俳優の北村有起哉（47）が連続ドラマで初主演を務めることが発表された。ABCテレビ制作の深夜ドラマ『ムショぼけ』（10月3日スタート、毎週日曜　後11：55※テレビ神奈川でも放送）で、14年ぶりに出所した元ヤクザ役を全編関西弁で挑む。獄中生活を12年間送り、小説家へ転身した沖田臥竜氏の自伝的体験をベースにした同名小説（小学館文庫）を、『ヤクザと家族The Family』（2021年）の藤井道人氏の企画・プロデュースで実写ドラマ化。脱ムショ暮らしを描く、笑いと涙の任侠コメディだ。

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　「ムショぼけ」とは、長年の刑務所暮らしによって、社会と閉鎖された生活を送った者が出所後、世の中の環境の変化やスピードの速さについていけない現象のこと。

　晴れて出所した陣内宗介（北村）は、カタギの世界で生きていく事を決意するのだが…。コンビニのレジ袋は有料。居酒屋は全面禁煙。スマホって何や！　14年の歳月で、すっかり様変わりしてしまった世の中に困惑する陣内。そればかりか、壁に向かって直立したり、独り言が多くなったり、長年の刑務所暮らしで染みついたクセがついつい出てしまう。そんな陣内の前に現れた見覚えのある一人の男、「お前は重度のムショぼけや…」。それは新たな悪夢の始まりだった。

　映画『ヤクザと家族The Family』（藤井道人監督）では、怖いヤクザの兄貴分、『すばらしき世界』（20年、西川美和監督）では、現実主義の真面目なケースワーカー、はたまたAmazonプライムのCMでは妻想いの良き夫を好演。確かな演技力で、作品ごとに多彩な役を演じ分けてきた北村が、義理と人情に厚く、家族想いだけど不器用…ささやかな日常を取り戻すべく、懸命に生きる40代の元ヤクザを等身大の演技で愛きょうたっぷりに演じる。

　作品の舞台は、人情味あふれる関西きっての下町・尼崎。撮影は今年6月にオール関西ロケを行い、関西人にはなじみの深いスポットがたくさん登場する。元暴力団幹部の肩書きを持つ小説家・沖田氏の原作ならではの刑務所での過ごし方から、出所後の可笑（おか）しいトラブルまで、リアルな描写が見どころ。

　北村は「この歳になって、初めて連続ドラマの主役をやらせていただく事になり、恐縮さと気合いが入り乱れております。元ヤクザが14年という長い刑期を終えて、まっとうな社会に居場所を見つけ出そうと奮闘する日々。浦島太郎のように、時代の流れに面食らいながらも、この主人公は喜怒哀楽をストレートにさらけ出し、家族に支えられながら、なんとかしがみついていきます。クセのあるヒトしか出てこない尼崎ワールド！　とくとご堪能くださいませ」と、コメントを寄せている。

　原作・監修を務める沖田氏は「私の地元・尼崎は特段、変わった街ではなく、ごく平凡な場所です。その平凡な街並みにフューチャーし、そこで起きる人間模様を通して、尼崎という地域を伝えることができたと思っています。怒りも、悲しみも、喜びも、驚きも全て、観た人が「分かる分かる」と言いながら最後にはクスッと笑ってもらえるのではないでしょうか。これまでにはないドラマになった自負があります。ありきたりな人々の究極な優しさを懐かしさと共に堪能していただければ幸いです」と、期待を寄せている。

　映画『新聞記者』で日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞後、『ヤクザと家族The Family』など数々の話題作で脚光を浴びる映画監督の藤井は、今回は企画プロデュースの立場で、「映画『ヤクザと家族 The family』でご一緒した時から『いつか沖田先生の小説をドラマ化したい！』という願いが今回かなって感無量です。『ムショぼけ』は《人がやり直す》という事について描いたドラマだと思っています。不寛容なこの社会の中で、もがきながらも奮闘していく北村有起哉さんをどうぞお楽しみに」とコメント。

　監督を務めたアベラヒデノブからも「初めて沖田先生の原作を読んだ時、笑いが止まらなかった！　主人公が、おっちょこちょいの頑張り屋さんで、愛しくてたまらないのだ！だが、彼は元ヤクザ！　14年もムショにいた畏怖と愛きょうが嵐の如く入り乱れる難解な男を北村有起哉さんは、裸の汗まみれで壮絶に演じきった！　ムショぼけは、彼の代表作になった！…はず（土下座）である！」と、コメントが寄せられている。

■放送情報
ABCテレビ（関西）：10月3日スタート、毎週日曜　後11：55
テレビ神奈川（関東）：10月5日スタート、毎週火曜　後11：00
※ABCテレビでの放送終了後、TVer・GYAO!にて見逃し配信あり