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「正直」が売りになるとは 山下智久主演『正直不動産』好調の理由

 俳優の山下智久が主演し、NHK総合で火曜よる10時から放送されていたドラマ10『正直不動産』が今夜(7日)最終回を迎える。口八丁手八丁で売上No.1の不動産営業マン・永瀬財地(山下)が、たたりでウソがつけなくなることから始まる痛快お仕事コメディー。NHKの編成でドラマジャンルマネージャーの土屋勝裕氏は「“正直”が売りになるとは。これは発見でした。『正直○○』でシリーズ化できるんじゃないかと思いました」と、声を弾ませる。

『正直不動産』最終話の場面カット(C)NHK

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 同ドラマは、初回放送から多くの反響が同局に寄せられ、3度目の連続再放送が決定。NHKプラス(見逃し配信)では、視聴回数で連続テレビ小説・大河ドラマをのぞいたドラマの歴代最高値を記録した。4月5日放送の初回の番組平均視聴率は個人2.6%、世帯4.8%だったが、タイムシフト視聴率ではその週の第5位にランクイン。その後も第2話(4月12日放送)、第6話(5月10日放送)、第7話(5月17日放送)もTOP10入りしている(視聴率はすべてビデオリサーチ調べ、関東地区)。

 同じく編成戦略に携わる同局のドラマジャンル編集長の下要氏も「ここまで多くの方に見ていただけるとは思っていなかったです。むしろ、不動産業界からの反応がどうなるかと思っていましたが、誰も損をしない、それでいて不動産のちょっとした知識も得られるドラマになりました」と胸をなでおろす。

永瀬(山下智久)の成長ぶりが見どころ(C)NHK

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 土屋氏は「最初に企画を聞いた時は、不動産のうんちく語られても難しすぎて、ドラマとして楽しめるんだろうか、という懸念は正直に言ってあった」と打ち明ける。しかし、人が生活していく上で必要な衣食住の「住」にまつわることに、“正直”に取り組んだ同名漫画(原案:夏原武、脚本:水野光博、作画:大谷アキラ)を、根本ノンジ氏が丁寧にドラマの脚本に落とし込んだ。主演の山下も意に反して(?)言わなくていいことまでペラペラとしゃべってしまう主人公・永瀬がはまり役となり、「笑って、泣けて、ジーンとくる。“明日も頑張ろう”と思えるお仕事ドラマになった」と、土屋氏はニコニコしながら語る。

 不信感が社会のデフォルト感情となっている昨今、“正直”というテーマが時代にマッチしたというのもある。「正直編成マン(編成担当者)とか、正直プロデューサーとか(笑)、なんでもできる。業界の裏話満載でシリーズ化できるんじゃないか、と冗談まじりに話していたところです」(土屋氏)。

■雰囲気が良い現場からは良い作品が生まれる

 同ドラマにおいては、放送開始直前に出演者の一人が急きょ降板する事態となったが、逆風を現場が一丸となって跳ねのけた。特に初回にゲスト出演した山崎努(※崎=たつさき)のツイッター開設効果は絶大だった。2012年放送『最高の人生の終り方〜エンディングプランナー〜』(TBS)以来、10年ぶりの共演となった山下に「今回カメラの前で立派な男になったことを確認、うれしかった」という思いを放送当日にツイッターを開設して発信。それをドラマのプロデューサーから聞いた山下も、急きょツイッターを開設し、山崎のつぶやきに応えた動きは、「まったく予想していませんでした」(土屋氏)。これが大きな話題となり、すべてが一気に好転しはじめた。

最終話に山崎努が再登場(C)NHK

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 土屋氏はツイッターの投稿をたまたま目にして知ったそうだが、キャスト発信によるサプライズに「これは、盛り上がるぞ!」と直感したという。初回や第2話の反響を受けて、第3話の放送前に第1話・第2話の連続再放送を実施。第3話放送後には、NHKプラスで第1話〜第3話までまとめて見逃し視聴できる状態を作った。さらにNHKプラスでの視聴をうながすためのPR動画の新規作成を編成から制作現場に打診すると、「現場は大変だった時期にも関わらず、脚本家の根本さんも協力してくださって、山下さんをはじめメインキャスト総出の2分間のPR動画を作ってくれました」。

美波(泉里香)の恋の行方は?(C)NHK

美波(泉里香)の恋の行方は?(C)NHK

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 大河ドラマ『龍馬伝』『花燃ゆ』、連続テレビ小説『エール』、特集ドラマ『太陽の子』、土曜ドラマ『フェイクニュース』など、長年ドラマの制作に携わってきた土屋氏は、「出演者が楽しそうにしている雰囲気が良い現場からは良い作品が生まれる」と、経験則を口にした。制作現場から離れた編成という立場から見ても、『正直不動産』のチームは「すごく良いチームだと思った」そう。

 来週14日に放送予定の特別番組『正直不動産 感謝祭』は、放送が始まってから編成主導で生まれたアイデアだった。これに、山下が「やります!」と快諾し、スケジュールを調整して収録に参加。作品へのポジティブな思いがなければできないことだ。“現場の雰囲気の良さ”を示す証拠と見ていいだろう。特番では、出演者や制作者が再び集結し、今だからこそ言える“撮影の舞台裏”や“ドラマの魅力”について45分にわたり語り尽くす。

出演者、裏支えのスタッフ、ドラマに関係する人たちすべてがハッピーな作品が、視聴者もハッピーする。なかなかできることではないのかもしれないが、『正直不動産』はそれができた作品の一つになったことは間違いない。

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  1. 1. 山下智久『正直不動産』の反響止まず 異例“3度目の再放送”決定
  2. 2. 「正直」が売りになるとは 山下智久主演『正直不動産』好調の理由

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