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上原実矩「今後の自信につながる」 自身初の映画賞受賞作『ミューズは溺れない』

 「第22回TAMA NEW WAVE」、「第15回田辺・弁慶映画祭」のふたつの映画祭でグランプリを含む6冠を達成した青春エンタテインメント『ミューズは溺れない』(公開中)で主演を務めた上原実矩(23)。本作を通して、「映画づくりの大変さを知り、喜びを分かち合えた、この作品に感謝しています」と話す。

映画『ミューズは溺れない』(9月30日より全国順次公開)主演を務めた上原実矩 (C)ORICON NewS inc.

映画『ミューズは溺れない』(9月30日より全国順次公開)主演を務めた上原実矩 (C)ORICON NewS inc.

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 今年3月に主演映画『この街と私』(永井和男監督)が公開されたほか、『余命十年』(藤井道人監督)、『流浪の月』(李相日監督)、『ぜんぶ、ボクのせい』(松本優作監督)といった話題作への出演が続いた上原。初めて映画賞を受賞した作品となった『ミューズは溺れない』は、「モヤモヤしたものに苦しみながら立ち向かい」、そのモヤモヤが晴らすきっかけとなる自信をもたらしてくれたようだ。

■『ミューズは溺れない』とは?

木崎朔子(上原実矩)、西原光(若杉凩)(C)カブフィルム

木崎朔子(上原実矩)、西原光(若杉凩)(C)カブフィルム

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 美術部に所属する高校生の朔子(上原)は、船のスケッチに苦戦している最中に誤って海に転落。それを目撃した美術部員の西原(若杉凩)が「溺れる朔子」の絵を描いてコンクールで受賞、絵は学校に飾られるハメに。悔しさから絵の道をあきらめた朔子は、代わりに新たな創作に挑戦しようとするが、ある日、西原から「次回作のモデル」を頼まれてしまう。アイデンティティのゆらぎ、創作をめぐるもがきなど、葛藤を抱えながらも社会の海へ漕ぎ出そうとする高校生たちの最後の夏を瑞々しく鮮烈に描き切った。大九明子監督などの元で助監督を務めながら、中・短編を製作してきた淺雄望監督の長編デビュー作。

――公開を迎えた心境は?

【上原】この作品は2019年の夏に撮影していたんです。その後、新型コロナになどの影響を受けて撮影が中断し、お蔵入りも覚悟していた作品でしたが、2021年にすべてのシーンの撮影を終え、完成後2つの映画祭で賞をいただいて、3年越しで公開されることになりました。コロナ禍を耐え抜いて、その間、淺雄監督が編集でブラッシュアップを繰り返して完成させた作品が、いろんな方に評価していただいて、賞までいただけたということに驚きもありますし、素直にうれしいという気持ちです。あきらめないってやっぱり大切だな、ということも感じました。この映画の成り立ちからの旅路を思うと、映画って面白いな、と改めて思いました。映画づくりの大変さを知り、喜びを分かち合えた、この作品に感謝しています。

――撮影時の思い出は?

【上原】長編映画で初めて主演として臨んだ現場がこの作品でした。うれしい気持ちはもちろんありましたが、その務めを果たせているのかという不安も、気負いもあったと思います。撮影した時、20歳だったのですが、自分自身が10代から抜け出せていないというか、劇中の朔子と同じようにフワフワと漂っているような感じだったなぁということが思い出されますね。

映画『ミューズは溺れない』(9月30日より全国順次公開)主演を務めた上原実矩 (C)ORICON NewS inc.

映画『ミューズは溺れない』(9月30日より全国順次公開)主演を務めた上原実矩 (C)ORICON NewS inc.

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――では、朔子は演じやすかったですか? それとも難しかったですか?

【上原】難しかったです。朔子はまだ明確な個性が確立されていない女の子だったので、そういうはっきとしないものへの挑戦でもありました。問題の中身は人それぞれで、その大きさ、重さというのもそれぞれだけど、何かしら抱えているものがある。朔子と私は違うけれど、私の中の迷いみたいなものを手繰り寄せながら、“できること”を見つけられないことに焦る朔子と向き合おうとしたのですが、結果的には自分自身と戦いだったな、と思います。私自身も本当に迷いながら、必死に何かつかもうとしていました。

 殻を破って抜け出したいけど、抜け出し切れない自分。柔軟に対応したいと思っているけど、変に曲げたくないところがある自分。そういう自分の中のモヤモヤしたものに苦しみながら立ち向かうことに忙しくて、座長らしく振舞うことは全然できてなかったと思うんですけど、個人的にはすごくいい経験にさせてもらいました。さらに、賞をいただくとか、私自身の揺らぎが朔子とシンクロして良かった、とほめていただくとか、いい形で返ってきたことは、ありがたいことだと思っています。

――冷静におはなしできるということは、撮影から3年も経って、上原さん自身が成長したというか、モヤモヤから抜け出せたということなのでしょうか?

【上原】モヤモヤから抜け出せたかな、と思えたのはわりと最近ですが、最初の緊急事態宣言(20年4月)で、家にこもっていた時間はやはり大きかったですね。まずそこでリセットされたというか、自分と向き合う時間を持てたという人は多いと思いますが、私もその1人でした。かといってパッと変われるものでもなく、それからたくさんの方から言葉で背中を押してもらったり、共演者の方から刺激を受けたりして、気持ちが変わってきたように思います。

 昨年の5月に撮影していた『ぜんぶ、ボクのせい』ではオダギリジョーさんと初めてご一緒させていただいて、俳優の力みたいなものをすごく感じました。同じ脚本をもらっているのに、オダギリさんはこんなにも膨らみを持たせることができるんだ、とハッとしました。現場ではオダギリさんのお芝居にくらいつくのに必死だったのですが、カットがかかった後、すごくワクワクしている自分に気づいたんです。お芝居を通して新しい自分に出会ったワクワク、その感覚を忘れちゃいけないなって。そういう一つひとつの気づきがあった上で、この『ミューズは溺れない』で賞をいただけたのは、個人的にはすごく大きくて、一つの転機、今後の自信につながると思っています。これから自分がどう行動して、どんな表現をしていけるか、具現化するのみですね。

映画『ミューズは溺れない』(9月30日より全国順次公開)主演を務めた上原実矩 (C)ORICON NewS inc.

映画『ミューズは溺れない』(9月30日より全国順次公開)主演を務めた上原実矩 (C)ORICON NewS inc.

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――本作を鑑賞したテレビプロデューサー佐久間宣行氏が「自分がおかしいと思い悩む、すべての人に見てほしい。『それは、私が決めることだよ』とこの映画は言ってくれる。素晴らしい青春映画だ。」と絶賛したり、クリープハイプ尾崎世界観氏が「ずっと何かを作ることでバランスを保ってきたので、主人公に共感しました。その不安定な状態が意外と心地いいことも、誰かの作品に対する妬みも、全部よく知っています」と、コメントを寄せています。

【上原】初の主演作なので、もちろんたくさんの方に観ていただきたいのですが、何より、淺雄監督の創作への思いが詰まっている作品なので、そこから何か汲み取っていただけたらいいなぁと思っています。

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  1. 1. 上原実矩・若杉凩・森田想、3年前に撮影した映画『ミューズは溺れない』公開への思い
  2. 2. 上原実矩「今後の自信につながる」 自身初の映画賞受賞作『ミューズは溺れない』

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  • 映画『ミューズは溺れない』(9月30日より全国順次公開)主演を務めた上原実矩 (C)ORICON NewS inc.
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  • 大谷栄美(森田想)、木崎朔子(上原実矩)(C)カブフィルム
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  • 映画『ミューズは溺れない』(9月30日より全国順次公開)(C)カブフィルム
  • 映画『ミューズは溺れない』(9月30日より全国順次公開)ポスタービジュアル (C)カブフィルム

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