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『テセウスの船』、今クールドラマ最高の満足度を記録 令和でも見せつける「大映ドラマ」タッグの本領

 衝撃の展開を迎えている竹内涼真主演のTBS系日曜劇場『テセウスの船』(毎週日曜 後9:00)。視聴者の満足度を調査する「オリコンドラマバリュー」では、今クール最高となる96Pt(100Pt満点)を、第5話(2月16日)と第6話(同23日)の放送で記録。快進撃を続けている。

◆犯人登場後も続く考察…脚本力に引き込まれる視聴者

 本ドラマは、東元俊哉氏の同名漫画を原作としているものの、事件の起こった年月日、細かいエピソード、登場人物のキャラづけなど、多くの点でドラマ化にあたり設定を変えている。先日行われた犯人考察イベントでは、原作者の東元氏本人からの「ドラマは原作と犯人が違うと聞いています」というメッセージが届けられ、参加者をざわめかせた。それ以降、ドラマが放送されるごとにTwitter上でも「#テセウス犯人は誰だ?」「#犯人考察」と犯人当て推理で盛り上がっており、犯人が登場した第6話放送後でも、“真犯人”への考察が続いている。

 このドラマ特有の設定、エピソードを描くのは脚本家の高橋麻紀氏。高橋氏は2009年のドラマ『マイガール』(テレ朝系)で、親子の愛を描いて毎週視聴者を泣かせた。そして同作品でも、原作とドラマで異なる設定が話題となった。さらに、2012年の『理由』(宮部みゆき原作、TBS系)、2018年『いつかこの雨がやむ日まで』(フジテレビ系)、など、サスペンスタッチの作品を数多く手がけてきた実績を持つ。

◆強いクセのある物語を絶妙な演出で見せる「大映ドラマ」の遺伝子

 このドラマを語るうえでもう一つ忘れてはならない要素が制作陣。制作を担当するのはTBSと大映テレビ。この“コンビ”を聞いて思い出されるのは、ずばりかつての「大映ドラマ」だ。若い世代の読者にはピンとこないだろうが、かつてTBSと大映テレビのタッグで多くの大ヒットドラマが世に送り出されてきた歴史がある。

 代表作は、1974年の『赤い迷路』から始まり、『赤い疑惑』(1975年)、『赤い運命』(1976年)など宇津井健山口百恵出演の作品。その後も、主演を変更しながら1980年まで10作も続いた「赤いシリーズ」は、平均視聴率20%台、最高視聴率30%超えの大ヒット・ドラマを連発。また、『スチュワーデス物語』(1983年、主演:堀ちえみ)、『不良少女とよばれて』(1984年、主演:いとうまい子=旧伊藤麻衣子=)など社会現象にまでなった人気ドラマも世に送り出した。

 いずれのドラマにも共通するのは「理不尽なまでの困難、逆境」「運命に翻弄される主人公」「衝撃的で激しい起伏のある展開」という点。また、原作がある作品であっても、ドラマ化にあたっては原作からかけ離れた設定、エピソードを盛り込むことも特徴だった。こうしたある種の“強い癖”を持った作品を総称して「大映ドラマ」と呼び、後のドラマにも大きな影響を与えた。

『テセウスの船』は当然ながら70年代そのままの大映ドラマではないが、TBS、大映テレビのタッグが産んだ「大映ドラマ」の遺伝子が令和の今にも引き継がれている作品。制作のトップ・渡辺良介プロデューサーは放送前のコメントで、「家族を思う優しさ、逆境に立ち向かう強い姿を通して、思わず胸が熱くなる“泣けるミステリー”にしたい」と語っている。

◆「逆境」「家族愛」こそ大映ドラマの真骨頂

「なぜ、こんな不運なことが」と視聴者が思わず感情移入してしまう強引ともいえる展開、「困難」「逆境」「運命に翻弄」「原作と異なった設定」など、大映ドラマが得意とする要素がふんだんに盛り込まれ、継承されてきた“大映ドラマ魂”が遺憾なく発揮されている『テセウスの船』。

 死刑判決が出され、無実を訴えつつも控訴を諦めていた佐野文吾(鈴木亮平)、殺人者の妻として人前で笑えない人生を過ごした和子(榮倉奈々)、父の無実を証明しようとする田村心(竹内涼真)、名前を変えて忍ぶように生きる姉・田村鈴(貫地谷しほり)、事件を目撃者しながら、31年間黙していた松尾(旧制佐々木)紀子(芦名星)――登場人物の誰もが耐え忍びながら生きている。

 撮影現場も過酷だ。音臼村のロケでは、ほとんどが雪山での捜索シーン、そして崖の端での体当たりの演技が続く。現代に戻っても、土砂降りの雨の中、父親の無実を証言してくれる人物を待ち続ける場面など、精神的にも、肉体的にもタフネスが要求される。制作魂に応える俳優魂――視聴者からの反響を観ても、ほとんどすべての役者に対して好演、怪演に絶賛、高評価が寄せられている。

 視聴者から寄せられるコメントを紹介すると、「竹内涼真と上野樹里の告白のシーンが上手かった」(30代男性/千葉)、「気持ちの揺れ動きや感情がとても伝わってきて、涙なしではみられない」(40代女性/北海道)「上野樹里さんの迫真の演技に引き込まれる」(40代女性/北海道)ほか、各俳優への賛辞が続く。

 さらに俳優だけでなく、カメラ、照明ほかスタッフへの賛辞の声も届いている。「崖のシーンの裏側をSNSで見て、本当に大変そうに撮っていたことを知って良かった」(20代女性/東京)。逆境、困難は制作陣も背負っていることが視聴者にも伝わっているようだ。

 公式Twitterでは第7話の予告が解禁され、「え? 犯人お前なの? だってまだ6話だよ??……」と、推理を加速させる意味深なつぶやきが発信された。「まだ最終回でもないのに、犯人が分かってしまうのは変だ」(30代男性/埼玉)という声もあり、第7話での展開も期待が寄せられている。これからさらに謎が深まるのか…答えは放送の中で明らかにされる。
(文/波尾哲)

●オリコン ドラマバリューとは
オリコングループの調査システム「オリコン・モニターリサーチ」の登録者から毎週、全国690名の視聴者を対象に、各ドラマの「期待度」「満足度」について、「作品」「主演」「主演以外」「セリフ」「映像」「音楽」「美術」「ストーリー展開」を10点満点で調査。「オリコンドラマバリュー」はその結果を、過去1年間のデータに照らして偏差値化した。「視聴量」「主演」「主演以外」「内容」という4項目に加え、Twitterのツイート量を加えた「話題性」の5項目を各1〜20ポイントとし、計100ポイント満点で集計している。

関連写真

  • 『テセウスの船』(C)TBS
  • 『テセウスの船』(C)TBS

提供元:CONFIDENCE

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