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ヌードを決断した3人の若手女優「自分を追い込むことで何かが生まれる」

 昨年12月、女子大生ユニット「キャンパスクイーン」の卒業生で、本格的に女優活動を開始した結城モエ(24)、高尾美有(23)、松井りな(25)が、篠山紀信撮影のヌード写真集「premiere(プルミエール)」を発売した。3人とも、まだキャリアの浅い“これから”の女優。そんな彼女たちが、なぜ“ヌード”という決断をしたのだろうか――。


ヌード写真集「premiere(プルミエール)」を発売した(左から)高尾美有、結城モエ、松井りな (C)ORICON NewS inc.

ヌード写真集「premiere(プルミエール)」を発売した(左から)高尾美有、結城モエ、松井りな (C)ORICON NewS inc.

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 近年でも、若くして映画のなかでヌードを披露している女優はいる。吉高由里子(30)は、デビュー2年目の映画『蛇とピアス』で、門脇麦(26)はデビュー3年目の『愛の渦』で、そしてドラマ「今日から俺は!!」(18年/日本テレビ系)で大きな話題となった清野菜名(24)も、女優デビュー後、3年目の映画『TOKYO TRIBE』で裸を見せており、決してレアケースではない。それでも選択肢としては、なかなかの覚悟が必要な決断ではなかったのだろうか。

 単刀直入に疑問を投げかけると、松井は「女優としてだけではなく一人の女性として、ゴールが見えない濃い霧のなかにいるような状態を変えたかった」と自ら写真集の企画立案し「どうせやるなら、夢は大きく篠山紀信先生にやっていただきたい」と事務所の人間に直談判したという。

 松井のチャレンジに、篠山も興味を示した。「私の“表現したい”“変わりたい”という気持ちに興味を持っていただき“面白い”と評価してくださいました。篠山先生の方から『会ってみたい』と言ってくださったんです」。

 篠山紀信という写真家にお願いをする時点で松井は「ヌードは覚悟していた」と語ると「オーディションや現場でも緊張して、なにかにすがりたくなってしまう。でもそういう気持ちを捨てたかったんです。一糸まとわぬ姿で、自分を追い込んだら怖いものがなくなるのかなと……。なににも頼れない状況に自分を追い込むことで、新しいなにかが生まれると思ったんです」と躊躇はまったくなかったという。

 松井の企画に手を挙げたのが、結城と高尾だった。しかし2人は松井の決断とは様相が違った。

 結城は「いま振り返っても、なぜ撮影に挑んだのか答えが出ていないし、覚悟が決まった瞬間もない」と答える。ただ一つだけ、女優という仕事に対して大きな疑問があったという。「これまでドラマのお仕事を2回経験させていただいたのですが、人によって評価は違うし、お芝居には正解がない。やりたいと思って女優のお仕事をしているのに、自分でも胸を張って『女優です』と言える日がくるのだろうかという思いが常にありました」。

 そんなときにこの企画に出会った。結城は篠山に「女優という表現者になりたいけれど、自分が向いているのかもわからない」と率直な胸の内をぶつけた。すると篠山は「今回写真集ができたとき、絶対後悔させない。100%これをやってよかったと思わせるものを作る」と断言してくれたという。この言葉で結城は一歩前に進んだ。それでも「おっしゃるように、この若さで、まだキャリアのないなか、普通ならやらないことだと思う。やっぱり覚悟なんて決まらなかった」と心情を吐露する。

 高尾も大きな葛藤を持って日々を過ごしていた。「岡山から上京してきた理由は、芸能活動をしたいからだったんです。それだけに『この仕事でしっかり生活ができるようにならなければ』という思いが強かった。大学在学中も『就活した方がいいのかなと』という危機感のなか生活していました」。

 漠然とした不安や危機感のなか、出会った企画。「私も『やります』と言ったものの、やっぱり自分の裸を世に出すことが、一人の女性として怖くなってしまいました。ヌード=芸術だと分かっていても、すごく悩んでずっと答えを出さずにいて、一度は『私には無理だ』と諦めてしまったんです」。篠山はそんな高尾にも親身に相談に乗って、「一人の人間として」話をたくさん聞いてくれたという。そして少しずつまた、チャレンジする気持ちが出てきた。

 決断するタイミングや向き合う姿勢は違った3人だが、それぞれに共通しているのは、現状に対する不安や危機感はありつつも「決して焦ってヌードになろうと思ったのではない」ということ。しっかりと熟考し、自ら“必然性”を見出していった。

 さらに篠山紀信という稀代の写真家をはじめ、ファッションディレクター、スタイリスト、ヘア・メイクアップアーティスト、アートディレクターら世界で活躍するスタッフが集結した超一流の現場。そこでの経験は、撮影前に思い描いていた以上の“刺激”を彼女たちにもたらし、意識を大きく変えた。

「作品を見た高校時代からの友人が『セクシーではなく、センシティブ(繊細) だね』と言ってくれたんです。自分のなかで、これからお芝居を続けていくなかで、微妙な心の動きや、繊細な感情を表現していきたいと思っていたので、それを読み取ってもらえてすごくうれしかった。同時に、もっと多くの人に自分の表現が伝わるようになりたいという決意が固まりました」(松井)

 「先ほど、まだキャリアの浅い23〜25歳の女の子が敢えてやる必要があったのか……という話がありましたが、逆にこの年齢で超一流の人たちが妥協することなく挑むモノづくりをする現場を経験したからこそ、今後の女優人生が変わるのかなと感じたんです。覚悟も決まらないまま撮影に飛び込み『分からない』と涙を流したこともありました。写真集が出来上がるまで、もしかしたら『表に出したくない』と思うかもしれないという不安もありました。でもいまこうして出来上がった作品を手にすると『ヌードになる、ならない』で悩んでいた自分がどれだけ狭い視野だったかを実感しました。一流の方々はそんな次元で勝負していないんです」(結城)

 「モエちゃんも言っていましたが、私もこの作品を通じて、世界が広がりました。これまで、なんて自分はちっぽけで狭い価値観だったのだろうと……。でも悩んだ期間は、自分としっかり向き合えた時間なので、宝物のようなときでした。『全部脱ぎ捨ててしまったらなにもないじゃん』という不安はありましたが、改めて考えると、失うものなんてまったくなく、得るものばかりでした。いまは怖いものがなくなりました」(高尾)

 「ヌードになる」という未知の世界に覚悟を持って臨み、作品を作り上げた松井、結城、高尾。進むは次のステージだ。

 松井は「正直、この作品が世に出てどうなっていくかは想像できないし、現時点で明確に“こうなりたい”というものはないんです」と語りつつも「今回写真集を作って、篠山先生からは『クリエイティブなことが好きそうだから一緒にやっていこう』と写真のセレクトなどもさせていただきました。この仕事を通じて、作る側の欲も出てきました」と目を輝かせる。

 結城は「私は幼少期から転校も多く、人間関係があまり得意ではなかったんです。でもそんな子でも、前向きになれば、楽しいことを発信していける人間になれるんだということを示したかったので、こういう仕事を始めようと思ったんです。でも逆に今回、私が励まされることが多く、まだまだだなと思い知りました。もっと自分を磨き、結城もえとしての実力を高めていかなければいけない」と意を決したという。

 高尾も「今回の撮影で、篠山先生が『笑顔のなかに怒りと悲しみがあって面白い』と言ってくれたんです。女優として深刻なお芝居をしっかりものにしつつも、さまざまな感情を表現できるようになりたい。さらに私はちょっとバカで、言葉もあまり出てこないのですが、それも篠山先生は『いいんだよ』と言ってくれたので、バラエティーとかでも、見ている人が元気になれるように頑張りたい」と貪欲に取り組むことを誓っていた。

 憧れや目標の存在を尋ねると「山田孝之さん。人間的な奥深さ、音楽、アート、監督、俳優業とマルチに活躍されていてメチャクチャ尊敬しています。監督では中島哲也監督」(松井)、「オードリー・ヘプバーンさん。外見的なところだけではなく、慈善活動などにも力を入れていて、内面的なところなど、共感できるところばかり」(結城)、「吉田大八監督の映画(『美しい星』)に出演させていただいたことがあるのですが、現場の熱量に圧倒され、いつかヒロインで出演できたら……。あとはすべての人を魅了するエンタメの頂点のような存在……ミッキーマウスに憧れます」(高尾)と個性的な回答。

 正解がないからこそ、悩みもあり、チャレンジしがいもある女優という仕事。そこに真剣に向き合う松井、結城、高尾の姿は、非常に力強く聡明だ。そんな彼女たちが選んだ今回の決断は、どんな未来を生み出すのか――今後の活躍を期待せずにはいられない。(取材・文:磯部正和)

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