お笑いコンビ・ダイアンが26日、大阪・なんばグランド花月で、単独ライブツアー「まんざいさん」の幕を閉じた。20周年のタイミングだった昨年に開催予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期に。1年間溜めに溜めた漫才フラストレーションを大爆発させた。ゲストなし、2時間たっぷりダイアン1本勝負だった公演の内容を、場面写真とともに紹介したい。
■老若男女のダイアンファン大集結
なんばグランド花月の電光看板には、まばゆいグリーンが特徴的な「まんざいさん」のポスターが輝く。その看板の前では、たくさんのファンが全力で腕を伸ばし「ゴイゴイスーポーズ」で写真撮影。会場は開演前から、ファン全員がすでに楽しむ空気にあふれていた。
客席には、なにわ節全開の“おっちゃん”から、若い女性まで、老若男女いろとりどりのファンが大集結で、座席チケットはもちろん満員御礼。「すごく売れているのにツアーには誰も着てこない」でおなじみダイアンTシャツも、千秋楽では着用しているファンがちらほら。グッズのステッカーをうれしそうにiPhoneケースにはめる人もたくさん見かけた。
お待ちかねのダイアン登場シーンでは、会場全員が盛大な拍手で出迎え、ふたりに手を振りまくる。そのときばかりは、手を振りかえすダイアンがアイドルに見えた。フラストレーションが溜まっていたのは、どうやらダイアン本人たちだけではなかったようだ。あったかい大阪の客席に、おもわずダイアンも笑顔になる。
ネタは、タイトル通り漫才のみで新ネタ5本を披露。ここでのネタバレはあえて避けるが、ふたりのかけあいのどこをとっても笑える、口角上がりっぱなしの至極の5本だった。
■ダイアンの21年間を一気見。津田初めての逆上がりVTRも
胸焼けするほどの漫才を披露したあとは、ダイアンの21年間を振り返る企画コーナーへ。スクリーンに映し出される、まゆげを細くしスラッと痩せていた過去のユースケと、今舞台上にいるユースケを見比べるだけでも、歴史が感じられて感慨深い。昔の自分たちを見てケラケラ笑い合うダイアンに癒されつつも、21年間お笑い界をふたりで戦ってきたんだという背景も感じさせる内容となっていた。
ユースケが今までで一番大好きだという、結成当初に撮影された「まだ、ただの友達時代」の写真も公開。歯が多すぎる津田と、ワックス知らずのふわっとした髪型が特徴的なユースケ(※どちらも本人談)の笑顔がきらめく一枚は、後世に残したいものだった。
過去の単独で使用した、貴重なVTRも2本公開。1本は津田が初めて逆上がりを成功させたときのおめでたい動画。もう1本は、単独で流した時にひと笑いも起きなかったというミステリー風動画。本公演ではしっかり笑いが起きていた。幕間Vも本編に引けを取らない。ダイアンの20周年を記念して、豪華芸能人たちにダイアン自らがお祝いコメントをもらいに行くVTRは、ファンおなじみ『ダイアンYOU&TUBE』色全開となっていた。
そして、本編のネタ「ハローワーク」に登場する架空の職業を、ユースケが完全再現するVTRも。通常は想像だけで楽しむ漫才を、ネタ直後に具現化してくれるというぜいたくさ。津田の上手過ぎる童貞役も必見だ。今では、バラエティー・ラジオ・YouTubeと活躍の場をどんどん広げ、さまざまなかたちで笑いをお茶の間に届けているダイアンだが、「彼らは生粋の漫才師である」ということを再認識した。
同時に、おじさんふたりがなぜこんなにも周りからかわいがられ・愛され続けているのか、その理由がわかった気がするライブでもあった。「へへへ」と笑い合うふたりは、いつまででも観ていたい。漫才師としてのかっこいい姿も、ふたりでキャッキャするかわいい姿も、すべてを堪能できるダイアン純度100%のライブだったが、終わってしまうとすぐにダイアン不足になってしまった。筆者のような“ダイアン中毒者”は少なくないはずだ。
千秋楽の大阪公演はアーカイブ配信でも堪能することができる。販売期間は12月3日の正午まで、視聴期間は同日午後18時15分まで。生粋の漫才師、いや、「まんざいさん」であるダイアンを、たった2000円(GOTOイベント対象)で気の済むまで観ることができる。ぜひこの機会に、ダイアン沼にハマってほしい。
■単独ツアー振り返りインタビュー
──東京・宮城・福岡・大阪。ツアー全4箇所、それぞれ雰囲気は違いましたか?
ユースケ:僕らの感じが違ったのもあるし、お客さんの反応も違いましたね。
津田:違ったな。でも今日(大阪公演)が一番よかったんちゃう? お客さんと、自分らの雰囲気が一番合致してたというか。今日はユースケのアドリブがすごくて。僕を困らす困らすぅ〜。
ユースケ:へへ(笑)。せやな、めっちゃ困ってたな。ツアーだからこそ、それぞれ違う感じを見せたいなって思って。でも、えらいもんで大阪が一番緊張しましたね。
津田:逆にどこが一番緊張せんかった? 俺、福岡。
ユースケ:オレも。えっと……こんなん言わんほうがええんかな?
津田:言えや言えや。
ユースケ:福岡が、自分的にあんまり出来がよくなかったんです。仙台はほぼほぼ初めて行くからある程度の緊張があったんですけど、福岡はよう行くし、ようウケるイメージがあったんですよ。だから、たるんでたのかあんまり……(笑)。東京は一発目やったからまた違ったし。
津田:もし、東京で観た人が大阪のも観たらビックリしたんちゃう? こんなに違う〜?って。
ユースケ:同じこと一個も言ってへんしな。
津田:言ってたよそれは(笑)。バレるで? てか、福岡の人怒るで?
ユースケ:福岡はあったかくて、緊張してなさ過ぎました。
──それぞれ、このツアーで一番頑張ったことを教えてください。
津田:ネタを間違えないこと。飛ばさないこと。「今日のユースケはどう出てくるんやろ?」「変に違うことやってきたらネタ飛ぶからやめてほしいな」って思ってました。俺のセリフの前で変えんといてなって。まあでもとにかく、全力出すことを意識しました。のどがちぎれてもいいと思って声を出す。それだけです。
ユースケ:3本目のネタは全部僕が運んで行く作りだったんで、袖でも一人で頭の中でやってました。僕が飛んだり詰まったりしたら終わりやし。
津田:そうなったら俺がどうにかしようってずっと考えてたよ、「なんでやねーーーん!!!」って言って。
ユースケ:ウソつくなやお前。すごい俺のセリフ待ってたやん。相方のほう見たらネタ飛ぶなって思ったから、前だけ見てやってました。
──では、配信で一番観てほしいネタは、3本目のネタでしょうか?
ユースケ:いや、全部ですね。
津田:俺も全部観てもらいたいけど、最後の2本は特に好きですね。僕ららしいネタやったと思います。
──どのネタも、ユースケさんのアドリブがけっこうあったんですね?
津田:すごかった。
ユースケ:全部ちゃう? フルで。
津田:元ネタどないやねん……どう作ってんねん。でも、そのアドリブのおかげでツアー中にネタがちょっと進化していったりもしてね。
──全国区の番組へのご出演もかなり増えているダイアンさんですが、今、一番頑張りたいことってなんでしょう?
ユースケ:単独ライブは、たぶん一番頑張らなあかんところだとは思うので、それをやりつつ、他のテレビも頑張っていきたいです。
津田:オールマイティーにね。でも、主となるのは漫才かなって思いますよね。
ユースケ:単独ライブの出る前の緊張感は、年に一回は味わったほうがピリッとするので。
津田:テレビでの漫才よりも、単独のほうが断然緊張します。
──ツアーが終わった今、漫才への向き合い度数は何%でしょう?
津田:俺は100%や。へへへへへ(笑)。
ユースケ:僕も100%です。初めてツアーをやったんですけど、正直、一発目やってしまったらちょっとラクなんかなって思ってたんです。
津田:ちゃうかったなぁ。
ユースケ:全然そんなことなかった。一発目が4回ある感じ。2年ぶりにちゃんと向き合えたので、単独ライブをやってよかったなと思いました。
(取材・文:佐々木笑)
■老若男女のダイアンファン大集結
なんばグランド花月の電光看板には、まばゆいグリーンが特徴的な「まんざいさん」のポスターが輝く。その看板の前では、たくさんのファンが全力で腕を伸ばし「ゴイゴイスーポーズ」で写真撮影。会場は開演前から、ファン全員がすでに楽しむ空気にあふれていた。
客席には、なにわ節全開の“おっちゃん”から、若い女性まで、老若男女いろとりどりのファンが大集結で、座席チケットはもちろん満員御礼。「すごく売れているのにツアーには誰も着てこない」でおなじみダイアンTシャツも、千秋楽では着用しているファンがちらほら。グッズのステッカーをうれしそうにiPhoneケースにはめる人もたくさん見かけた。
お待ちかねのダイアン登場シーンでは、会場全員が盛大な拍手で出迎え、ふたりに手を振りまくる。そのときばかりは、手を振りかえすダイアンがアイドルに見えた。フラストレーションが溜まっていたのは、どうやらダイアン本人たちだけではなかったようだ。あったかい大阪の客席に、おもわずダイアンも笑顔になる。
ネタは、タイトル通り漫才のみで新ネタ5本を披露。ここでのネタバレはあえて避けるが、ふたりのかけあいのどこをとっても笑える、口角上がりっぱなしの至極の5本だった。
■ダイアンの21年間を一気見。津田初めての逆上がりVTRも
胸焼けするほどの漫才を披露したあとは、ダイアンの21年間を振り返る企画コーナーへ。スクリーンに映し出される、まゆげを細くしスラッと痩せていた過去のユースケと、今舞台上にいるユースケを見比べるだけでも、歴史が感じられて感慨深い。昔の自分たちを見てケラケラ笑い合うダイアンに癒されつつも、21年間お笑い界をふたりで戦ってきたんだという背景も感じさせる内容となっていた。
ユースケが今までで一番大好きだという、結成当初に撮影された「まだ、ただの友達時代」の写真も公開。歯が多すぎる津田と、ワックス知らずのふわっとした髪型が特徴的なユースケ(※どちらも本人談)の笑顔がきらめく一枚は、後世に残したいものだった。
過去の単独で使用した、貴重なVTRも2本公開。1本は津田が初めて逆上がりを成功させたときのおめでたい動画。もう1本は、単独で流した時にひと笑いも起きなかったというミステリー風動画。本公演ではしっかり笑いが起きていた。幕間Vも本編に引けを取らない。ダイアンの20周年を記念して、豪華芸能人たちにダイアン自らがお祝いコメントをもらいに行くVTRは、ファンおなじみ『ダイアンYOU&TUBE』色全開となっていた。
そして、本編のネタ「ハローワーク」に登場する架空の職業を、ユースケが完全再現するVTRも。通常は想像だけで楽しむ漫才を、ネタ直後に具現化してくれるというぜいたくさ。津田の上手過ぎる童貞役も必見だ。今では、バラエティー・ラジオ・YouTubeと活躍の場をどんどん広げ、さまざまなかたちで笑いをお茶の間に届けているダイアンだが、「彼らは生粋の漫才師である」ということを再認識した。
同時に、おじさんふたりがなぜこんなにも周りからかわいがられ・愛され続けているのか、その理由がわかった気がするライブでもあった。「へへへ」と笑い合うふたりは、いつまででも観ていたい。漫才師としてのかっこいい姿も、ふたりでキャッキャするかわいい姿も、すべてを堪能できるダイアン純度100%のライブだったが、終わってしまうとすぐにダイアン不足になってしまった。筆者のような“ダイアン中毒者”は少なくないはずだ。
千秋楽の大阪公演はアーカイブ配信でも堪能することができる。販売期間は12月3日の正午まで、視聴期間は同日午後18時15分まで。生粋の漫才師、いや、「まんざいさん」であるダイアンを、たった2000円(GOTOイベント対象)で気の済むまで観ることができる。ぜひこの機会に、ダイアン沼にハマってほしい。
■単独ツアー振り返りインタビュー
──東京・宮城・福岡・大阪。ツアー全4箇所、それぞれ雰囲気は違いましたか?
ユースケ:僕らの感じが違ったのもあるし、お客さんの反応も違いましたね。
津田:違ったな。でも今日(大阪公演)が一番よかったんちゃう? お客さんと、自分らの雰囲気が一番合致してたというか。今日はユースケのアドリブがすごくて。僕を困らす困らすぅ〜。
ユースケ:へへ(笑)。せやな、めっちゃ困ってたな。ツアーだからこそ、それぞれ違う感じを見せたいなって思って。でも、えらいもんで大阪が一番緊張しましたね。
津田:逆にどこが一番緊張せんかった? 俺、福岡。
ユースケ:オレも。えっと……こんなん言わんほうがええんかな?
津田:言えや言えや。
ユースケ:福岡が、自分的にあんまり出来がよくなかったんです。仙台はほぼほぼ初めて行くからある程度の緊張があったんですけど、福岡はよう行くし、ようウケるイメージがあったんですよ。だから、たるんでたのかあんまり……(笑)。東京は一発目やったからまた違ったし。
津田:もし、東京で観た人が大阪のも観たらビックリしたんちゃう? こんなに違う〜?って。
ユースケ:同じこと一個も言ってへんしな。
津田:言ってたよそれは(笑)。バレるで? てか、福岡の人怒るで?
ユースケ:福岡はあったかくて、緊張してなさ過ぎました。
──それぞれ、このツアーで一番頑張ったことを教えてください。
津田:ネタを間違えないこと。飛ばさないこと。「今日のユースケはどう出てくるんやろ?」「変に違うことやってきたらネタ飛ぶからやめてほしいな」って思ってました。俺のセリフの前で変えんといてなって。まあでもとにかく、全力出すことを意識しました。のどがちぎれてもいいと思って声を出す。それだけです。
ユースケ:3本目のネタは全部僕が運んで行く作りだったんで、袖でも一人で頭の中でやってました。僕が飛んだり詰まったりしたら終わりやし。
津田:そうなったら俺がどうにかしようってずっと考えてたよ、「なんでやねーーーん!!!」って言って。
ユースケ:ウソつくなやお前。すごい俺のセリフ待ってたやん。相方のほう見たらネタ飛ぶなって思ったから、前だけ見てやってました。
──では、配信で一番観てほしいネタは、3本目のネタでしょうか?
ユースケ:いや、全部ですね。
津田:俺も全部観てもらいたいけど、最後の2本は特に好きですね。僕ららしいネタやったと思います。
──どのネタも、ユースケさんのアドリブがけっこうあったんですね?
津田:すごかった。
ユースケ:全部ちゃう? フルで。
津田:元ネタどないやねん……どう作ってんねん。でも、そのアドリブのおかげでツアー中にネタがちょっと進化していったりもしてね。
──全国区の番組へのご出演もかなり増えているダイアンさんですが、今、一番頑張りたいことってなんでしょう?
ユースケ:単独ライブは、たぶん一番頑張らなあかんところだとは思うので、それをやりつつ、他のテレビも頑張っていきたいです。
津田:オールマイティーにね。でも、主となるのは漫才かなって思いますよね。
ユースケ:単独ライブの出る前の緊張感は、年に一回は味わったほうがピリッとするので。
津田:テレビでの漫才よりも、単独のほうが断然緊張します。
──ツアーが終わった今、漫才への向き合い度数は何%でしょう?
津田:俺は100%や。へへへへへ(笑)。
ユースケ:僕も100%です。初めてツアーをやったんですけど、正直、一発目やってしまったらちょっとラクなんかなって思ってたんです。
津田:ちゃうかったなぁ。
ユースケ:全然そんなことなかった。一発目が4回ある感じ。2年ぶりにちゃんと向き合えたので、単独ライブをやってよかったなと思いました。
(取材・文:佐々木笑)
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2021/11/29