“ミステリーの女王”の異名を持つ作家アガサ・クリスティが生涯を通して書き続け、今もなお愛され続けている“名探偵ポアロ”シリーズ。時代を超越した人気シリーズの中でも、アガサ自身が“旅行物のミステリーで史上最高傑作”と自信を持っていた「ナイルに死す」（1937年発表）を映画化した『ナイル殺人事件』が、2月25日に公開される。

　本作の監督・主演は、アガサ・クリスティ原作の映画『オリエント急行殺人事件』（2017年）を手がけたケネス・ブラナー。自らポアロを演じ、映画化、それも2作目。よほどの情熱がないとできない仕事である。

　アガサ・クリスティが生み出し、世界的に知られる名探偵ポワロことエルキュール・ポアロは、ずば抜けて頭脳明晰、一癖あるも人情深い性格で、特徴的な口ひげがトレードマークだ。

　長年にわたり、世界中に知られているキャラクターを演じる上でのこだわりについて、ケネス・ブラナーは「演じるのは2度目だとしても、演技というのは難しいものです。共感できるキャラクターを演じるためには、キャラクターと真の絆がなくてはなりません。ポアロと感情的に寄り添うことを大切にしました」と語っており、本作の撮影でもポアロの心情を深く理解し、より近くに感じることを何よりも大切にしたことを明かす。

　実は、ポアロを演じるまでの努力も並大抵のものではなかった。まずポアロが登場する小説全て（長編33作と短編 50 作）を読破することから始まり、ポアロの特徴であるスーツや口ひげの再現には3ヶ月にわたって納得いくまでの試行錯誤が行われることとなった。また、ポアロはベルギー人であることから27種類ものベルギー訛りを週3回指導を受けて習得したという。

　劇中、事件の最初の被害者となる美女リネットを演じたガル・ガドットはケネス との初共演について「私にとって脅威的な経験でした。ケネスのパフォーマンスからは多くのことを学びました。彼のカリスマ性やチャーミングさは、もう誰もが知っていることですね」と語っており、ケネスのポアロ役を演じるうえでのこだわりは共演者にも影響を与えるほど。

　ケネスのポアロに対する情熱はどこから来ているのか。ケネスは「ポアロは見ていて楽しいと思わせてくれる上に、時にはその知性と情熱に心を動かされます。そんなポアロに私は魅力を感じています」と話す。『ナイル殺人事件』の観客は、ケネスの手腕と情熱に心を動かされることだろう。