• ORICON MUSIC(オリコンミュージック)
  • ドラマ&映画(by オリコンニュース)
  • アニメ&ゲーム(by オリコンニュース)
  • eltha(エルザ by オリコンニュース)
ORICON NEWS

『ヤンマガ』が進むグラビアの王道 SNS拡散より読者のダイレクトな「見たい!」ニーズ追求

◆“令和のグラビア”最前線レポート Vol.2 週刊ヤングマガジン

 時代を象徴する美女が誌面を飾り、世間の注目を集める「グラビア」。元号が変わり2020年を迎えた今、そのリアルな現場に迫る連載企画「令和のグラビア最前線レポート」では、グラビア誌の編集部に取材を敢行し、生の声を伝えていく。第2回は、青年漫画誌の老舗として名高い『週刊ヤングマガジン』。2018年からは『ミスマガジン』を復活させ、多くの美女を世に送り出してきた『ヤンマガ』が目指すグラビアとは。グラビア班チーフの大和宏明氏に聞いた。

最新の『週刊ヤングマガジン』第8号の表紙を飾った上西怜(C) 岡本武志 /ヤングマガジン

最新の『週刊ヤングマガジン』第8号の表紙を飾った上西怜(C) 岡本武志 /ヤングマガジン

写真ページを見る

【写真】その他の写真を見る


■コンセプトはグラビアの王道 ブームやSNS人気より“らしさ”追求

 『ヤンマガ』のグラビアコンセプトは「一言で表現するなら“グラビアの王道”、具体的にはグラビア映えする健康的で肉感的なスタイルの明るいイメージの水着です。男性読者のダイレクトな『見たい!』ニーズにハマる子を起用しており、自分は『ヤンマガ』に携わって10年ですが、チーフになった5年ほど前からは特に意識しています」。毎号の巻頭&巻末のほか、号によってはセンターグラビアもあり、時には写真集の編集作業も加わる。さらに、社員編集者はマンガ連載の担当も抱えており、日々多数の業務を並行させている。

 ここ数年のグラビアシーンを振り返ると、10年ほど前からAKB48などのアイドルが席巻し、その後はモグラブームが続き、現在は単体のグラドルやSNS発のタレントの隆盛と、さまざまなトレンドを経てきた。『ヤンマガ』の人選の変遷について尋ねると「方針は大きく変わっていません。モグラについていえば、ファッション誌のモデルは本来、どんな服でも着られるスレンダーなスタイルであることが大前提なはず。『ヤンマガ』が求める理想的なグラビアとは、あまり合致しない体型だったんです。貴重な成功例は表紙レギュラーだった久松郁実さんくらいで、そもそも呼び方も含めて成立していなかったかなと個人的に思います。モデルという肩書も弊誌読者にはプラスになるとも思えず、『ヤンマガ』としては乗れませんでした」と振り返る。

 SNSで話題になっているタレントについても「起用時のフォロワー数は指標としてみますが、それほど重要視していません。雑誌というのはそもそもアナログなメディアですし、SNSでの情報発信が強くても、雑誌グラビアでもその強さが共通するとは限らないし、SNSでバズることと雑誌の売上との関連性もまだ見えにくいです。SNSでの自己プロデュース能力と、グラビア写真に映える表現力は、別物と考えています」と確固たるスタンスを貫いている。

 その一方、情報収集にはSNSやネットニュースも積極的に活用し、芸能プロダクションからの売り込み情報と合わせて吟味するなど原石の発掘には余念がない。そして「2018年から復活したコンテスト『ミスマガジン』も大きいです。2年前に選ばれた沢口愛華や寺本莉緒が羽ばたいて多数のグラビア誌で活躍していますし、このコンテストだから世に出られた子もいるので、新人の登竜門として機能しています」と自前開催のミスコンの手応えを明かした。

■ミスマガ復活は「面白くなる空気」感じて 女王・沢口愛華は大ブレイク

 『ミスマガ』は1982年から始まり、斉藤由貴細川ふみえ中川翔子岩佐真悠子北乃きい倉科カナ桜庭ななみ新川優愛衛藤美彩などを輩出した名門ミスコン。何度か休止と復活を繰り返し、2001年からは11年連続で開催されたが、体制やシステムの見直しのため2012年から休止された。「当時はグループアイドルの全盛期で、かわいい子はそっちに応募して、単体のグラビアに新しい子が入ってきにくい状況だったので、状況を見て一旦お休みしました」。

 それから7年、時代は変わった。メディアの状況は激変し、SNSや動画配信が活発化。表現の場を求める女の子が増えた中で「コンテストをやったら面白くなる空気」を感じて再始動させた。奇しくも同じタイミングでライバル誌の『ヤングジャンプ』も名門コンテスト『制コレ』を復活させ、グラビアシーンを盛り上げた。「コンテストでなければ発掘できなかった子も多かったと思うので、復活させたことは大きな意義があったと思います。現在は復活3年目の『ミスマガ2020』のエントリーを受け付けていますが、年によって応募者の傾向もぜんぜん違うので面白いし、以前に比べてレベルも高くなりました」。2018年のグランプリ・沢口愛華は、キュートなルックスと大迫力ボディで“令和のグラビアクイーン”と呼ばれ、現在は引っ張りだこの大人気だ。このブレイクを大和氏は「思ったより早かった」と分析する。

 「ルックスとスタイルがいいのはもちろんですが、単体で押し出せる子をメディアが求めていて、受賞当時は15歳と若く色がついていなかったのも良かったんだろうなと思います。『復活一発目のミスマガグランプリ』という肩書もキャッチーだったのかな、と。受賞直後は『ヤンマガ』を中心に活動してもらいましたが、ここからが本当のスタートなので、今後はグラビア以外のいろんなメディアにもどんどん出て活躍してほしいです」

 『ミスマガ』受賞者が2019年の『ヤンマガ』グラビアを大いに盛り上げたが、他にも反響の大きかったグラビアを聞いた。「昨年以前から出ていただいて、安定して人気が高いのがモーニング娘。’20の牧野真莉愛さん。本当にビジュアルがキレイだし、スタイルがいいし、爽やかで明るいし、それでいて本人の性格はちょっとおバカで(笑)、男子の理想そのものですね。元カントリー・ガールズ船木結さんと梁川奈々美さんのペアも、唯一の2人そろったグラビアになって、ハロプロファンの方を中心に反響が大きかったです。驚きだったのが、ゆきぽよさん。僕が『あれだけテレビに出ていて根性もありそうだし、ウチのグラビアの基準を飛び越える強さがあるんじゃないか』と表紙を提案したのですが、予想を超える人気でした。本人もグラビアに意欲的なのも良かったですね」。

■令和に求めるグラビアクイーン像「明るく楽しみながら挑戦してほしい」

 『ヤンマガ』は青年漫画誌であり、漫画ファンの固定読者がいる上で、毎号変わるグラビアでどれほど売り上げに影響が出るのか。「掲載される漫画のラインナップは基本的には同じですが、号によって売り上げにけっこうな差が出ているので、新しい読者や浮動票をどれだけ獲得できるか、毎号のグラビアにかかっています」。もっとも重要な表紙写真の決定については“編集長の聖域”だ。「インパクト重視の人、笑顔&巨乳の手堅い写真を選ぶ人、ドラマチックな表情が好きな人…。編集長が変わると同じタレントでも表紙に選ぶ写真も変わってきます。しかし、『ヤンマガ』のグラビアの本質は変わりません」。

 各グラビア誌は毎号のグラビアの成果として、写真集を制作しヒットさせることを目標としているところも多い。「若い女性タレントさんは変化が早いので、ある時期の結晶として写真集にその姿を残すことはいいことだと思います。ただ、『ヤンマガ』のグラビアは写真集という出口ありきではありません。週刊誌のグラビアは短距離走で、その瞬間に一番いいものを凝縮して出します。短距離走からスタートしてだんだん走れる距離が伸びていって、マラソンまで走れるぐらいの体力(表現力)がついたら写真集を出そうか、という考えです。写真を撮られるのにも、才能や経験は必要。ロケ撮影の不安定なこともある環境下で、どうすれば美しい体とかわいい顔を見せられるか。経験が足りないと自分を表現しきれないのです」と、グラビアの経験値を重ねることの重要性を明かした。

 最後に、令和に求められるグラビアクイーン像について聞いた。「水着をネガティブに考えるよりも、『若い時期のステップアップでやってやる!』くらいで飛び込んでくれる人の方が、面白い変化を起こせると思います。今は主役をやってる女優さんでも、駆け出しの時期に水着をやっていた方は多いので、表現力と知名度を溜めるという目的にしてもらっていいです。ただ、やるからには思い切ってやらないと突き抜けないのが、グラビアの難しいところです。写真には感情や思いが必ず表れるので、明るく楽しみながら挑戦してほしいですね」。

 そして「今後は具体的に新しいポーズや見られ方を提案できる子がシーンをリードしていくかもしれませんね。昔は雛形あきこさんの“ヒナポーズ”や、インリンさんの“M字開脚”など、その人ならではのシグネチャーポーズがあった。グラビアでスタイルをよく見せるポーズはいっぱいあるわけではないですが、新しいものを期待したいですね」。グラビアの王道を突き進む『ヤンマガ』、今年はどんな表情の写真が表紙を飾るのか。毎週月曜日の発売が楽しみになってくる。

関連写真

  • 最新の『週刊ヤングマガジン』第8号の表紙を飾った上西怜(C) 岡本武志 /ヤングマガジン
  • 『ミスヤングマガジン2018』グランプリを獲得した沢口愛華(C)佐藤裕之 /ヤングマガジン
  • 『ヤングマガジン』グラビアが好評な牧野真莉愛(C)佐藤佑一 /ヤングマガジン

オリコントピックス

あなたにおすすめの記事

 を検索