ドラマ&映画 カテゴリ
ORICON NEWS

三池崇史×片山慎三、世界に打って出た監督対談 “若い世代へ伝えたいこと”

 動画配信サービスDisney+(ディズニープラス)」の「スター」で配信中のドラマ『コネクト』を監督した三池崇史氏(62)と、ドラマ『ガンニバル』を監督した片山慎三氏(41)の対談が実現。動画配信サービスの普及によって、手がけた作品を世界中の視聴者に届けることができる時代に、“若い世代へ伝えたいこと”とは?

(左から)三池崇史、片山慎三

(左から)三池崇史、片山慎三

写真ページを見る

【写真】その他の写真を見る


――2022年11月30日・12月1日にシンガポールで開催された「ディズニー・コンテンツ・ショーケース2022」(ディズニープラスで配信を予定しているアジア太平洋地域向けのオリジナル作品などの発表会)にお二人とも登壇されて、初顔合わせだったかと思いますが、お互いの印象はいかがですか?

【三池】存在感があって、僕の親戚にいそうだなって(笑)。

【片山】三池さんも僕も大阪出身なんですよね。僕も高校でラグビーをやっていたので、勝手に親近感を抱いていました。

【三池】僕がラグビーをやっていたのは中学まで。高校は強豪校に行っちゃったので、入部した瞬間にレベルの違いを思い知り、あきらめました。挫折するというか、こんなはずじゃなかったのに…と感じた時が、チャンスなんですよね。違う道へ行けってことなんだから。そうやってたどり着くところがあるんだろうなって思います。

――高校でラグビーを続けていたら三池監督は映像の世界に行かなかったかもしれないということですね。

【片山】僕らの世代で助監督経験がある者からしたら、三池さんは伝説の助監督。いろんな逸話がありすぎて、こうやってお話できるのがうれしくもあり、ちょっと怖さもあるというか。それ、本当に実話ですか?というような逸話がたくさんあって…。具体的には言えないですけど(笑)。

【三池】フリーで助監督をしていたんだけど、すごく楽しかったね(笑)。

(左から)三池崇史、片山慎三

(左から)三池崇史、片山慎三

写真ページを見る

――三池監督は「ディズニー・コンテンツ・ショーケース2022」に登壇した際に、「自分の作品が世界に配信されるというのは、初めての経験。さらにディズニープラスという自分とは最も遠いと思っていた世界で(笑)助監督になりたての頃にタイムスリップできたら、"お前は大丈夫だ。そのまま自分を信じてやればいい。ディズニープラスで配信してもらえる作品をとることになるよ”と教えてあげたいです」と感慨深げにあいさつされていました。夢や目標のために奮闘する若い世代の皆さんへアドバイスになるようなお話をうかがえたらと思っています。

【三池】楽しく助監督をやっていたら、ある時、劇場公開する映画でも、テレビドラマでもない、オリジナルビデオ映画で「監督やらないか?」って声をかけてもらったんです。なるべくしてなる才能があったというよりは、時の運みたいなもので。自分でコントロールできない要素にも影響されるから、思うようにはたぶんいかないんですよ。思うようにはいかないけれど、思っているより面白いことになる可能性もある。失敗したり、悔しい思いをしたり、そういうことが長く続くこともあるけど、自分を信じてやっていくしかないよね。僕からみれば、若いというだけでうらやましい存在。いろんな可能性を秘めているわけだから。

 だけど、「俺の仕事なくなるな」って危機感を抱くくらい迫力のある若手が少ない気もしますよね。もっと若い人たちがガシガシ行って、引っ張っていかないとダメになっていく業界だと思うから。そうさせちゃった我々の世代に責任があるのかもしれないし、単に僕が知らないだけで、すごい若手がたくさん出てきているのかもしれない。片山さんはすごい若手の一人だと思います。

■自分らしい表現するのが大事

――片山監督は、ポン・ジュノ作品の助監督などを経て、2019年公開の『岬の兄妹』で映画監督としてデビューしてからは、長編2作目の『さがす』(21年)で商業デビュー、その次の監督作品『ガンニバル』で世界配信デビューと、破竹の勢いですね。

【片山】とはいえ僕は下積み時代が長くて、助監督を15年くらいやっていたんですよ。いまの若い人たちをうらやましく思います。若いうちはいろいろやってみたらといいと思います。自分がやりたいこと、やれること、やれないこと、やってみて初めて見えてくるものがあると思うので。

『コネクト』ディズニープラス スターにて全6話一挙独占配信中(C) 2022 Disney and its related entities

『コネクト』ディズニープラス スターにて全6話一挙独占配信中(C) 2022 Disney and its related entities

写真ページを見る

――三池監督が手がけた『コネクト』は、韓国のキャストとスタッフとの日韓合作プロジェクト。自己治癒力を持つ新人類“コネクト”のハ・ドンスが、自分と“目”でつながる連続殺人鬼を追うクライムSFスリラーです。ご覧になっていかがでしたか?

【片山】すごく面白かったです。目玉が動く描写がかわいくて(笑)。グロテスクなところもあるのですが、それがキュートに見えてくるという、三池さんらしいドラマだな、と思いました。チョン・ヘインさん、コ・ギョンピョさん、キム・ヘジュンさんら韓国の俳優たちも素晴らしくて、世界中の人が楽しめるドラマだと思いました。

――片山監督が手がけた『ガンニバル』は、二宮正明氏の同名漫画を原作に、都会から遠く離れた山間にある村に駐在としてやってきて、家族と穏やかに暮らそうと思っていた主人公が、少しずつ村の異常性に気付き、日常が狂気で蝕まれていくヴィレッジ・サイコスリラー。

【三池】間とか空気感とか、何か起こる前の気配で恐怖を感じさせるとか、日本人にしか作れないテイストの作品だと感じました。主人公も、村の人たちも、誰一人としてステレオタイプの人間がいない。だから観客とうまくコミュニケーションがとれないんだよね。よくわからないけど、主人公たちに導かれてもっとわからない世界に引き込まれる。怖いというか、ヤバいよね(笑)。道で、ましろ(柳楽優弥演じる主人公・大悟の娘)とすれ違ったらどうしよう。ましろがお菓子の箱を差し出してきたら、俺、受け取れるかな(笑)。夫婦の間の微妙な空気も不穏だし、人間の狂気が見事に描かれていると思います。

『ガンニバル』ディズニープラス スターにて独占配信中(C) 2022 Disney and its related entities

『ガンニバル』ディズニープラス スターにて独占配信中(C) 2022 Disney and its related entities

写真ページを見る

――世界配信される作品を手がけた経験から得たものは?

【三池】世界にアピールしようとして、自分の世界を忘れてしまっては本末転倒。自分のおじいちゃんおばあちゃんのことを丁寧に描いたって、世界で共感してくれる人はいっぱいいるわけ。気負わず、自分らしい表現するのが大事だと再確認できました。

【片山】韓国の人たちが自分たちの作品に誇りを持っていることを感じて、日本も負けていられない、という刺激を受けつつ、三池監督のように一緒に作る機会があったらぜひとも挑戦して、いろいろ吸収したいと思いました。

>このニュースの流れをチェック

  1. 1. 吉岡里帆、ディズニーデートを申し込んだ相手から「一緒に行きましょう」の返事
  2. 2. 柳楽優弥、笠松将ら共演者に「喰われそうだった」現場に手応え〜『ガンニバル』
  3. 3. 柳楽優弥主演『ガンニバル』ディズニープラスで配信開始 キャラクター紹介
  4. 4. ディズニープラス『ガンニバル』片山慎三監督も引き込まれた柳楽優弥のゾクゾクする演技
  5. 5. 柳楽優弥主演『ガンニバル』3話:供花村に左遷された理由が明らかに【ディズニープラス】
  6. 6. 三池崇史×片山慎三、世界に打って出た監督対談 “若い世代へ伝えたいこと”
  7. 7. 『ガンニバル』村人が本性を現す4話、キーパーソン・高杉真宙が登場【ディズニープラス】
  8. 8. 山内健司、原作漫画ファン目線でドラマ『ガンニバル』をPR【ディズニープラス】
  9. 9. 『ガンニバル』5話:新たなキャラクターが登場し、怒とうの後半へ
  10. 10. 笠松将、『ガンニバル』本当に怖いのは人間の“愛”
  11. 12. 『ガンニバル』6話:最終話目前、いよいよ明らかになる後藤家の秘密
  12. 13. 『ガンニバル』7話が最終話 衝撃のラストが訪れる
  13. 14. 柳楽優弥の剥き出しの“狂演” 『ガンニバル』ブチギレ映像公開
  14. 15. 『ガンニバル』“あの人”の正体は澤井一希 人であって人でないような特殊な存在感
  15. 16. 『ガンニバル』山本晃久プロデューサーに聞く 成否のポイントは“供花村”の真実味
  16. 17. ディズニープラス『ガンニバル』DVD特典並みの30分超えメイキングムービーをWEBで公開
  17. 18. 柳楽優弥、渡米して海外メディアに『ガンニバル』を売り込み「世界配信を実感する旅になった」
  18. 19. 柳楽優弥「新たな風を吹かせたい」ドラマシリーズ『ガンニバル』続編制作決定

▼ その他の流れをもっと見る

関連写真

  • (左から)三池崇史、片山慎三
  • (左から)三池崇史、片山慎三
  • (左から)三池崇史、片山慎三
  • 『コネクト』ディズニープラス スターにて全6話一挙独占配信中(C) 2022 Disney and its related entities
  • 『ガンニバル』ディズニープラス スターにて独占配信中(C) 2022 Disney and its related entities

オリコントピックス

あなたにおすすめの記事

>

メニューを閉じる

 を検索