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長編アニメ『音楽』、アヌシー映画祭で最優秀オリジナル音楽賞

 大橋裕之氏の自費出版漫画「音楽」を岩井澤健治監督が長編アニメーション化した映画『音楽』が、世界四大アニメーション映画祭の一つ、フランスのアヌシー国際アニメーション映画祭(長編コントルシャン部門に出品)で、全ての長編作品を対象とする「最優秀オリジナル音楽賞」を受賞。日本の作品では唯一の受賞となった。

フランスのアヌシー国際アニメーション映画祭 長編コントルシャン部門に出品されていた『音楽』が全ての長編作品を対象とする「最優秀オリジナル音楽賞」を受賞(C)大橋裕之 ロックンロール・マウンテン

フランスのアヌシー国際アニメーション映画祭 長編コントルシャン部門に出品されていた『音楽』が全ての長編作品を対象とする「最優秀オリジナル音楽賞」を受賞(C)大橋裕之 ロックンロール・マウンテン

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 同映画は、楽器を触ったこともない不良学生たちが思いつきでバンドをスタートさせる初期衝動あふれるロック奇譚。ミュージシャンをはじめ多くのクリエイターから熱狂的に支持されてきた原作を、岩井澤監督はほぼ独力による個人制作でアニメーション化した。製作期間は7年以上、全て手描きの作画枚数は実に4万枚を超え、実写で撮影した素材をアニメーション化する「ロトスコープ」など、さまざまな手法を取り入れて完成にこぎつけた。

 声優には、ミュージシャンの坂本慎太郎のほか、駒井蓮前野朋哉芹澤興人平岩紙竹中直人らが参加。主題歌はドレスコーズによる書き下ろし「ピーター・アイヴァース」。

 昨年、カナダのオタワ国際アニメーション映画祭にてグランプリを受賞し、今年1月より東京・新宿武蔵野館、名古屋・シネマスコーレで公開され、新宿武蔵野館ではリニューアルオープン後の初日動員数、興収の新記録を更新。その後、全国拡大公開へと続き、現在も全国で順次公開中。北米での公開も決定している。

 今回の受賞結果を受け、岩井澤監督、音楽を手がけたミュージシャンからのコメントが到着した。

■監督:岩井澤健治
 音楽賞は僕のざっくりしたイメージを形にしてくださった伴瀬さん、澤部さん、グランンドファンクの剣持さんを始め、映画に楽曲を提供していただいた皆さんのお力によるものだと思います。そして”音楽”が国境を越えてさらに世界に届くことを願っています!

■音楽:伴瀬朝彦
 今までの音楽活動の中で、いかなる賞もいただいたことがないので、正直どのような反応をしてよいか分かりません。ただ少なくともフランスの音楽出版社協会の方たちの評価を得たこと、うれしく思います。

 作品中の音楽は様々な音楽家たちによる楽曲で構成されています。私はその内の劇中歌など数曲担当しています。制作に携わっている間念頭に置いていたのは、”終わりの見えない作品と対峙する岩井澤監督の執念へのリスペクト”。完成したこと自体がまず表彰ものなのだということを思うと、感慨深いです。このことがまたひとつのきっかけとなって、さらに多くの方たちに見てもらえますように。

■音楽:剣持学人
 今回映画『音楽』にて劇伴を担当させていただきましたグランドファンクの剣持と申します。この度は名誉ある賞を戴けたこと、誠に感謝申し上げます。このような音楽賞を頂けることは私の夢でもありましたので、大変喜ばしい限りではございますが、この作品は岩井澤監督の7年間の情熱が隙間なく詰め込まれており、監督の挑戦と多大なる熱量がなければなし得なかった賞だと思っております。この機会を与えてくださった関係者の皆さまや、ご協力いただいたミュージシャンの皆さま、ご覧いただいたすべての方に改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。

■音楽:澤部渡(スカート
 賞を戴くなんて高校生の頃、合唱コンクールで指揮者賞をとったとき以来です。
あの頃は大した感慨もなかったように思えますが、今回ばかりはそうではないようです。とてもうれしいです。

 私が『音楽』に書いた曲は最後のフェスシーンの1曲だけなのですが、自分がはじめてベースを持ったらどうするだろう、きっと開放弦じゃなくどこか押さえるな、とか、フロアタムとスネアしか叩いたことがないドラマーの目の前にフルのドラムキット(特にシンバル類)があったらどうするだろう、とか、そのシンバルの音を聴いたベーシストはどう演奏するだろう、どんな奇跡が起こるだろう、といったことを想像しながら作曲をしました。

 そしてそれをGellersの大久保日向さん、川副賢一さん、田代幸久さん、トクマルシューゴさんとで揉み合い、最終的に安藤暁彦くんがリコーダーを加えてあのような形になりました。演奏してくれたみなさんに感謝しています。ありがとうございます。声をかけてくださった岩井澤監督、そして制作の皆さまにも! ありがとうございます。

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