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共演者が明かす、藤原啓治さんの人柄 “シャイで優しい男”が見せた声優の個性

 『クレヨンしんちゃん』の野原ひろし役などを務めた声優の藤原啓治さんが12日、55歳で亡くなった。早すぎる死に声優界から悲しみの声が相次いでおり、あわせて、その人柄や思い出を伝えている。

藤原啓治さん

藤原啓治さん

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 藤原さんは1964年10月5日生まれ、東京都出身。アニメから海外映画・ドラマの吹き替えまで幅広くこなし、青年役から老人役まで様々な役を務めてきた。代表作は『クレヨンしんちゃん』の野原ひろし役、『鋼の錬金術師』のマース・ヒューズ役、『HUNTER×HUNTER(第2作)』レオリオ役、『アベンジャーズ』シリーズのアイアンマン=トニー・スターク(ロバート・ダウニーJr.)の吹き替えなど、主役はもちろん作品に欠かせないキャラクターを数多く演じてきた名バイプレーヤーだった。

 2016年8月より藤原さんに代わって『クレヨンしんちゃん』でひろし役を務めている森川智之は自身のブログで「藤原啓治さん…。ご冥福をお祈りします」と切り出し「突然すぎます。頭の整理がつきません。ご自身のペースでお仕事していたのに…。今、喪失感にかられています」と心境を吐露。

 続けて「新人の頃から一緒に時代を歩いてきた30年余り。役者であり社長であり、本当に仲間だった…。若い頃からシャイでカッコよく、男気に溢れる、男も惚れる存在 それが“藤原啓治”」とその人柄に触れ、最後は「闘病生活は本当に大変だったと思います。いまはゆっくり休んでください。そして、託された手紙はいつも大切に持っています」と偲んだ。

 2018年7月より野原しんのすけ役を担当している小林由美子も、ツイッターで「藤原啓治さん… …ショックです… なんで声優界の宝をこんなに早く… 初めて外画の吹き替えでご一緒した時、その芝居に最高に痺れ、その後の飲みの席に同行させて頂き、色々ウザく話を聞く私に嫌な顔一つせず答えてくれた事が思い出されました… …心よりご冥福をお祈りします」と思い出を振り返った。

 多くの作品に出演した藤原さんは当然、多くの共演者がいる。藤原さんがナレーションを務めた『ケロロ軍曹』でギロロ伍長役だった中田譲治は、「人見知りで表面的な関係は面倒くさがっていた印象だが、話しかけるとはにかんだ笑顔で答えてくれたっけ。現場復帰して単独の仕事はしていると聞いていたので、よかったと勝手に思っていたが… 色々辛かったろうな。でも、それを口にする奴じゃなかったから… 最期までらしく生きたのだな。合掌」と悼んだ。

 矢野正明は「ご一緒した時、冗談なのか本当なのかわからないお話をしててそれが本当に面白くて、現場の皆を笑顔にしてて、そこには優しさを常に感じてて…。モブで参加し、挨拶したら、自分の事を覚えてくれてて…。また、お会いしたかったです」、竹達彩奈も「一緒に動画番組の撮影をしたとき、僕はシャイだからあまり喋れないからねって仰っていたのに、本番始まって私が緊張していると優しく助け舟を出していっぱいお話してくださったり、イベントなどでも沢山助けて頂きました。もっとご一緒したかったです」と藤原さんの優しい一面を伝えた。

 また、森田成一は「軽妙な役も重厚な役も幅広くこなし、それら全てが他に類を見ない素晴らしさでした。個性とはこういうものだと、いつもスタジオで、放送で、拝見する度に感じ、自分の不甲斐なさを痛感しておりました」と仕事への姿勢をつづっている。

 筆者も2018年に映画のインタビューをした際、藤原さんの優しさを感じている。藤原さんが他の収録の影響で10分ほど遅れて開始となったが、「遅れました、すみません!」と息を切らして部屋に入って来たのが印象的だった。

 こちらはインタビューを引き受けてくれるだけでありがたく「まったく気にしておりません! 息を切らされて、すぐにインタビューで大丈夫ですか? 時間待ちますので、少し休憩を取っても…」と尋ねると、藤原さんは「あ、まったく息切れしていませんよ? 『しれ〜』と部屋に入って来たら嫌だと思ったので、これは演技です。お待たせしました、さっそく始めましょう」と切り返され、一瞬にして虜になってしまった。

 “人間臭さ”あふれるキャラクターが好きで、自身の代表作である『クレヨンしんちゃん』の野原ひろしが「憧れ」の存在と話してくれた藤原さん。終始軽快なトークで冗談も交えながらだったが、終了後は「少し言いすぎちゃったかな?」と照れ臭そうにしつつも「NGな部分はありませんので、自由に書いていただいて大丈夫です。…ただ、語尾だけはかっこよくね」と、仕事に対して人一倍の責任感を持ちつつ、茶目っ気あるユーモアも忘れない“人間味あふれる”男だった。

 誰もが憧れた仕事人・藤原啓治さん。携わった多くの作品とプロフェッショナルな姿勢は、今後も多くの声優たちに影響を与え続けていくだろう。

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