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「盲目の世界」をVRアニメーションで表現 第79回ベネチア国際映画祭に出品

 イタリアで開催中の「第79回ベネチア国際映画祭」(8月31日〜9月10日)のVENICE IMMERSIVE部門に、日本のVRアニメーション『Thank you for sharing your world』が出品、現地で展示されている。受賞作品の結果発表は、現地時間10日に行われる。

「第79回ベネチア国際映画祭」VENICE IMMERSIVE部門に出品されたVRアニメーション『Thank you for sharing your world』

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 同作は、講談社とポリゴンピクチュアズの合弁会社として、2017年に設立された制作スタジオ「講談社VRラボ」が、企画・制作。VRという新しいメディアで最適なストーリーテリングを探求する中で、盲目の少年が見ている世界をVRで表現することに挑んだ野心作だ。

 「目の見えない人は、実は想像力豊かに、色鮮やかな世界に生きている」というインタビューをきっかけに創作した、オリジナルストーリー。盲目の少年の想像力によって広がる美しい世界を、CGアニメーションとインタラクションで表現した。

「第79回ベネチア国際映画祭」VENICE IMMERSIVE部門に出品されたVRアニメーション『Thank you for sharing your world』

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 石丸健二プロデューサーは、「目の不自由な方々がどのように世界を『見ているのか』。お話を伺うと、盲目の世界は自分が思っていたものと大きく違っていました。個人差はありますが、彩りがあり、360度で世界を知覚し、足の裏で地面の傾きを感じる。とても興味深く、それでいて決して覗き見ることができない世界。これはVRというメディアで実現すべき題材だと、確信しました。本作の盲目の世界は一つの解釈ではありますが、このVR体験を通じて、何らかの発見や視野を広げるきっかけになればいいなと考えています」と、制作意図を明かしている。

■あらすじ

 小学生の頃に病気で視力を失った主人公、タカシ。目の前の世界を想像し、映像として再現することで、日常生活はほとんど不自由なく過ごしている。しかし、気持ちは塞ぎがちで世の中に対する興味も日常の楽しみも失っていた。

 ある日タカシは、シンジという軽度の自閉症の幼なじみに誘われて、二人きりで蒸気機関車のセレモニーを見に出かける。途中あることで喧嘩してはぐれてしまったが、周囲の人々のサポートから、セレモニーで再会を果せた。お互いのことを大事に思っていることに気づき、二人は仲直りをする。と、二人の目の前を、蒸気機関車が迫力いっぱいに通過していく。タカシの想像力は刺激され、シンジの声を頼りに、周囲の世界を次々と思い描いていく。世界はどこまでも広がりを見せ、タカシは、世界は自分の気持ち次第で変えられることを知るのだった。

「第79回ベネチア国際映画祭」VENICE IMMERSIVE部門に出品されたVRアニメーション『Thank you for sharing your world』

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■声の出演

 日本語版では、タカシ役を中川翼、シンジ役を岡山天音が演じている。

■監督・脚本

 監督・脚本を手がけたのは、作道雄(さくどう・ゆう)。1990年、大阪府生まれ、京都大学法学部卒。映像制作会社「クリエイティブスタジオゲツクロ」の代表を務めている。映画監督として映画『神さまの轍』(2018年)、脚本家として映画『光を追いかけて』(21年)、『アライブフーン』(22年)、ドラマ『ペットにドはまりして、会社辞めました』(22年、NHK)などがある。

 本作について作道監督は「10歳で視力を失った主人公は、周囲の音や嗅覚、見えていた頃の記憶を頼りに生活をしています。彼の認識する空間はいわば、自分一人の想像の世界なのだろう。そんな直感が、企画段階の最初にありました。その上で、その世界をどうやってVR的体験として立ち上げていくか。想像の世界には、何が起きるか予測できない怖さもあるし、現実と乖離(かいり)が生まれることもあるでしょう(そういったところも演出に盛り込みました)。さまざまなアプローチを試みながら制作を進めていくうちに、感じたことがありました。それは、想像の世界の住人が主人公ひとりだけだとしても、誰かと一緒に生きることで感じる喜びは、彼の世界を十分に彩ってくれるのではないか、ということ。タイトルに込めたのも、そういった思いです。次第に色づいていく主人公の世界を、多くの方にshare(シェア)出来ればうれしいです」とコメントを寄せている。

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