380歳にもなる俳優陣が、所狭しとスクリーンで大暴れする。生前ゲートボール愛好家としても知られ、昨年9月に亡くなった落語家の三遊亭円楽さんも友情出演している。

　桃次郎（藤）率いるさくら組のメンバー・ガッツを演じる森次は、言わずと知れた『ウルトラセブン』の主人公・モロボシダン。1967年の放送開始から半世紀以上たった今でも多くの人の記憶に残っているヒーローだ。そんな森次演じるガッツはいわゆる頑固おやじで、すでに70代半ばを迎えたが独り身で弁当配達サービスを利用している。老眼まっしぐらのガッツがチラシを観る際には、ウルトラセブンを彷彿とさせる赤い縁のメガネをデュワッと装着する。

　実はこの演出、ウルトラマン好きな野田孝則監督の中で、「森次さんと言えば…」と、モロボシダンが70代になったらという裏テーマがあったそうで、スタッフにモロボシダンがウルトラセブンに変身するときにかけるウルトラアイのような赤い縁のメガネを用意してもらったという。撮影の際はおもむろにそのメガネを森次のそばに置き、「ガッツがチラシを観るときは老眼でメガネをかけると思うんですよ…」と何かを言いたげに伝えたところ、監督をじーっと見つめ「俺に何をさせたいんだい？」と言い、本番では、ウルトラアイならぬ赤い縁のメガネをかけるのみならず、当時を彷彿させる“70代のモロボシダン”をアドリブで演じた。その感動的（？）なシーンの本編映像も解禁されている。

　ウルトラマン秘話はこれに留まらず、さくら組メンバーの森長役を演じた大門正明は『ウルトラマン80』（1980年）でUGM隊員のイトウ順吉を演じている。さらに、遺影のみの出演で、さくら組の面々の高校の同級生役を演じた毒蝮三太夫も『ウルトラマン』（66年）で科学特捜隊のアラシ隊員役、『ウルトラセブン』ではウルトラ警備隊のフルハシ隊員役として森次と共演した。

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