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タワマンの汚部屋でチワワ多頭飼育、飼い主のホームレス化…“差し押さえ”られた犬猫の運命は?

 どんなに可愛がっているペットだったとしても、法律的には“物”扱い。飼い主が差し押さえにあうようなことがあれば、犬猫は荷物と同様に扱われる。また、飼い主に問題があっても、“所有物”だからこそ外から救えないこともある。ここでは、強制執行補助業者の協力のもと、NPO法人『ねこけん』が保護に向かった2つの事例を紹介する。代表理事・溝上奈緒子氏が見た、厳しい現状とは?

タワマンでチワワ14頭飼育、その後…(写真はイメージ)

タワマンでチワワ14頭飼育、その後…(写真はイメージ)

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■強制退去でホームレスになった男性、飼い主は「あとで迎えに来ます」と言うが…

 猫を飼い主であった50代の男性は、仕事の契約が切れたところにコロナ禍で再就職もままならず、借りていた部屋は強制退去。持ち物は差し押さえられ、荷物と一緒に飼っていた2匹の猫も差し押さえられたという。週に一度アルバイトをしているため生活保護も受けられず、ついにはホームレス状態となってしまった。それでも、猫たちのことを案じている様子だったという。

 債務者である以上、借りていたお金を返せなければ財産が差し押さえられることは仕方がない。だが、そこにペットも含まれるということを知る人は少ないのではないか。法律上、人が飼育している動物の位置づけは、“物”とされることが多い。

 「本来なら愛護センターに連れていかれるそうですが、差し押さえた荷物を一旦、保管する強制執行補助業者の方が、ご好意で2匹を倉庫に預かってくれていました。どうやら猫好きの方のようで、ケージに入れ、寒くないようにヒーターも設置し、ご飯もあげてくれていたんです。とはいえ、預かるのも1ヵ月くらいが限度。普通は1週間くらいでセンターに引き渡されてしまうそうです」

 愛護センターに引き渡されるということは、譲渡される場合もあるが、殺処分される可能性もあるということだ。このように、飼い主の強制退去や猫を残した引っ越しなどにより、その会社から愛護センターに送られる猫はかなりの数に上る。差し押さえられた猫を「あとで迎えにきます」と言う飼い主もいるが、ほとんどはそのままになってしまうのが実情だそうだ。

 『ねこけん』が差し押さえられた2匹を迎えに行くと、その担当者のおかげで猫たちは生きながらえることができ、無事に保護するに至った。倉庫の中には、2匹のほかに大きなキジトラの猫がもう1匹。どうやら今回の飼い主と同じパターンで、差し押さえから3ヵ月経っても、飼い主は引き取りにきていなかった。

 「キジトラも保護したいと申し出ましたが、元の飼い主の同意がないと猫を連れ出すことはできない。結局、当事者に連絡、同行してもらい、無事に保護することはできました。今後、同じような猫が来たら、すべて引き取ると伝え、連絡をもらうことになっています」

 預かった2匹の猫の名前は、「豆子」と「あずき」。そして、倉庫にいた巨漢のキジトラは「十兵衛」という名だった。望んだわけではないとはいえ、人間の都合であやうく愛護センターに送られ、殺処分が待っていたかもしれない猫たちの未来。今回、偶然のような細いツテをたどり、なんとか命を長らえさせることができた。

床もひどい状態になっていた(写真:ねこけんブログより)

床もひどい状態になっていた(写真:ねこけんブログより)

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 同じ強制執行補助業者から、今度は犬の保護についての連絡があった。業者によると、その物件はタワーマンション。女性が1人で暮らしていたが、なんとチワワが14頭もいるという。本来はとてもきれいなマンションだそうだが、その部屋からは悪臭が出ており、近隣からクレームも来ていた。

 『ねこけん』は本来、その名のとおり猫の保護団体だが、獣医師の協力のもと保護のめどが立った。いざ案件に取り掛かろうと業者から送られた写真を見てみると、そこにはとても「きれいなタワマン」とは思えない、グチャグチャな部屋の様子が写っていた。

 「散らかり放題でゴミも捨てられておらず、床もひどい状態。ものすごく汚い部屋でした。高級タワマンでもここまでになるのかと、驚いたくらいです。ここでチワワ14頭を、一体どうやって飼っていたのか」

 一刻も早く犬たちを救わなければ…、そう決心し動き出そうとしたところで、予想外の展開が起こった。なんと、この部屋に住む女性が夜逃げしてしまったのだという。残されたのは大量のゴミだけ。なにより問題なのは、女性が14頭のチワワをすべて連れ去っていたことだ。

 「おそらく、女性は実家に身を寄せているのではないかということでした。でも、それを追いかける術はない。犬は法律的に“物扱い”で、その人の所有物、財産になってしまうから。せめて置いていってくれたら保護ができたのですが、連れていかれてしまうと何もできないのがもどかしいです」

 たとえ汚い部屋から場所を移したとしても、再び同じような状態に陥る可能性はおおいにある。そこでまた犠牲になるのは、小さな犬たちだ。

 「負のループが続いてしまうと思うと、とても心が痛いです。タワマンに限らずですが、今回のことは氷山の一角。本当は日本中でそういったことが起こっているのかもしれません。こんな状態になる前に、誰かに相談したり、周りが気づいてあげられれば…。犠牲になるのは小さな命ですから。なんとか、こうしたことが減ってほしいと思います」
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