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大友花恋、“意見が言えなかった”自分を変え進化 「開き直る」覚悟で仕事の幅広げる

 新型コロナウイルス感染拡大により、社会生活の変化を余儀なくされた世界。そんな2020年を舞台にした映画『散歩時間 その日を待ちながら』が12月9日、公開を迎える。本作で、コロナ禍の影響で結婚式を挙げられなかった新婚の女性・ゆかりを演じたのが、近年幅広いジャンルで活躍する俳優・大友花恋(23)だ。コロナ禍により、失うものも多いなか、大友は発想の転換で前に進むカギを見つけたという――。

映画『散歩時間〜その日を待ちながら〜』に出演する大友花恋 (C)ORICON NewS inc.

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■思ったことが言えない性格だった

 大友演じるゆかりは、新型コロナの影響で結婚式を挙げることができなかった新婚の女性。そんななか、都会から離れた友人の家でお祝いパーティを開いてもらうことになり、夫である亮介(前原滉)と友人宅に向かうことになるが、お土産ひとつでも、亮介とは意見がかみ合わない。日ごろから本音を話そうとしない亮介への不満は募るものの、ゆかり自身も思いを伝えることができず、ぎこちない関係になってしまう。

 「ゆかりは、もやもやしてもそれを感情として表に出さないんです。台本を読んで、“演じるのはとても難しそうだな”と思ったのですが、私も自分から思ったことを言うことがあまりなく受け身になってしまいがちなので、ゆかりの気持ちはストンと入ってきました。『自分のなかに渦巻いている気持ちが、怒りなのか不安なのかわからない』というセリフを言うのですが、本当にその通りだなと。そんな気持ちをいかに伝えられるか……ということをとても大切にして演じました」。

 明るく、爽やかでサバサバしたイメージがある大友。「思ったことを言うことがあまりない」という発言は意外に感じるが――。

 「ゆかりと同じで、自分のなかに湧いてきた感情や気持ちを具現化することが得意ではなくて。でも、しっかりと自分の思いを伝えたいという気持ちが強くなってきているので、まずは思いを文章にすることを心がけています。書くことでより、気持ちが整理できますし、少しずつですが、相手にも思いを伝えられるようになったような気がします」。

■自分を見つめ直したコロナ禍「ジャンルに捉われずに活動したい」

映画『散歩時間〜その日を待ちながら〜』に出演する大友花恋 (C)ORICON NewS inc.

映画『散歩時間〜その日を待ちながら〜』に出演する大友花恋 (C)ORICON NewS inc.

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 劇中には、ゆかりと亮介の新婚カップルのほか、出演する舞台の中止が続く若手俳優、妻の里帰り出産に立ち会えず、生まれた子どもも抱くことができないタクシー運転手、学校行事がほとんど中止になってしまった中学3年生の男女など、コロナ禍によって翻弄されてしまった人間模様が描かれる。

 「コロナ禍は日常が変化して、私にとってもいろいろなことを見つめ直す期間でした。そんな状況を題材にした作品を視聴者として観ながら、自分もそういった作品に携わりたいと思っていたんです。なので、出演することができてとてもうれしかったですし、背筋が伸びる思いでした」。

 さらに大友は本作に出演して、強く感じたことがあったという。

 「世代や状況によって、コロナ禍に対する悩みが違うということに気がつくことができました。お仕事のことを最優先に考える大人もいれば、修学旅行に行くことができなかったという学生や、結婚するタイミングやお祝いができずに悩む人も……。人の数だけ悩みが違い、価値観も違う。作品に携わったあとは、街ですれ違う人みんなに人生があるんだとより強く感じるようになりましたし、私自身も今まで以上に、人に優しくありたいと思いました」。

 突如訪れたコロナ禍で、大友は自身の考え方も大きく変わっていったという。

 「多くのことを制限された部分もありましたが、有意義な時間を過ごせた部分もありました。自分自身を見つめ直す時間があったので、自分はなにが得意で、なにが向いていて、この先なにを頑張りたいのだろうと、まっすぐ自分の心と向き合ったんです。ちょうど専属モデルとして所属させていただいていた雑誌を卒業するタイミングもあり、これからはお仕事のジャンルにとらわれることなく、積極的にチャレンジしていこうと思うきっかけにもなりました」。

 言葉通り視野を広げ、俳優活動だけではなく、バラエティー番組や情報番組への出演など、仕事の幅が広がった。そこで出会った人たちと積極的にコミュニケーションすることで「あまり意見が言えなかった」という性格も、少しずつ変化してきているという。

 「自分で“ここまで”と幅を狭めなくなったことで、より仕事が楽しめるようになりました。バラエティー番組に出演させていただくときも、以前は『お邪魔します』という感じが強かったのですが、いまは自分も番組を作る一員なんだと思って臨んでいますし、雑誌でモデルをするときや、お芝居の現場でも『こういうのはどうですか?』と提案するようになりました」。

 大友の気持ちが変化したことで、周囲の雰囲気も変わってきた。

 「自分が変化したことで、周囲の方々から『じゃあこんなことも挑戦してみる?』と話してくださる機会が増えました。生放送で情報を伝える際も、以前はずっと緊張していたのですが、周囲の方々とコミュニケーションがしっかりとれることで、“ひとりじゃないんだ”と良い意味で開き直ることができました」。

■理想のパートナー像は「“許せないことの価値観”が近い人」

映画『散歩時間〜その日を待ちながら〜』に出演する大友花恋 (C)ORICON NewS inc.

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 芸能界デビューしてから、気がつけば10年。年齢を重ねるたびに、役柄の幅も広がっていく。本作では、ほぼ初めてという既婚者の役を演じた。

 「ここまでしっかり設定として結婚した女性を演じることは初めてでした。結婚というのは人生における一大イベントだという意識はありましたが、現在23歳の私には、まだ実感がないんです。でも、この先何十年も共にする相手になるわけで、重い決断なんだということは、少し実感できました」。

 さらにもうひとつ、大きな気づきがあったという。

 「結婚は幸せな“ゴールイン”という印象でしたが、この作品を経験して、人生って結婚してからの方が長いんだよな……ということをリアルに感じました。夢やロマンティックという部分だけではなく、結婚というのは現実なんだという意識は強くなりました」。

 そんななか大友にとって理想のパートナー像とは。

 「いままでは漠然と優しい人がいいなと思っていたのですが、亮介の姿を見ていると、優しいだけでは一緒に生きていくのは難しいと感じました。大切なのは価値観が近いということなのかなと。そのなかでも“許せないことの価値観”が近い人だと、いろいろなことがあっても乗り越えられるような気がして、そんな人と出会えたらいいなと思いました」。

 “既婚女性”を役において経験した大友。自身の気持ちも変わり、いろいろなことを受け入れるキャパシティーが増えて臨む2023年。

 「今回は既婚者女性の役をいただいたので、母親役など実年齢と同じもしくは少し上のキャラクターにも挑戦していきたいです」。

取材・文/磯部正和
写真/MitsuruYamazaki

スタイリスト:山田莉樹 ヘアメイク:田中陽子

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  • 映画『散歩時間〜その日を待ちながら〜』に出演する大友花恋 (C)ORICON NewS inc.
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