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映画『二ノ国』日野晃博氏、「ものづくりに算盤勘定はしない」

■「Film makers(映画と人 これまで、そして、これから)」第16回 日野晃博

 『妖怪ウォッチ』シリーズや『イナズマイレブン』シリーズなど数々の人気ゲームを世に送り出してきたレベルファイブの代表を務める日野晃博氏。ゲームと映像作品とのメディアミックスは大きなムーブメントとなり、社会現象的な盛り上がりを見せることもしばしば。そんな日野氏が「ビジネス云々ではなく純粋にいいものを作れるか」とこれまでとは違うアプローチ方法で挑んだのが映画『ニノ国』だ。

「ものづくりに算盤勘定はしない」と話した日野晃博氏 (C)ORICON NewS inc.

「ものづくりに算盤勘定はしない」と話した日野晃博氏 (C)ORICON NewS inc.

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■これまでの映画作りとは違うアプローチ方法

 『二ノ国』はレベルファイブの人気RPG『二ノ国』シリーズをモチーフにした長編アニメーション映画。監督を元スタジオジブリの鬼才・百瀬義行、音楽に久石譲を配し、現実世界の「一ノ国」と命のつながりを持つ魔法世界「二ノ国」を行き来する、少年・少女たちの冒険を描いた青春ストーリーだ。
 
 これまでもゲームを原案にした劇場映画の制作を行ってきた日野氏だが、本作はアプローチ方法が違うという。「『妖怪ウォッチ』や『イナズマイレブン』なども映画化されてきましたが、どちらかというとクロスメディアの一つの先という位置づけで、映画というメディアのなかで、どんなものが作れるかというチャレンジでしたが、『二ノ国』に関しては、ゲームと連動するなどのビジネスの戦略上の一つとしての映画ではなく、純粋に映画単体として良いものを作ろうという挑戦でした」。
 
 アプローチの違いはキャラクターやストーリーラインにも表れた。「ゲームと連動した作品作りを意識すると、主人公は子供たちに感情移入してもらいたいという意図があるため、目線はやや下がるのですが、この作品はラブストーリーという性質上、これまでの作品より、やや上の層を意識した作りになっています。いままでうちがやってきたこととはだいぶ違う印象です」。
 
■クオリティを上げるためにはクリエイター同士徹底的に戦うのは必然
 
 また製作陣も、前述したように元スタジオジブリで高畑勲氏や宮崎駿監督と共に数多くの作品を経験した百瀬監督や、同じくスタジオジブリで『風の谷のナウシカ』や『となりのトトロ』など、名作で音楽を担当してきた久石譲が参加。声優陣も主人公のユウを山?賢人、ユウの親友ハルを新田真剣佑、その二人に大きな影響を与えるコトナ/アーシャ姫を永野芽郁という若手俳優のほか、宮野真守、坂本真綾、梶裕貴津田健次郎、山寺宏一ら実力派が顔をそろえている。
 
 そんな豪華布陣の総指揮をとるのが日野氏だ。「いままでも製作総指揮という立場をとってきましたが、今回は今までとは違う相手もたくさんいましたので、これまで以上に意見を戦わせました。多少強引な指示もあったと思う」と製作過程を振り返る。具体的な部分を問うと「百瀬監督とは絵コンテの段階で相当やり取りをしました。作品は画と物語のバランスが重要ですが、百瀬監督はどちらかというと画を重視されていたので、そこの部分では何度も話し合いました。」と回答。しかし、こうしたやり取りは作品をよくするために必要不可欠だという。
 
 日野氏自身、会社の代表ということでビジネス的な視点が注目されるが「ものを作っているときは、あまり算盤勘定はしないんです」と語ると「映画でもゲームでも、製作に取り掛かっているときは、とにかくクオリティ重視。特に今回の作品は、出来上がったあとのビジネス的なことは考えていなかった」と断言する。

■映画製作とゲーム製作の決定的な違いとは!?

 ゲームクリエイターとして数々のヒット作を世に送り出している日野氏だが、映画というメディアにはどんな魅力を感じているのだろうか。「映画というのは歴史あるエンターテインメントであり、作品を作り上げたとき、観てもらえる層は非常に広い。自分たちの打ち出す作品性も伝えやすく、約2時間という短い時間のなかで感動を伝えることができる即効性もあるメディアなんです」。
 
 『二ノ国』では、これまで日野氏があまり経験したことがないという「ラブストーリー」が物語の主軸としてある。それだけに「いろいろな人の意見を聞きつつ、お話に関してはすごくこだわりました。出来上がったものには強固に自分の主張を貫きました」と語る。
 
 映画とゲームの決定的な違いについては「ゲームはトライ&エラーの文化ですが、映画は違う。ゲームは作っては壊すという作業によって、どんどんブラッシュアップしてくことができますが、映画はそれができないので、設計段階でものすごく気を使いました。やり直しができないぶん、映画には怖さがあります」と説明。

 それでも、映画への魅力は尽きないようで、完成し、お披露目するときのワクワク感は、日野氏にとってはたまらない瞬間だという。今年の夏は、アニメの大作が数多く公開され、例年以上に劇場は賑わっている。そんななか、日野氏の熱い思いのもと公開される『二ノ国』の動向には注目したい。(取材・文・撮影:磯部正和)
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  • 「ものづくりに算盤勘定はしない」と話した日野晃博氏 (C)ORICON NewS inc.
  • 映画『二ノ国』の場面カット(C)2019 映画「二ノ国」製作委員会
  • 映画『二ノ国』の場面カット(C)2019 映画「二ノ国」製作委員会
  • 映画『二ノ国』の場面カット(C)2019 映画「二ノ国」製作委員会
  • 映画『二ノ国』の場面カット(C)2019 映画「二ノ国」製作委員会
  • 映画『二ノ国』のメインカット(C)2019 映画「二ノ国」製作委員会

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