イタリアで開催中の「第79回べネチア国際映画祭」オリゾンティ・コンペティション部門に出品された映画『ある男』のプレミア上映に立ち会うため、現地入りした妻夫木聡、窪田正孝、石川慶監督の写真が到着した。現地時間9月1日にSala DARSENA(ヴェネチア・リド島内)にて行われた上映は、1000人の観客から約5分間のスタンディングオベーションで盛り上がったという。 「第70回読売文学賞」を受賞した平野啓一郎の同名小説を、『蜜蜂と遠雷』 の石川慶監督が映画化した本作。現地で妻夫木、窪田、石川監督の3人は観客と一緒に本編を鑑賞。ずっとこの日を待ち望んでいたという妻夫木は「今日はありがとうございます。ここに来られて本当にうれしいです」と英語であいさつし、場内を沸かせた。 脚本を読んだ感想について聞かれると、「自分とは何者かと問い続けながら、役と向き合いました。弁護士という役どころなので、もちろんそういう勉強もしたのですが、今回は特に子どもとの時間を大事にしました。子どもの存在を通して、自分の生きている意味や仕事について鏡のように考えることができました。皆さんにとってこの映画が少しでも人生の道しるべになってくれたらうれしく思います」と答えた。 窪田は「本日はありがとうございました。観てくださる方の余白がなくならないように、情報を与えすぎないように演じました。自分の人生は自分だけのものですし、悔いのない人生を送ることができるように、背中を押してくれる作品だと思います」と述べた。 『愚行録』(17年)に続き、べネチア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部門2度目の登壇となる石川監督は、“アイデンティティ”をなぜ今回のテーマにしようと思ったのかと問われ、「映画を作る時には、個々のアイデンディティをテーマにすることが多いのですが、一人の人間の良い部分も悪い部分も過去も、全部ひっくるめて愛せるのか、憎めるのかということを一度きちんと描いてみたいと思ったのがきっかけです」と答えていた。 公式行事終了後、妻夫木は映画祭に参加した感想について「映画と人が近いことに、映画への愛を感じた」と語り、窪田も石川監督も観客の反応に手ごたえを感じていたようだった。
2022/09/02
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