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内博貴、ジャニーさんからの一喝で意識変化「舞台に立てる人間が、最後まで生き残る」

 俳優の内博貴(35)が主演する音楽劇『海の上のピアニスト』が16日から東京芸術劇場・シアターイーストにて開幕する。8月に出演した舞台『フォーティンブラス』の千秋楽から約2週間後には、次作が待っている多忙ぶり。これまで堂本光一主演のミュージカル『Endless SHOCK』のライバル役をはじめとする数々の舞台作品に立ち続けてきた彼だが、以前は「やらないといけないからやっていた」とする舞台について、恩師であるジャニー喜多川さんの「舞台に立てる人間が、最後まで生き残る」という言葉が自身に大きな意識に変化をもたらしたという。

音楽劇『海の上のピアニスト』に主演する内博貴

音楽劇『海の上のピアニスト』に主演する内博貴

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■本番中にセリフが飛びそうに…まさかの事態に冷や汗 

 今作は、イタリアの音楽評論家でもあるアレッサンドロ・バリッコが一人芝居のために書いた戯曲が原典。1998年に公開された映画でも知られる。豪華客船のなかで生まれ、生涯船を降りることのなかった天才ピアニスト・ノヴェチェント(内)の人生を描く音楽劇。彼の友人となるトランペッターを藤本隆宏が演じる。

 取材日は別作品の公演まっただなか。「さすがに時間がないので『フォーティンブラス』中も、『海の上のピアニスト』の台本を読むんですけど、全然、頭に入ってこないんです(笑)。本番中に『フォーティンブラス』のセリフが飛びそうになったので、ダメだ、やめようとなりました。同時進行できる作品もあるんですけど、この作品に関してはダメでしたね。『フォーティンブラス』が終わってから集中しようと思っています」と苦笑まじりに話す。

 初めてのピアニスト役、藤本との二人芝居、そして劇中では多彩なオリジナル楽曲も披露予定。「ここ最近はミュージカルもやっていなかったし、音楽劇でいえば『ザ・オダサク』(2014年)以来になるのかな。結構久しぶりなので、歌稽古も何回かはやりましたが難しい曲もありますね。曲調でいえばアップテンポもバラードチックなのもあります。初めて聞いたとき、こんなにあるの!?って、演出家の星田(良子)さんから『1曲増やしました』と言われて『増やさなくていいよ!』って言いました(笑)」。

 また、もう一つのハードルとして独特な世界観で展開されるセリフを挙げ「2人芝居なのに、あまり掛け合いのせりふがない。藤本さんはストーリーテラー的存在、僕はどちらかと言えば自分の心情を乗せたポエムが多い。僕はセリフを覚えるとき、相手のセリフをまず覚えるんです。相手のセリフを覚えていれば、こういうことを返すよねって、自分のセリフは最後に覚えるんですけど、この作品ではそれができない。だからそこがチャレンジですよね、今までのやり方は通用しないので。なんせ会話が少ないから、ひたすら自分のポエムを覚えないといけない。これを覚えるのは大変ですね…」とこれまでにない挑戦を前に苦戦しているよう。

 忙しい日々を乗り越えるため、体力作りも万全。「どんなに忙しくてもジムにいきます。あとは早寝早起き。なにも無い時も9時か9時半に寝ます。遅くても、11時過ぎにはお布団に入ってるかな。あと、1回目に起きるのは朝4時くらい。ウォーターサーバーで水を飲んでもう一回寝るか決めて、そのまま起きてるときもあります。健康のためジムに行って体を動かしてます。忙しくても体を起こすと、体調がいいんですよね。ジムに通いだしてから3ヶ月ですが、自分で言うのもなんですけどイイ身体になってきました(笑)。楽屋ではとっつー(戸塚祥太)から『仕上がってるね〜』と言われます(笑)」と、「仕上がってはないよ」と付け加えつつも、うれしげには話していた。

■好きじゃなかった“舞台” ジャニーさんが入れてくれたスイッチ「ちゃんとやってみようと思うようになった」

 今年で舞台出演は3作品目。大きな挑戦やハードスケジュールをこなしながらも、そこには確かな充実感が伺える。ずっと“舞台”というものに真摯に向き合ってきた内が感じる、魅力を聞いてみると「元々、僕、舞台って好きじゃなかったんです」と率直な回答が返ってきた。

 「でも、ジャニーさんに『舞台が1番大切なんだよ』と教えられて。『舞台に立てる人間が、最後まで生き残るんだよ』と言われたのを、すごく覚えています。20歳くらいの時かな…そう言われて、そこから舞台に対する気持ちが変わりました。それまでも手を抜いていたわけではないですが、やらないといけないからやってた、みたいな部分がありました。ジャニーさんにそう言われてから、舞台や歌に関する気持ちが変わった。舞台ってジャニーさんが言うくらい大切なんだと思うようになった。

 僕、質問したんですよ。『テレビよりも大事なん?』と。『テレビなんてどうでもいいよ!』ってあの人、言ったんです(笑)『舞台が1番だよ!それに立ち続けることが1番難しく大変なんだよ。だからユーは今、こうして立っているけど、当たり前だと思っちゃダメ。イヤイヤやってるでしょ!』って、全部見抜かれていて、この人はやばい、すげぇ爺ちゃんだなって思ったの覚えています。2人でお寿司屋さんに行って話したんです。自分のなかで、舞台へのスイッチが変わって、ちゃんとやってみようと思うようになった。ジャニーさんのおかげです。多分ジャニーさんがいなかったら辞めてましたね」。そう語る表情はとても優しく柔らか。恩師の言葉を今も胸に刻んでいる。

 そうして向き合い続けてきた舞台だが、このコロナ禍において幕を開けることに対しては複雑な感情も覗かせる。「正直に言うと…思うことはあります。やって良いのだろうか。今も本番をやっていて、やっぱり怖さを感じてしまうこともあります。すごくセンシティブですよね。なんと言ったらいいのか、難しいところではあります。我々も大々的に『みなさん、来てください!』とは言えない。今も本番中ですがすごく迷う、モヤモヤする部分もあります。もちろん観てはもらいたいですが…。

 コロナが流行りだした頃、一つ舞台が中止でなくなってしまって。そのときは、感染者が東京で100人、200人だった。その経験をして、今の状況を見るとなんであの時できなかったのか、今できているのか、と思ってしまう。もちろん感染対策には気をつけていますし、万全な状態でお客さんをお迎えする立場ではありますが心配してしまうことはある。家から劇場までの間の時間のことはわからないですから。ひとりひとりに確認できないだけに複雑な気持ちになったりします」と観客を想うがゆえの葛藤を、ひとつひとつ言葉を選びながらも打ち明けてくれた。それでも「全力でやります」と自分に与えられた使命を全うしている。

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  • 音楽劇『海の上のピアニスト』に主演する内博貴
  • 音楽劇『海の上のピアニスト』に出演する-藤本隆宏

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