1989年に少女まんが雑誌『りぼん』で連載され、1995年にスタジオジブリがアニメ映画化した『耳をすませば』が実写映画として2022年10月14日に公開を迎える。本作では、雫と聖司の10年後がオリジナルストーリーとして描かれている。大人になった雫を演じるのが清野菜名、聖司に扮するのが松坂桃李だ。出演作が続く2人は10年に渡るピュアなラブストーリーに、どのように向き合ったのだろうか。清野と松坂が作品に込めた思い、さらには純愛を貫く秘訣などを語った。
■名作アニメの実写化にはプレッシャーも感じた
――アニメ映画として広く認知されている原作まんがの実写化ですね。お話を聞いたときはどんなお気持ちでしたか?
清野:率直に驚きました。年代問わず『耳をすませば』というアニメ映画作品を観てきた方は多いと思いますし、そんな作品の10年後を私が演じるということには大きなプレッシャーがありました。
松坂:僕もお話をいただいたときは「あの『耳をすませば』ですか? スタジオジブリでアニメ化されているやつですよね。本当に実写化するんですか? 僕が出るんですか?」と何度も確認してしまいました(笑)。とても大きなプレッシャーがある一方で、10年後の2人ってどうなっているんだろうという興味も沸いてきました。
――脚本を読んでどんな印象を持ちましたか?
清野:雫と聖司くんの関係性って本当に可愛いなと改めて感じました。過去パートと10年後パートを織り交ぜて描かれていたので、映像化されたときにどんな感じになるんだろうってワクワクしましたね。
松坂:かわいらしくて甘酸っぱい感じがしましたね。そのなかで、大人になるまでの過程でぶち当たる壁みたいなものが、ちゃんと受け止めやすい形で描かれていたので、とても読みやすかったです。
――大人になった雫や聖司を演じるうえで、原作漫画やアニメは参考にしましたか?
清野:アニメ映画版の『耳をすませば』は物心ついたときに観ていたので、自分のなかに“雫ちゃん像”はあったのですが、この作品の撮影に入る前に何度も何度もアニメ映画を観返しましたし、原作も読みました。雫のハキハキした感じとか、喜怒哀楽を素直に表に出す感じ、さらに歩き方とかも特徴的なので、そういった部分は意識しました。
松坂:僕も原作やアニメは何度も観ました。そのとき感じた聖司くんの空気感を意識しつつ、そこから先の10年後は自分の想像でしかないので「きっと雫のことを一途に思いながらイタリアにいるんだろうな…」というイメージを頭に思い浮かべながら現場には入りました。
――松坂さんが聖司に感じた空気感というのは?
松坂:なんていうんでしょうね。ちょっと変わっているというか…(笑)。聖司くんって格好いいんだけれど、何とも言い表せないような偏屈な感じもあるじゃないですか。そんなところですかね。
■役柄のふり幅が広い清野&松坂が、等身大の役を演じることの意義
――アニメから20年以上の歳月を経て、いま実写化作品として届ける意味みたいなものは、どう解釈していますか?
清野:いまはSNSやスマホとか、想いをすぐに伝えられるツールが多いのですが、原作で描かれている時代は、手紙や、公衆電話で10円玉を足しながら話すことが主だった時代。そういう時代だからこそ、聖司くんも雫も、言葉のひとつひとつを大切にしていたと思うんです。その想いの重みを、いまの時代の人が感じとってくれたらこの作品をいま世に出す意味があるのかなと。これから恋愛をする若い子たちにもワクワクしてもらえる作品なのかなと感じています。
松坂:『耳をすませば』は、懐かしさや甘酸っぱさという感情を沸き立たせる最上級の作品だなという思いが強くて。多くの人が「あーこんな感じあったな!」と感じてもらえるんじゃないかなと。…いや実際はあんまりないかもしれないんですけど(笑)。それでも、大人は懐かしさを、若い人はこの感性が「エモい」と思ってもらえるような、そんな効果があるのかなと思っています。
――実写ならではの魅力は?
松坂:登場人物の顔の表情というのが、より明確に伝わるのかなと思います。肌感とか生っぽさ、空気感みたいなものが、原作やアニメーションにはない魅力かもしれません。
清野:まさにそうですね。恥ずかしいと思ったときの肌がポッと赤く染まる感じとか、やっぱり生身の人間だからこそリアリティがあるのかなと思います。
――お2人とも非常に役柄の幅が広いですが、こうした等身大の男女を演じることには、どんな思いが?
松坂:ちょうど撮影時、僕は31歳だったのですが、この年齢でしかできない役だったなという思いは強かったですね。個人的には最近、かなり重たい役が続いているなかで出会った作品だったので、心が浄化されるような気持ちになりました。
清野:私も暗殺集団の一員だったり、トランペットを吹く警察官だったりと、現実から結構かけ離れた役が続いていたので、等身大で年齢も近い雫という女の子を演じることは、とても新鮮でした。撮影当時は25歳で、私も雫と同じ悩みや葛藤を抱えていたので、自分自身と一心同体になれた役でした。さらに、コロナ禍で一度撮影が休止になってしまったことがあったのですが、もし中止になってしまっていたら「絶対嫌だ」と思うぐらいこの役に熱量を込めていたので、とても思い出に残る作品になりました。
――ご自身の悩みは役と一緒に昇華されていったのですか?
清野:そうですね。実はまだちょっと自分の悩みは続いているのですが(笑)。でもこの役を演じることについては、スッと演じることができたなぁと。いつもは役にアプローチするとき、誰か似ている人物を探して、そこからなにかを吸収しようと思っているのですが、今回は自分のなかに近いものが多かったので。
――松坂さんはご自身の悩みを役に乗せて解決していくという方法をとることはありますか?
松坂:同じ悩みを持つ役に巡り合うことはなかなかないと思うのですが、たとえば積み重なったストレスみたいなものがあって、役柄的に発散するような人物だったら、その芝居を通じてすっきりするということはあるかもしれません。
■10年間、愛を貫くために必要なこととは
――10年の間、雫も聖司も誠実に未来と向き合ってきました。お2人も俳優という仕事に長く携わっていますが、思いを叶えるために心掛けていることは?
松坂:健康維持ですね。どの仕事でもそうだと思いますが、たとえば体調を崩してしまうと、やりたいと思っている仕事もできないじゃないですか。10年ほど前になりますが、肺炎に罹ってしまったことがあって、断念しなければいけない仕事がいくつかあったんです。そのとき「自分の健康管理の甘さで、やりたいと思っていることができなかった」と痛感したんです。そこからなによりも健康第一ということを自分のなかで掲げるようになりました。罹患するのは致し方ないことではありますが、後悔のないように予防していきたいなと。
――松坂さんと言えば、ギリギリまで役に向き合う形で、過酷な減量などもされている印象がありますが。
松坂:もちろん、役を演じるうえで、体を絞った方がいいなと思えば減量もしますが、あくまで栄養や健康を考えながら…そこは忘れないようにしています。
清野:松坂さんはすごくストイックですよね。私は昔からジャスティン・ビーバーがすごく好きなんです。ジャスティンはトランペットやドラム、ギター、ピアノ、歌も作ったり、ダンスもできたりと、とにかく多才。でもそれは彼の努力なんです。私も、とにかくいろいろなことをしたいと思って生活しています。ギターを始めたりドラムも習いに行ったり、アクションもそうですし、アクロバットも……。特技を増やすことで、自分の可能性も広がると思っています。いまでもそれは意識して生活していますね。
――壁に当たったときはどうやって乗り越えているのですか?
清野:とことん悩む。落ちるところまで落ちてしまうと、もう浮かび上がるしかないじゃないですか。あまり無理に乗り越えようとはしないですね。自然と浮き上がるまで待つことがいいかもしれません。
――雫と聖司の10年の愛の物語でもあります。10年間愛を貫くための秘訣とは?
清野:私のなかでは尊敬という感情が一番大切かな。雫も聖司くんに抱いていたと思いますが、自分にないものを持っていると感じる気持ち、憧れというのは大きいですよね。私自身、相手への敬意がないと、やっぱり想い続けられないと思うので。
松坂:確かにそれは大きいね。僕も似ているかもしれませんが、その人のちょっとしたことでもいいから、良いところを見つけられるかというのは大きいかも。自分としては、相手の良いところを見つけられる視野を広く持つことが大切かなと思っています。
取材・文/磯部正和
写真/MitsuruYamazaki
■名作アニメの実写化にはプレッシャーも感じた
――アニメ映画として広く認知されている原作まんがの実写化ですね。お話を聞いたときはどんなお気持ちでしたか?
清野:率直に驚きました。年代問わず『耳をすませば』というアニメ映画作品を観てきた方は多いと思いますし、そんな作品の10年後を私が演じるということには大きなプレッシャーがありました。
松坂:僕もお話をいただいたときは「あの『耳をすませば』ですか? スタジオジブリでアニメ化されているやつですよね。本当に実写化するんですか? 僕が出るんですか?」と何度も確認してしまいました(笑)。とても大きなプレッシャーがある一方で、10年後の2人ってどうなっているんだろうという興味も沸いてきました。
――脚本を読んでどんな印象を持ちましたか?
清野:雫と聖司くんの関係性って本当に可愛いなと改めて感じました。過去パートと10年後パートを織り交ぜて描かれていたので、映像化されたときにどんな感じになるんだろうってワクワクしましたね。
松坂:かわいらしくて甘酸っぱい感じがしましたね。そのなかで、大人になるまでの過程でぶち当たる壁みたいなものが、ちゃんと受け止めやすい形で描かれていたので、とても読みやすかったです。
――大人になった雫や聖司を演じるうえで、原作漫画やアニメは参考にしましたか?
清野:アニメ映画版の『耳をすませば』は物心ついたときに観ていたので、自分のなかに“雫ちゃん像”はあったのですが、この作品の撮影に入る前に何度も何度もアニメ映画を観返しましたし、原作も読みました。雫のハキハキした感じとか、喜怒哀楽を素直に表に出す感じ、さらに歩き方とかも特徴的なので、そういった部分は意識しました。
松坂:僕も原作やアニメは何度も観ました。そのとき感じた聖司くんの空気感を意識しつつ、そこから先の10年後は自分の想像でしかないので「きっと雫のことを一途に思いながらイタリアにいるんだろうな…」というイメージを頭に思い浮かべながら現場には入りました。
――松坂さんが聖司に感じた空気感というのは?
松坂:なんていうんでしょうね。ちょっと変わっているというか…(笑)。聖司くんって格好いいんだけれど、何とも言い表せないような偏屈な感じもあるじゃないですか。そんなところですかね。
■役柄のふり幅が広い清野&松坂が、等身大の役を演じることの意義
清野:いまはSNSやスマホとか、想いをすぐに伝えられるツールが多いのですが、原作で描かれている時代は、手紙や、公衆電話で10円玉を足しながら話すことが主だった時代。そういう時代だからこそ、聖司くんも雫も、言葉のひとつひとつを大切にしていたと思うんです。その想いの重みを、いまの時代の人が感じとってくれたらこの作品をいま世に出す意味があるのかなと。これから恋愛をする若い子たちにもワクワクしてもらえる作品なのかなと感じています。
松坂:『耳をすませば』は、懐かしさや甘酸っぱさという感情を沸き立たせる最上級の作品だなという思いが強くて。多くの人が「あーこんな感じあったな!」と感じてもらえるんじゃないかなと。…いや実際はあんまりないかもしれないんですけど(笑)。それでも、大人は懐かしさを、若い人はこの感性が「エモい」と思ってもらえるような、そんな効果があるのかなと思っています。
――実写ならではの魅力は?
松坂:登場人物の顔の表情というのが、より明確に伝わるのかなと思います。肌感とか生っぽさ、空気感みたいなものが、原作やアニメーションにはない魅力かもしれません。
清野:まさにそうですね。恥ずかしいと思ったときの肌がポッと赤く染まる感じとか、やっぱり生身の人間だからこそリアリティがあるのかなと思います。
――お2人とも非常に役柄の幅が広いですが、こうした等身大の男女を演じることには、どんな思いが?
松坂:ちょうど撮影時、僕は31歳だったのですが、この年齢でしかできない役だったなという思いは強かったですね。個人的には最近、かなり重たい役が続いているなかで出会った作品だったので、心が浄化されるような気持ちになりました。
清野:私も暗殺集団の一員だったり、トランペットを吹く警察官だったりと、現実から結構かけ離れた役が続いていたので、等身大で年齢も近い雫という女の子を演じることは、とても新鮮でした。撮影当時は25歳で、私も雫と同じ悩みや葛藤を抱えていたので、自分自身と一心同体になれた役でした。さらに、コロナ禍で一度撮影が休止になってしまったことがあったのですが、もし中止になってしまっていたら「絶対嫌だ」と思うぐらいこの役に熱量を込めていたので、とても思い出に残る作品になりました。
――ご自身の悩みは役と一緒に昇華されていったのですか?
清野:そうですね。実はまだちょっと自分の悩みは続いているのですが(笑)。でもこの役を演じることについては、スッと演じることができたなぁと。いつもは役にアプローチするとき、誰か似ている人物を探して、そこからなにかを吸収しようと思っているのですが、今回は自分のなかに近いものが多かったので。
――松坂さんはご自身の悩みを役に乗せて解決していくという方法をとることはありますか?
松坂:同じ悩みを持つ役に巡り合うことはなかなかないと思うのですが、たとえば積み重なったストレスみたいなものがあって、役柄的に発散するような人物だったら、その芝居を通じてすっきりするということはあるかもしれません。
■10年間、愛を貫くために必要なこととは
――10年の間、雫も聖司も誠実に未来と向き合ってきました。お2人も俳優という仕事に長く携わっていますが、思いを叶えるために心掛けていることは?
松坂:健康維持ですね。どの仕事でもそうだと思いますが、たとえば体調を崩してしまうと、やりたいと思っている仕事もできないじゃないですか。10年ほど前になりますが、肺炎に罹ってしまったことがあって、断念しなければいけない仕事がいくつかあったんです。そのとき「自分の健康管理の甘さで、やりたいと思っていることができなかった」と痛感したんです。そこからなによりも健康第一ということを自分のなかで掲げるようになりました。罹患するのは致し方ないことではありますが、後悔のないように予防していきたいなと。
――松坂さんと言えば、ギリギリまで役に向き合う形で、過酷な減量などもされている印象がありますが。
松坂:もちろん、役を演じるうえで、体を絞った方がいいなと思えば減量もしますが、あくまで栄養や健康を考えながら…そこは忘れないようにしています。
清野:松坂さんはすごくストイックですよね。私は昔からジャスティン・ビーバーがすごく好きなんです。ジャスティンはトランペットやドラム、ギター、ピアノ、歌も作ったり、ダンスもできたりと、とにかく多才。でもそれは彼の努力なんです。私も、とにかくいろいろなことをしたいと思って生活しています。ギターを始めたりドラムも習いに行ったり、アクションもそうですし、アクロバットも……。特技を増やすことで、自分の可能性も広がると思っています。いまでもそれは意識して生活していますね。
――壁に当たったときはどうやって乗り越えているのですか?
清野:とことん悩む。落ちるところまで落ちてしまうと、もう浮かび上がるしかないじゃないですか。あまり無理に乗り越えようとはしないですね。自然と浮き上がるまで待つことがいいかもしれません。
――雫と聖司の10年の愛の物語でもあります。10年間愛を貫くための秘訣とは?
清野:私のなかでは尊敬という感情が一番大切かな。雫も聖司くんに抱いていたと思いますが、自分にないものを持っていると感じる気持ち、憧れというのは大きいですよね。私自身、相手への敬意がないと、やっぱり想い続けられないと思うので。
松坂:確かにそれは大きいね。僕も似ているかもしれませんが、その人のちょっとしたことでもいいから、良いところを見つけられるかというのは大きいかも。自分としては、相手の良いところを見つけられる視野を広く持つことが大切かなと思っています。
取材・文/磯部正和
写真/MitsuruYamazaki
2022/10/13