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ケネス・ブラナー、子ども時代に経験した北アイルランド紛争を映画の題材にした思い

 「第94回米国アカデミー賞」(授賞式は現地時間3月27日)に7部門にノミネートされた映画『ベルファスト』(3月25日公開)の監督・製作・脚本を手がけたケネス・ブラナーのインタビュー映像が到着。映像内では、いま、この時代に、故郷であるベルファストを舞台に自伝的作品を作り上げた想いや、こだわりのキャスティング秘話、そして、自分自身を投影させた役柄を託した子役ジュード・ヒルへの絶大な信頼といった撮影エピソードを明かしている。

ケネス・ブラナー監督=映画『ベルファスト』(3月25日公開) (C) 2021 Focus Features, LLC.

ケネス・ブラナー監督=映画『ベルファスト』(3月25日公開) (C) 2021 Focus Features, LLC.

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 同映画は、ケネス・ブラナーが、自身の幼少期を投影した自伝的作品。主人公は、北アイルランド・ベルファストに生まれ、家族と友達に囲まれ、映画や音楽を楽しみ、充実した毎日を過ごす9歳の少年バディ(ジュード・ヒル)。笑顔にあふれ、たくさんの愛に包まれる日常は、彼にとって完璧な世界だった。しかし、1969年8月15日、バディの穏やかな世界は突然の暴動により悪夢へと変わってしまう。プロテスタントの武装集団が、街のカトリック住民への攻撃を始めたのだ。住民すべてが顔なじみで、まるで一つの家族のようだったベルファストは、この日を境に分断されていく。暴力と隣り合わせの日々のなか、バディと家族たちは故郷を離れるか否かの決断に迫られる。

 「ベルファストは物語に事欠かない街だ。特に1960年代の後半のベルファストは街の歴史上最も過酷な激動の日々だった」と語り始めるブラナー。「あの日々はずっと僕の頭にあって"僕らが故郷で過ごしたあの時代の物語をいつか脚本にしようと思っていた」と長年、自身の幼少期の思い出を映画にしようと機会を探っていたそう。そんな中、コロナ渦というパンデミックが起こり、過激さは違えども、世界中の人が一瞬で世界が変わっていく様を目の当たりにしていると感じ、最初のロックダウンが始まった2020年頃に脚本を書き始めたという。

 いま、世界中の人々が、変わりゆく世界に立ち向かう日々を生きる中、劇中でも、過酷な時代の変化に戸惑い、苦悩しながらも前を向き、未来へと突き進む家族の物語が描かれている。ブラナーは今回、故郷と自身の幼少期の想いを込めた本作を手がけるにあたり、アイルランド出身のキャスティングにこだわった。

 「あの国と縁が深いキャストだ」と明かしており、「(父さん役の)ジェイミー・ドーナンはベルファストの出身でホーリーウッドという街に住んでいた。じいちゃん役のキアラン・ハインズは僕の実家からたった1キロ半の場所に住んでいたんだ」と驚きの事実を語っている。(母さん役の)カトリーナ・バルフや(ばあちゃん役)ジュディ・デンチにもアイルランドの血が流れており、「この映画では出演した俳優たちがとても前向きなエネルギーを加えてくれたと思う。彼らは“家族”だったね」と役者陣へ絶大な信頼を寄せていた。特に、自身を投影させた少年バディを演じたジュード・ヒルに対しては「すばらしい仕事をしてくれた。僕らがジュードを見つけ出した瞬間、彼の才能はまさに開花したんだ」と絶賛する。

 ブラナーは「この作品を観て、頑張る彼らの姿に力をもらってほしい」と、9歳の少年バディの目線を通して描かれるモノクロの世界観と、抗うことのできない変化に戸惑い葛藤しながらも、決してうつ向くことなく、笑顔とユーモアを持って未来へと一歩踏み出す人々の力強さを描いた本作への思いを語っている。

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  1. 1. 賞レースで注目されるケネス・ブラナーの自伝的映画『ベルファスト』特報
  2. 2. 第94回アカデミー賞7部門ノミネート、ケネス・ブラナー『ベルファスト』予告編
  3. 3. ケネス・ブラナー、子ども時代に経験した北アイルランド紛争を映画の題材にした思い

関連写真

  • ケネス・ブラナー監督=映画『ベルファスト』(3月25日公開) (C) 2021 Focus Features, LLC.
  • ケネス・ブラナー監督と9歳の少年バディを演じたジュード・ヒル (C) 2021 Focus Features, LLC.

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