本日(3月1日)より、動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」にて配信開始となる「スター・ウォーズ」の実写ドラマシリーズ『マンダロリアン』シーズン3。配信直前の今、このシリーズがもたらしてきた影響と、これまでのストーリーを改めて振り返ってみたい。
■「スター・ウォーズ」とエンタテイメントの未来を拓いた『マンダロリアン』
『マンダロリアン』は、ディズニープラスにて「スター・ウォーズ」初の実写ドラマシリーズとして2019年11月12日に配信開始(※日本では、日本におけるディズニープラスの前身サービス「Disney DELUXE(ディズニーデラックス)」にて同年12月26日より配信)。
現時点で最後の「スター・ウォーズ」映画である『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(19年)の公開に沸き、世界がコロナ禍に突入する直前の時期に、「スター・ウォーズ」の新作が映画館ではなく、毎週家庭で楽しめるようになったのだ。動画配信プラットフォームの存在感が増した時代に、ディズニープラスがリリースしたキラーコンテンツが『マンダロリアン』なのである。
製作総指揮をとるジョン・ファブローが、「『子連れ狼』のフォーマットが適していると感じた」と発言しているように、『マンダロリアン』は流れ者や風来坊のヒーローを描くテレビの西部劇や時代劇を「スター・ウォーズ」に置き換えたようなシリーズとなっており、連続ドラマならではの「スター・ウォーズ」を実現している。
もともと「スター・ウォーズ」の創造主であるジョージ・ルーカスは、連続活劇(シリアル)として映画化されて人気を博していた『フラッシュ・ゴードン』の再映画化を考えており、「スター・ウォーズ」にその要素が取り込まれた。連続ドラマというフォーマットは「スター・ウォーズ」との相性が良く、ある意味、原点回帰とも言えるだろう。
この『マンダロリアン』からは、主人公のマンダロリアンと、グローグーが生み出された。それぞれ、ボバ・フェットのような装甲服に身を包んだ賞金稼ぎと、ヨーダと同じ種族の子どもという風貌で、おなじみのキャラクターのモチーフを借りつつも独自の魅力を発揮し、多数の関連商品も展開。映画から動画配信サービスへと主戦場を移した「スター・ウォーズ」の新たな人気キャラクターとなった。
また、映像技術を革新し続ける「スター・ウォーズ」シリーズらしく、スタジオの天井と壁を巨大LEDスクリーンで囲んだステージクラフトでの撮影も『マンダロリアン』で特筆すべき点だ。
リアルタイムで映像処理するゲームエンジンの技術を活かし、カメラの動きに合わせて変化するLEDスクリーンを背景にして撮影することで、限られたスケジュールと予算内で映画と遜色ないクオリティを実現。『マンダロリアン』の成功によって、こうしたバーチャルプロダクションでの撮影は世に広く知られることになったのだ。
『マンダロリアン』は、数々のテレビドラマの賞でも多く受賞・ノミネートされている。シーズン1は、第72回エミー賞にて13部門で15ノミネート、7部門で受賞。続くシーズン2は、第73回エミー賞にて19部門で24ノミネート、同じく7部門を受賞したほか、第78回ゴールデングローブ賞テレビドラマ部門作品賞にノミネートされており、賞レースでも評価されているシリーズだ。
このように、配信開始から約3年の間に『マンダロリアン』は「スター・ウォーズ」シリーズだけではなく、エンタテイメントに多くの影響をもたらしてきた。まもなく配信開始となる『マンダロリアン』シーズン3にも、大きな期待が寄せられている。
■これまでの『マンダロリアン』のストーリーをおさらい
そんな『マンダロリアン』は、それぞれ各8話のシーズン1とシーズン2が配信されているが、ディズニープラスで配信中の『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』の第5話〜第7話が、シーズン2以降のマンドーとグローグーのストーリーとなっている点に注意したい。『マンダロリアン』と『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』は相互に関わるシリーズとなっている(以下、※「マンダロリアン」シーズン1、シーズン2、「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」のネタバレあり)。
時代設定は、『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』の5年後。帝国は崩壊したものの、反乱軍から樹立されたばかりの新共和国の目が届かない辺境の地は無法地帯となっている。
主人公は、ただ単に「マンダロリアン」と部族名で呼ばれる凄腕の賞金稼ぎ、ディン・ジャリン(以下、マンドーと呼称/演:ペドロ・パスカル)。帝国の残党から、年齢は50歳だという賞金首の捕獲を依頼されるが、それはあのヨーダと同じ種族の幼な子であるグローグーだった。争奪戦の末、マンドーはグローグーを確保して依頼主に送り届けることに成功する。
しかし、戦争で両親を失ってマンダロリアンたちに迎え入れられた孤児であったマンドーは、そんな自身の境遇と重ねてか、仕事の掟を破って依頼主である帝国の残党からグローグーを強奪。
同胞のマンダロリアンたちの支援と犠牲もあり、グローグーを連れて逃走に成功。帝国の残党やほかの賞金稼ぎたちに狙われながらも、賞金稼ぎ稼業を続け、グローグーを仲間のもとに送り届けようと旅していく。
旅の中で、2人は銀河一の賞金稼ぎとして知られているボバ・フェット(テムエラ・モリソン)や、元ジェダイでアナキン・スカイウォーカーの弟子だったアソーカ・タノ(ロザリオ・ドーソン)、マンダロリアンの指導者であるボ=カターン・クライズ(ケイティー・サッコフ)、そしてグローグーを狙う帝国の残党であり、マンダロリアンの大粛清に関与したモフ・ギデオン(ジャンカルロ・エスポジート)に遭遇。
帝国の大粛清によって荒廃した惑星マンダロアの再興を目指すボ=カターン・クライズが追うのは、所有するとマンダロリアンを統べる指導者となれる黒いライトセーバーである、ダークセーバーだ(『マンダロリアン』シーズン3の最新ビジュアルでマンドーが手に持っている刀の形をした武器)。
そのダークセーバーは、モフ・ギデオンの手にあった。グローグーの争奪戦の中で、マンドーはギデオンを倒してダークセーバーを得る。その後、マンドーはダークセーバーの元の持ち主であるボ=カターン・クライズに返そうとするが、決闘で勝ち取ることで真の力が宿ると言われており、受取を拒まれた。
帝国の残党の手から守られたグローグーの元には、フォースが強いグローグーを教え、導くためにルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル※)がやって来た。グローグーはルークの元へ行き、ディン・ジャリンと別れることに。
※『マンダロリアン』ではマックス・ロイド=ジョーンズ、『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』ではグラハム・ハミルトンが代役として演じている。
グローグーと別れた際などに、マンダロリアンのグループである「チルドレン・オブ・ザ・ウォッチ」のヘルメットを脱いではならないという掟を破ってしまったマンドー。そのため、彼らの元を離れるしかないが、教義によれば、マンダロアの鉱山の下の泉に入れば償えるということを知る。
一方、ルークの元で修行していたグローグーは、マンドーへの愛着を捨てることが出来ず、ジェダイの道ではなく再びともに暮らすことを選択。新たな愛機を手に入れ、ボバ・フェットに協力した後、マンドーはグローグーとともに再び旅に出るのだった…。
■新たなエピソード監督の参加にも注目!
『マンダロリアン』は、さまざまな監督によるエピソードが楽しめるのも魅力の一つだが、シーズン2から続投するリック・ファミュイワ、カール・ウェザース、ブライス・ダラス・ハワードに加えて、シーズン3では『ミナリ』のリー・アイザック・チョン、『マッドバウンド 哀しき友情』などの撮影監督であるレイチェル・モリソン、『スパイダーマン:スパイダーバース』のピーター・ラムジーが参加。
ここ数年で評価の高い作品に携わった監督が集結しており、新たなエピソード監督たちが「スター・ウォーズ」を、そして上記のストーリーの続きをどのように描いていくのかも注目だ。
文:藤井隆史
2005年からWEBサイト「スター・ウォーズ ウェブログ」を運営。「Wikia」主催の「『スター・ウォーズ』究極のカルトクイズ ウィキア Qwizards<クイザード>」世界大会で優勝。https://www.starwarsblog.jp/(外部サイト)
■「スター・ウォーズ」とエンタテイメントの未来を拓いた『マンダロリアン』
『マンダロリアン』は、ディズニープラスにて「スター・ウォーズ」初の実写ドラマシリーズとして2019年11月12日に配信開始(※日本では、日本におけるディズニープラスの前身サービス「Disney DELUXE(ディズニーデラックス)」にて同年12月26日より配信)。
現時点で最後の「スター・ウォーズ」映画である『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(19年)の公開に沸き、世界がコロナ禍に突入する直前の時期に、「スター・ウォーズ」の新作が映画館ではなく、毎週家庭で楽しめるようになったのだ。動画配信プラットフォームの存在感が増した時代に、ディズニープラスがリリースしたキラーコンテンツが『マンダロリアン』なのである。
製作総指揮をとるジョン・ファブローが、「『子連れ狼』のフォーマットが適していると感じた」と発言しているように、『マンダロリアン』は流れ者や風来坊のヒーローを描くテレビの西部劇や時代劇を「スター・ウォーズ」に置き換えたようなシリーズとなっており、連続ドラマならではの「スター・ウォーズ」を実現している。
もともと「スター・ウォーズ」の創造主であるジョージ・ルーカスは、連続活劇(シリアル)として映画化されて人気を博していた『フラッシュ・ゴードン』の再映画化を考えており、「スター・ウォーズ」にその要素が取り込まれた。連続ドラマというフォーマットは「スター・ウォーズ」との相性が良く、ある意味、原点回帰とも言えるだろう。
この『マンダロリアン』からは、主人公のマンダロリアンと、グローグーが生み出された。それぞれ、ボバ・フェットのような装甲服に身を包んだ賞金稼ぎと、ヨーダと同じ種族の子どもという風貌で、おなじみのキャラクターのモチーフを借りつつも独自の魅力を発揮し、多数の関連商品も展開。映画から動画配信サービスへと主戦場を移した「スター・ウォーズ」の新たな人気キャラクターとなった。
また、映像技術を革新し続ける「スター・ウォーズ」シリーズらしく、スタジオの天井と壁を巨大LEDスクリーンで囲んだステージクラフトでの撮影も『マンダロリアン』で特筆すべき点だ。
リアルタイムで映像処理するゲームエンジンの技術を活かし、カメラの動きに合わせて変化するLEDスクリーンを背景にして撮影することで、限られたスケジュールと予算内で映画と遜色ないクオリティを実現。『マンダロリアン』の成功によって、こうしたバーチャルプロダクションでの撮影は世に広く知られることになったのだ。
『マンダロリアン』は、数々のテレビドラマの賞でも多く受賞・ノミネートされている。シーズン1は、第72回エミー賞にて13部門で15ノミネート、7部門で受賞。続くシーズン2は、第73回エミー賞にて19部門で24ノミネート、同じく7部門を受賞したほか、第78回ゴールデングローブ賞テレビドラマ部門作品賞にノミネートされており、賞レースでも評価されているシリーズだ。
このように、配信開始から約3年の間に『マンダロリアン』は「スター・ウォーズ」シリーズだけではなく、エンタテイメントに多くの影響をもたらしてきた。まもなく配信開始となる『マンダロリアン』シーズン3にも、大きな期待が寄せられている。
■これまでの『マンダロリアン』のストーリーをおさらい
そんな『マンダロリアン』は、それぞれ各8話のシーズン1とシーズン2が配信されているが、ディズニープラスで配信中の『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』の第5話〜第7話が、シーズン2以降のマンドーとグローグーのストーリーとなっている点に注意したい。『マンダロリアン』と『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』は相互に関わるシリーズとなっている(以下、※「マンダロリアン」シーズン1、シーズン2、「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」のネタバレあり)。
時代設定は、『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』の5年後。帝国は崩壊したものの、反乱軍から樹立されたばかりの新共和国の目が届かない辺境の地は無法地帯となっている。
主人公は、ただ単に「マンダロリアン」と部族名で呼ばれる凄腕の賞金稼ぎ、ディン・ジャリン(以下、マンドーと呼称/演:ペドロ・パスカル)。帝国の残党から、年齢は50歳だという賞金首の捕獲を依頼されるが、それはあのヨーダと同じ種族の幼な子であるグローグーだった。争奪戦の末、マンドーはグローグーを確保して依頼主に送り届けることに成功する。
しかし、戦争で両親を失ってマンダロリアンたちに迎え入れられた孤児であったマンドーは、そんな自身の境遇と重ねてか、仕事の掟を破って依頼主である帝国の残党からグローグーを強奪。
同胞のマンダロリアンたちの支援と犠牲もあり、グローグーを連れて逃走に成功。帝国の残党やほかの賞金稼ぎたちに狙われながらも、賞金稼ぎ稼業を続け、グローグーを仲間のもとに送り届けようと旅していく。
旅の中で、2人は銀河一の賞金稼ぎとして知られているボバ・フェット(テムエラ・モリソン)や、元ジェダイでアナキン・スカイウォーカーの弟子だったアソーカ・タノ(ロザリオ・ドーソン)、マンダロリアンの指導者であるボ=カターン・クライズ(ケイティー・サッコフ)、そしてグローグーを狙う帝国の残党であり、マンダロリアンの大粛清に関与したモフ・ギデオン(ジャンカルロ・エスポジート)に遭遇。
帝国の大粛清によって荒廃した惑星マンダロアの再興を目指すボ=カターン・クライズが追うのは、所有するとマンダロリアンを統べる指導者となれる黒いライトセーバーである、ダークセーバーだ(『マンダロリアン』シーズン3の最新ビジュアルでマンドーが手に持っている刀の形をした武器)。
そのダークセーバーは、モフ・ギデオンの手にあった。グローグーの争奪戦の中で、マンドーはギデオンを倒してダークセーバーを得る。その後、マンドーはダークセーバーの元の持ち主であるボ=カターン・クライズに返そうとするが、決闘で勝ち取ることで真の力が宿ると言われており、受取を拒まれた。
帝国の残党の手から守られたグローグーの元には、フォースが強いグローグーを教え、導くためにルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル※)がやって来た。グローグーはルークの元へ行き、ディン・ジャリンと別れることに。
※『マンダロリアン』ではマックス・ロイド=ジョーンズ、『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』ではグラハム・ハミルトンが代役として演じている。
グローグーと別れた際などに、マンダロリアンのグループである「チルドレン・オブ・ザ・ウォッチ」のヘルメットを脱いではならないという掟を破ってしまったマンドー。そのため、彼らの元を離れるしかないが、教義によれば、マンダロアの鉱山の下の泉に入れば償えるということを知る。
一方、ルークの元で修行していたグローグーは、マンドーへの愛着を捨てることが出来ず、ジェダイの道ではなく再びともに暮らすことを選択。新たな愛機を手に入れ、ボバ・フェットに協力した後、マンドーはグローグーとともに再び旅に出るのだった…。
■新たなエピソード監督の参加にも注目!
『マンダロリアン』は、さまざまな監督によるエピソードが楽しめるのも魅力の一つだが、シーズン2から続投するリック・ファミュイワ、カール・ウェザース、ブライス・ダラス・ハワードに加えて、シーズン3では『ミナリ』のリー・アイザック・チョン、『マッドバウンド 哀しき友情』などの撮影監督であるレイチェル・モリソン、『スパイダーマン:スパイダーバース』のピーター・ラムジーが参加。
ここ数年で評価の高い作品に携わった監督が集結しており、新たなエピソード監督たちが「スター・ウォーズ」を、そして上記のストーリーの続きをどのように描いていくのかも注目だ。
文:藤井隆史
2005年からWEBサイト「スター・ウォーズ ウェブログ」を運営。「Wikia」主催の「『スター・ウォーズ』究極のカルトクイズ ウィキア Qwizards<クイザード>」世界大会で優勝。https://www.starwarsblog.jp/(外部サイト)
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2023/03/01