女優の有村架純と俳優の坂口健太郎が主演するWOWOW『連続ドラマW そして、生きる』(毎週日曜 後10:00、全6話)。ドラマ・映画では3度目の共演となった2人に、本作の魅力を語ってもらった。
『そして、生きる』は、東日本大震災が起きた年の秋、地元の盛岡から宮城・気仙沼のボランティア活動に参加した生田瞳子(有村)と、学生ボランティア団体の運営メンバーである東京の大学生・清水清隆(坂口健太郎)の出会いから始まるヒューマンラブストーリー。
――2016年放送の『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ)、17年公開の映画『ナラタージュ』に続いて3作目の共演。ゲーム『レイトン ミステリージャーニー カトリーエイルと大富豪の陰謀』(17年)や劇場アニメ『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』(8月2日公開)にも声優として参加していますね。
【有村】何かと、ご一緒しますね(笑)
【坂口】ご縁がありますね(笑) 架純ちゃんは芝居に関してのディスカッションをほぼしない女優さん、という印象です。
【有村】あまりしないかも。ディスカッションしたかった?
【坂口】(笑)、そういうんじゃなくて、ディスカッションしなくても、今回の作品で言えば、架純ちゃんの前で、僕は自然と、反射的に「清隆」になれた。
【有村】何度もご一緒させていただいているので、安心感がありました。現場に入れば、段取りを決めなくても「瞳子」と「清隆」の空気になってお芝居ができるだろう、と。甘えちゃっていたのかもしれないですね。
【坂口】空気ができる。確かに、そうかもね。お互い力まずに、カメラの前に立つことができる。すごく素敵な女優さんだと思います。
【有村】実は、現場に入る前はソワソワしていました。3度目の共演ですが、今回はどんな感じでくるのかな?って。でも、きっと、現場に立ったら大丈夫だろう、と。さっき言った安心感というのは、そういう安心感ですね。
【坂口】『ナラタージュ』は全然違うキャラだったからね。「土下座しろ」「靴、脱げ」って(笑)
【有村】違ったね(笑)
――本作は、岡田惠和さんのオリジナル脚本。有村さんは映画デビュー作『阪急電車 片道15分の奇跡』(11年)や、ヒロインを務めた17年前期連続テレビ小説『ひよっこ』(NHK)で岡田さんのことをよくご存知かと思いますが、本作の印象は?
【有村】今回は「せりふ」らしい「せりふ」と言えばいいのでしょうか、岡田さんが持たれている言葉の引き出しを全部開けて、つむいでいった言葉なのかな、と感じました。日常会話で進んでいく『ひよっこ』とは対照的。せりふの背景に「人生」という大きなテーマが流れているのが見えるような、誰に対しても響く洗練されたせりふばかりだと思いました。
■岡田惠和氏がつむぐ10年にわたる物語
――坂口さんは初の岡田作品ですね。
【坂口】岡田さんの脚本と知っていながら、本当は女性が書いているんじゃないかと思ってしまったくらい、愛情深い母性を感じました。直接、お会いしたことはないんですが(笑)。
【有村】すごくわかります。岡田さんは本当に柔らかい感じの方で、岡田さんの作品には悪い人が出てこない。登場人物一人ひとり、物語の中で道を踏み外してしまう人物にも、すごく愛情を注いで描いていらっしゃる。愛情深いという印象は、すごくよくわかります。
――本作で有村さんが演じる「瞳子」は、3歳のときに交通事故で両親を亡くし、盛岡で理髪店を営む伯父に育てられた、という境遇ながら、天真爛漫に育ったという人物設定。女優になる夢を抱いて、オーディションを受けるため上京する目前に東日本大震災が起きてしまうというストーリーですが、ご自身と共通する点はありましたか?
【有村】私も、オーディションを受けたことがきっかけで今があるので、瞳子の「女優になりたい」という思いは共感できました。性格は全然、違っていて、瞳子の方が男前です(笑)。両親を亡くして伯父さんの家に引き取られたという境遇が、瞳子の思考や物事の捉え方に影響を及ぼしているんだろうな、と演じながら感じることがありました。彼女なりに傷ついた経験が、他人に対する慈しみの深さとなって現れている気がしました。
――坂口さんが演じる「清隆」は、大企業の重役である父、医師である姉、専業主婦の母との4人家族で、何不自由なく育ってきたように見えるが、しかし…、という人物。
【坂口】僕もいろんなところで共感していたと思う。清隆の気持ちに寄り添いたい、理解したいと思いながら演じていました。実は、あるシーンで監督から「今のは完全に坂口健太郎だよね」と、指摘されたことがあったんです。自分でもハッとして。「自分の言葉」にもなるせりふってすごいな、と思いました。清隆なのか、僕なのか、わからなくなるほど。だから伝わることもあるのかな、と思うと、僕が清隆を演じる意味があったのかな、と思えてうれしかったです。坂口健太郎を通して、この作品の中の清隆を理解してもらえたらいいな、と思いますし、そういう役と役者の重なり方を、それもすごくいい塩梅で感じることができたのは、僕としてもある意味幸せな経験でした。
――本作は、東日本大震災のボランティアで出会った男女が、自分の人生を、困難に挫けず生きていく、およそ10年にわたる物語です。視聴者に願うことは?
【有村】自分の人生を、どういう選択して生きていけば、幸せになれるか、というのは、誰にとっても永遠のテーマ。作品を見て、自分自身はどういう選択をしてきたか、その選択は間違っていなかったと思えるのか、後悔しない人生を送るために今、どうしたらいいのか、そういうことを改めて考えるきっかけにしていただけたらうれしいです。
【坂口】瞳子、清隆、ハンちゃん(瞳子と一緒にボランティア活動に参加する韓国から来た女性。演じるのは、知英)、真司(瞳子に思いを寄せる地元の後輩。演じるのは、岡山天音)の生き様をただ見てほしい。ものすごいスペクタクルがある作品ではありません。日常を生きている人たちの痛み、苦しみ、悲しみ、そして、幸せが丁寧に描かれています。映像も美しいです。見てくださった人の心に響いて、残り続ける作品になったらいいな、と思います。
WOWOW『連続ドラマW そして、生きる』第1話は、5日(後11:00〜)、11日(前8:00〜)にリピート放送(※第1話のみ無料放送)。
【有村架純】
ヘアメイク:尾曲いずみ
スタイリスト:瀬川結美子
【坂口健太郎】
ヘアメイク:廣瀬瑠美
スタイリング:檜垣健太郎(little friends)
『そして、生きる』は、東日本大震災が起きた年の秋、地元の盛岡から宮城・気仙沼のボランティア活動に参加した生田瞳子(有村)と、学生ボランティア団体の運営メンバーである東京の大学生・清水清隆(坂口健太郎)の出会いから始まるヒューマンラブストーリー。
――2016年放送の『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ)、17年公開の映画『ナラタージュ』に続いて3作目の共演。ゲーム『レイトン ミステリージャーニー カトリーエイルと大富豪の陰謀』(17年)や劇場アニメ『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』(8月2日公開)にも声優として参加していますね。
【有村】何かと、ご一緒しますね(笑)
【坂口】ご縁がありますね(笑) 架純ちゃんは芝居に関してのディスカッションをほぼしない女優さん、という印象です。
【有村】あまりしないかも。ディスカッションしたかった?
【坂口】(笑)、そういうんじゃなくて、ディスカッションしなくても、今回の作品で言えば、架純ちゃんの前で、僕は自然と、反射的に「清隆」になれた。
【有村】何度もご一緒させていただいているので、安心感がありました。現場に入れば、段取りを決めなくても「瞳子」と「清隆」の空気になってお芝居ができるだろう、と。甘えちゃっていたのかもしれないですね。
【坂口】空気ができる。確かに、そうかもね。お互い力まずに、カメラの前に立つことができる。すごく素敵な女優さんだと思います。
【有村】実は、現場に入る前はソワソワしていました。3度目の共演ですが、今回はどんな感じでくるのかな?って。でも、きっと、現場に立ったら大丈夫だろう、と。さっき言った安心感というのは、そういう安心感ですね。
【坂口】『ナラタージュ』は全然違うキャラだったからね。「土下座しろ」「靴、脱げ」って(笑)
【有村】違ったね(笑)
――本作は、岡田惠和さんのオリジナル脚本。有村さんは映画デビュー作『阪急電車 片道15分の奇跡』(11年)や、ヒロインを務めた17年前期連続テレビ小説『ひよっこ』(NHK)で岡田さんのことをよくご存知かと思いますが、本作の印象は?
【有村】今回は「せりふ」らしい「せりふ」と言えばいいのでしょうか、岡田さんが持たれている言葉の引き出しを全部開けて、つむいでいった言葉なのかな、と感じました。日常会話で進んでいく『ひよっこ』とは対照的。せりふの背景に「人生」という大きなテーマが流れているのが見えるような、誰に対しても響く洗練されたせりふばかりだと思いました。
■岡田惠和氏がつむぐ10年にわたる物語
――坂口さんは初の岡田作品ですね。
【坂口】岡田さんの脚本と知っていながら、本当は女性が書いているんじゃないかと思ってしまったくらい、愛情深い母性を感じました。直接、お会いしたことはないんですが(笑)。
【有村】すごくわかります。岡田さんは本当に柔らかい感じの方で、岡田さんの作品には悪い人が出てこない。登場人物一人ひとり、物語の中で道を踏み外してしまう人物にも、すごく愛情を注いで描いていらっしゃる。愛情深いという印象は、すごくよくわかります。
――本作で有村さんが演じる「瞳子」は、3歳のときに交通事故で両親を亡くし、盛岡で理髪店を営む伯父に育てられた、という境遇ながら、天真爛漫に育ったという人物設定。女優になる夢を抱いて、オーディションを受けるため上京する目前に東日本大震災が起きてしまうというストーリーですが、ご自身と共通する点はありましたか?
【有村】私も、オーディションを受けたことがきっかけで今があるので、瞳子の「女優になりたい」という思いは共感できました。性格は全然、違っていて、瞳子の方が男前です(笑)。両親を亡くして伯父さんの家に引き取られたという境遇が、瞳子の思考や物事の捉え方に影響を及ぼしているんだろうな、と演じながら感じることがありました。彼女なりに傷ついた経験が、他人に対する慈しみの深さとなって現れている気がしました。
――坂口さんが演じる「清隆」は、大企業の重役である父、医師である姉、専業主婦の母との4人家族で、何不自由なく育ってきたように見えるが、しかし…、という人物。
【坂口】僕もいろんなところで共感していたと思う。清隆の気持ちに寄り添いたい、理解したいと思いながら演じていました。実は、あるシーンで監督から「今のは完全に坂口健太郎だよね」と、指摘されたことがあったんです。自分でもハッとして。「自分の言葉」にもなるせりふってすごいな、と思いました。清隆なのか、僕なのか、わからなくなるほど。だから伝わることもあるのかな、と思うと、僕が清隆を演じる意味があったのかな、と思えてうれしかったです。坂口健太郎を通して、この作品の中の清隆を理解してもらえたらいいな、と思いますし、そういう役と役者の重なり方を、それもすごくいい塩梅で感じることができたのは、僕としてもある意味幸せな経験でした。
――本作は、東日本大震災のボランティアで出会った男女が、自分の人生を、困難に挫けず生きていく、およそ10年にわたる物語です。視聴者に願うことは?
【有村】自分の人生を、どういう選択して生きていけば、幸せになれるか、というのは、誰にとっても永遠のテーマ。作品を見て、自分自身はどういう選択をしてきたか、その選択は間違っていなかったと思えるのか、後悔しない人生を送るために今、どうしたらいいのか、そういうことを改めて考えるきっかけにしていただけたらうれしいです。
【坂口】瞳子、清隆、ハンちゃん(瞳子と一緒にボランティア活動に参加する韓国から来た女性。演じるのは、知英)、真司(瞳子に思いを寄せる地元の後輩。演じるのは、岡山天音)の生き様をただ見てほしい。ものすごいスペクタクルがある作品ではありません。日常を生きている人たちの痛み、苦しみ、悲しみ、そして、幸せが丁寧に描かれています。映像も美しいです。見てくださった人の心に響いて、残り続ける作品になったらいいな、と思います。
WOWOW『連続ドラマW そして、生きる』第1話は、5日(後11:00〜)、11日(前8:00〜)にリピート放送(※第1話のみ無料放送)。
【有村架純】
ヘアメイク:尾曲いずみ
スタイリスト:瀬川結美子
【坂口健太郎】
ヘアメイク:廣瀬瑠美
スタイリング:檜垣健太郎(little friends)

2019/08/05