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東出昌大と「Winny」開発者・金子勇氏の比較ショット “憑依”の裁判シーンも公開

 俳優の東出昌大三浦貴大がダブル主演を務め、若手監督・松本優作が7年にわたる裁判の結果、無罪を勝ち取った「事件」を映画化した『Winny』が3月10日より全国公開される。「Winny」を開発し、著作権法違反幇助(ほうじょ)の容疑をかけられ、逮捕、起訴された金子勇さん本人が愛用していたメガネや腕時計を借りて着用し、18キロ増量して金子さんの見た目から、その愛すべき一面まで演じる東出の熱演を垣間見る法廷シーンの特別映像が公開された。

(左から)ファイル共有ソフト「Winny」の開発者・金子勇氏(写真提供:Winny弁護団)、映画『Winny』(3月10日公開)で金子勇役を演じた東出昌大 (C)2023 映画「Winny」製作委員会

(左から)ファイル共有ソフト「Winny」の開発者・金子勇氏(写真提供:Winny弁護団)、映画『Winny』(3月10日公開)で金子勇役を演じた東出昌大 (C)2023 映画「Winny」製作委員会

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 2002年、金子勇(東出)は、簡単にファイルを共有できる革新的なソフト「Winny」を開発、試用版を「2ちゃんねる」に公開をする。彗星のごとく現れた「Winny」は、本人同士が直接データのやりとりができるシステムで、瞬く間にシェアを伸ばしていく。しかし、その裏で大量の映画やゲーム、音楽などが違法アップロードされ、ダウンロードする若者も続出、次第に社会問題へ発展していく。

 次々に違法アップロードした者たちが逮捕されていく中、開発者の金子も著作権法違反幇助の容疑をかけられ、04年に逮捕される。サイバー犯罪に詳しい弁護士・壇俊光(三浦)は、「開発者が逮捕されたら弁護します」と話していた矢先、開発者金子氏逮捕の報道を受けて、急きょ弁護を引き受けることになり、弁護団を結成。金子とともに裁判で警察の逮捕の不当性を主張するも、第一審では有罪判決を下されてしまう…。しかし、運命の糸が交差し、世界をも揺るがす事件へと発展する――。

 映像は、これまでに自身で制作したフリーソフトの一つ「ネコファイト」を裁判で披露するシーンから始まる。「では少し動かしてみてください」と、壇弁護士に促され、ソフトを動かしながら説明を始める金子は「このネコファイトにはAIを搭載しています。AIの方式は…」と素人には分からない用語を使用しながら矢継ぎ早に説明をし始める。それを見ていた検察官、裁判官は呆れるが、金子は全く意に介すことなく「新しいアイディアを思いつきました!」とさらにプログラムを書き始める。

 松本監督は本作を「『人間ドラマとして描かなければならない』ということは念頭にありました」と言う。「事件をなぞっても面白いものにはならない。それで、起こった出来事を情報として得ながら、金子さんや弁護士の壇俊光さんの人間的な魅力を、いかに深掘りできるかという取材の仕方をしていきました」と語っている。

■「Winny」とは?

 BitcoinやNFTなどで使用されているブロックチェーン技術の先駆けと言われた「Winny」は、金子勇氏(ハンドルネームは47氏)が開発したファイル共有ソフトで、インターネット上でつながった複数のパソコンでファイルを共有する分散ファイルシステムの技術を使用したソフト。当時ではあまり利用されていなかったP2P技術を発展させデータをバケツリレー方式で転送するため匿名性が非常に高かった。

 金子氏が電子掲示板サイト「2ちゃんねる」上で「Winny」を公開すると瞬く間にユーザーは増え、ピーク時は200万以上の人が使用していたと言われている。その匿名性の高さから映画やゲーム、音楽などの著作物データが許可なく流通し、著作権侵害の温床と指摘され問題となった。

 また、その特性を悪用したウイルスも流行。感染すると意図しないデータが流出してしまい、警察や自衛隊の内部資料、企業の顧客情報や個人所有のファイルなどが漏えい。漏えいしたファイルは多数のパソコンにコピーが残ってしまい回収不能となり、当時の安倍晋三官房長官が会見で「情報漏えいを防ぐ最も確実な対策は、パソコンでWinnyを使わないことです」と呼びかけたほど社会問題となった。

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