NHKで放送中の大河ドラマ『西郷どん』（毎週日曜　後8：00　総合ほか）の第45回「西郷立つ」のパブリックビューイングが2日、鹿児島市役所西別館で実施され、市内から約150人の観客が集まった。ゲストとして、同作の薩摩ことば指導を務め、元薩摩藩士・中原尚雄役も演じた田上晃吉が出席、さらにサプライズゲストして島津久光役の青木崇高も駆けつけた。

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　明治新政府下で警察官となった中原は、大久保の密命を受け、西郷隆盛ら私学校幹部をスパイするため薩摩に“帰郷”。しかし、密偵であることがバレてしまい、私学校生徒から拷問を受ける。それが西南戦争のきっかけとなってしまう。「何としても反乱を起こさせてはならない、という命を果たせなかったのが無念でした」と、田上。

　撮影では「実際に現場ではかなり血のりを塗られた。扮装部やメイクさんの力はすごいなと思いました。合計で2時間くらいつるされました」と明かし、西郷隆盛役の鈴木亮平が「ごめんな晃吉」と言って、つるされている田上を置いて食事に行ってしまったことも暴露して、笑いを誘っていた。

　拷問シーンは、この日の司会も務めたNPO法人まちづくり地域フォーラム・かごしま探検の会の東川隆太郎氏が監修。実在した中原は、右手が不自由だったようなので、拷問する時は「右手を集中的に」と助監督に助言したという。

　田上は役作りに関して「役作りのため2回、鹿児島へ帰り、中原さんのお墓参りをしたのと子孫の方々からもいろいろと話を聞きました。しかも、子孫の方がたまたま僕の高校の後輩だったんです」と不思議な縁を感じたよう。「中原という大役をいただいてそれを皆さんと見ることができて、忘れない1日になった。この後の2回は、皆さんの生きてきた人生が重なり、撮影中も涙、涙でした。この作品が終わっても、先人がつくりあげてきた鹿児島というアイデンティティを忘れずに一層頑張っていきたいです」と話していた。

　青木は役作りの上で夜な夜な田上さんに電話をかけて相談していたという。田上は、その相談を東川氏にしていたといい、奇しくもその3人が舞台で共演することに。

　第45回で、久光がくしゃみをする際にいった「だしちっ」という音は、田上が青木に伝授したもの。田上は「実際に小学校のころ所属していたスポーツ少年団の監督が使っていたのを思い出した。本番でもしっかりやりきる青木さんがすごいなと思った」と話していた。また同シーンで高橋光臣演じる海江田武次が久光のモノマネをしたのに関しては、青木が「俺ならこうする」という言い方を伝えて、実際にそれを高橋がマネをしたもの。

　田上は「青木さんは着眼点がおもしろい。今回も独特の久光像でインパクトが大きかった。役者としても本当にタメになった」と、リスペクト。青木は「最後のシーンはぐっとパンチのあることばは何かと探った。西郷と久光のキーワードはやっぱり斉彬。『やっせんぼ』はしびれるワード。役がおわってさみしい。こういった場で改めて話せるのが本当にうれしい」と話していた。

　9日放送の第46回「西南戦争」では、50年ぶりの雪の中、西郷（鈴木）は私学校の生徒たちと共に政府の真意を問いただすため東京へ向けて進軍する。西郷が立ったことに衝撃を受けた大久保（瑛太）たちは直ちに征討令を発する。賊軍となった西郷たちは戦う覚悟を決めるが、激しい戦闘の中、小兵衛（上川周作）は戦死、菊次郎（今井悠貴）は足を銃弾で撃ち抜かれ、次第に劣勢となる。敗戦が色濃くなる中、西郷は軍の解散を宣言する。