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ボクサー高野人母美、突然の引退と渡米から1年「生理も止まった、それでも勝てる強い体がほしい」

 高校卒業の2006年、モデルとしてデビューし、“9頭身美女”として活躍してきた高野人母美(ともみ)。2010年に初観戦したボクシングに魅せられ、3年後にライセンスを取得。モデル兼プロボクサーの“モデルボクサー”となった。美貌と計量時のド派手なパフォーマンスが話題を呼ぶなか、2015年には第2代東洋太平洋女子スーパーバンタム級の王者に。そんな実力と話題性を兼ね揃えた彼女が、昨年、日本ボクシングコミッション(以下、JBC)を突如引退し、単身渡米。その選択には、彼女らしい生き様があらわれていた。

トレーニング後、すっぴんで取材に応じた高野。美貌は健在だ。撮影/臼田洋一郎 (C)oricon ME inc.

トレーニング後、すっぴんで取材に応じた高野。美貌は健在だ。撮影/臼田洋一郎 (C)oricon ME inc.

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■恵まれてはいた、でもボクシング界にある古い慣例が窮屈だった

 人気と実力を兼ねていただけに、高野のJBC引退に驚いたファンも多かった。当時は、さまざまな憶測が飛び交ったが、あれから約1年。本人に改めて決断の真意をたずねると「いろんなタイミングが重なった」「必然だった」と振り返った。

「恵まれた環境のジムにいて、専属のトレーナーがいて、何でもしてもらえる。ありがたい半面、ボクシング界にある、さまざまな古い慣例に窮屈さも感じていたんです。もっと自分らしく自由にボクシングがしたい。契約期間満了は“新たな挑戦の時期”というシグナルではないか、と、ジムを辞めてJBCを去る決断をしました」

 新しい道を模索するなか、偶然知り合った人の息子がロス在住のアマチュアボクサーだと知り、縁を感じて渡米を決意した。4日後にはアメリカに渡ったが、頼りにしていたその人物と音信不通になってしまう。

「仕方ないからハリウッドで一番有名なボクシングジムを調べて“アポなし”で行ってみました。“私、こういう人間なのですが、練習させてくれませんか?”と。そしたら、拍子抜けするくらい簡単に“OK”が出た。やっぱりアメリカは夢を追う人たちが世界中から集まる場所なのでしょうね。フィリピン人のトレーナーさんが、同じアジア人のよしみで“僕がみるよ”と言ってくれたので、今は彼の指導のもと練習に励んでいます」

■世間のイメージとのギャップに苦しんだ、日本プロ時代

 JBCに所属していた2013年〜2017年の5年間、高野は常に話題の人だった。試合前日の計量時に、ウエディングドレス姿やタトゥーペインティングが施されたトップレスを披露し、注目を集めた。

「ボクシングはエンターテインメントだと思っているので、私が面白いことをやってニュースになれば女子ボクシングが盛り上がるんじゃないかと思っていました。“自分にしかできないことをやる”というのが、私のモットー。タトゥ―は3時間、アバターのコスプレなんて5時間もかかったんです。減量してヘロヘロになっているから、本当に大変でした(笑)」

 注目を浴びるにつれ、世間やファンたちの期待は高くなった。「夢を与える人でいるべき」という周囲からの助言もあり、「夢は世界チャンピオンです」と公言していたという。しかし、2015年11月、初の世界戦でKO負けを喫してしまう。

「実力が追いついていませんでした。世の中が求める「高野人母美」像と、本当の自分のギャップが苦しかった。振り返ってみると、日本プロ時代で一番辛い時期だった気がします」

 そんな葛藤を抱えていた2017年5月、試合直後に自転車事故に遭った。脚の骨を3本骨折する大けがを負い、リハビリの日々を送ったが、この出来事がボクシングに対する想いを強くする。

「もっと強くなりたい、もっと戦いたいと思うようになったんです。そんな高みを目指したいという気持ちが、“JBC引退”につながったのかもしれません」

体脂肪8%で生理も止まった、それでも勝てる強い体がほしい

 渡米した当時、53キロだった体重も10キロ増えた。日本人とは違い、外国人は体が大きい。スパーリングすると打ち負けてしまうため、食事やトレーニングで筋肉量を増やしたという。“洋服を見せる”といったファッションショーや雑誌のモデルは「筋肉がありすぎる。服が入らないからできないかも」と笑う。

「体脂肪8%で生理も止まっているし、友人には“後ろから見たら男だよ”と言われちゃうけど。でも、私の仕事はボクシングなので、勝てる強い体づくりが永遠の課題です。キッチンがない一軒家を格安で借りて暮らしているので、電子レンジを使った料理がすっかり得意になりました。ちゃんとお米も炊けるんですよ。米もパンもトルティーヤも、なんでも食べます」

■グローブ片手に世界中をまわりたい、世界には196ヵ国もあるから

 日本を飛び出し、改めて世界が広いことを知った。そして今、新しい夢もできた。

「今年5月、アメリカのボクシングライセンスを取得しました。ただし、ビザが取得できていないのでファイトマネーが発生する試合はできないのが現状です。弁護士さんに手続きを進めてもらっているので年内には取れると思います。来年1月5日には、アメリカで初めて試合をする予定です。やるからには絶対に勝ちたいですね。当面の目標は、仲間やサポートしてくれる人たちと「チームともみ」をつくり、チーム一丸となって世界に挑戦したいです。アメリカにこだわらず、どこに行ってもいい。世界には196ヵ国もあるんだから、グローブ片手に世界中をめぐりたいですね。もう一つの夢は本を出版すること。自分から見ても「私の人生、面白いな」と思うので、全部まとめて1冊の本にしたいです」

(インタビュー・文/高倉優子)

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