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神谷浩史が驚いたアニメと吹替えの違い「スリリングなことが起きている」

 『夏目友人帳』の夏目貴志役、『進撃の巨人』のリヴァイ役など数々のアニメーション作品に出演し、ナレーターやラジオのパーソナリティーも務める声優・神谷浩史。デビューから来年で25年目を迎える彼が、10月4日から海外ドラマ専門チャンネル「スーパー!ドラマTV」で放送される『BELOW THE SURFACE 深層の8日間』の主役・フィリップ・ノアゴー役の日本語吹替えを担当する。「アニメは役者が頑張れば物語に影響を与えることがまれにあるけど、海外ドラマはありえない」「演技のアプローチがアニメと違う」など、外画&海外ドラマの吹替えを中心に活動している同業者と共演して感じた“声優業”の違いや日本語吹き替えの魅力を伝えた。

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■北欧ドラマ吹替えは苦労 言語わからず「アフレコ終えても最後まで慣れたかどうか…」

 同ドラマは、近年ヨーロッパで頻発しているテロ事件を題材にした、デンマーク発のサスペンスアクション。ある日、首都・コペンハーゲンの地下鉄で人質テロが発生し、テロリストと特殊部隊の攻防を事件に絡む人々の心理や人間関係に焦点を当ててリアルに描かれる。神谷は過去にトラウマを抱えながらも、テロ事件の犯人に果敢に立ち向かう主人公フィリップを演じる。

 北欧ドラマ初挑戦でデンマーク語を聞いた感想は「全くわからないですね! デンマークは、食器のロイヤルコペンハーゲンくらいの印象しかなかったので」と笑い、「言語自体にはフランス語とドイツ語の中間のような感じは受けていましたが、一番困ったのは、デンマーク人の気質。『この人怒っているのかな?』『冗談を言っているのかな?』など、ニュアンスがわからない。文化や国民性も気になるところでした。英語ならある程度、単語レベルで聞き取って『ここを言っているな』と理解できるのですが、残念ながらデンマーク語は、何を言っているか見当がつかない。そこは非常に苦労しました。アフレコを終えて、最後まで慣れたかどうかわからないです」と告白。

 「コペンハーゲンで地下鉄テロが起きるドラマなのに、割と静かに淡々と物語は進んでいく。例えば、日本の丸ノ内で8日間にわたって人質事件が起きたら、とんでもない事件ですよね。なので、『日本に置き換えるとどの辺?』『日本だと、どのレベルの事件なのか』など、置換作業を自身で行い納得することをしていたと思います」と収録を振り返る。

 また、「台本を作る作業は今作、デンマーク語を理解できる方が、まず日本語に訳す。その訳されたものを台本化するために、もう一人、間に入って作り二重の手間がかかっています。最初に訳された方の意思を、さらに違う方の意思でセリフ化するため、複雑だったと聞いています。『このセリフはどういう意図ですか?』など違和感があるところがあって、直した方が日本語、シーン的にマッチすると提案したり、音響監督から変えましょうと言われたりしました。アフレコ現場で、日本語版としてクオリティーを上げるための、もう一つの努力がありました。その部分は特殊かなと感じましたね」と明かす。

■アニメと吹替え、アフレコの違いは「答えが返ってくるかこないか」

 アニメへの出演が目立つ神谷だが、『ハンガー・ゲームシリーズ』『バットマン VS スーパーマン ジャスティスの誕生』など洋画や海外ドラマの吹き替えも数々担当している。アニメと洋画・海外ドラマのアフレコの違いについて「違いの質に関してはそこまで変わらないと思います。国産の作品は監督がいて、『その人が作りたい物を作る』というアプローチの仕方なので、すでに答えがある。海外作品の場合だと、役者がいて映像ができあがっているため、どういう意図でこのシーンが作られたのかは、役者の方々は理解した上で演じていると思いますが、僕ら声優はそれを聞くことができないので、わからないことはあります」と説明。

 「『このシーンはこういう意図で作られていました』と後から言われると困ってしまうので、日本人が観てこのシーンを理解するために必要な情報を、セリフで動かしていく作業が日本語吹き替え版。『シーンの意図』より、この後このシーンが繋がる為に『こういう芝居をした方がいいだろう』ということを大事にしています。前後の繋がり、役者さんの表情、言語のニュアンスなど、音響監督さんにズレていないか判断していただいて。元の作品について『このシーンはどういうことを求めていますか』と聞いても、答えが返ってこない点は
海外ドラマは、アニメーションと違うかもしれません。ですが、お芝居で出す音や音響監督さんと話し合って作るという点は変わらないですね」と違いと共通点を語った。

■外画メインの同業者の演技に驚きと賞賛 「彼らは正解の音を本能的にできる」

 当たり前だが、アニメでキャラクターに声を当てるのも洋画・海外ドラマで吹き替えをするのも声優の仕事。しかし、神谷はアフレコ現場で、同じ“声優業”でありながら違いを感じたという。「アルファ役の花輪英司さん、夏目友人帳で共演したルイーセ・ファルク役の安藤瞳さん以外は初めて会う方々。その方々の演技を見て、みなさん恐ろしいほどできる! 海外作品を主戦場にしている共演者の方からすると『アニメーションって、どうやって声をあてるんですか? だって絵がないじゃないですか。すごいですよね』とおっしゃって。でも、こちらからすると、彼らは情報が圧倒的に少ない中で、元のニュアンスと絵を見て正解の音を本能的にできる人たち」と話す。

 「アニメーションだと、監督が居て正解を持っている以上、その正解に寄せるため聞けば答えが返ってくる。そういう環境でやっているので、アプローチがわからなければ聞けばいい。台本のト書きにもヒントがあるので、考えて言えばいい。漫画など原作があればそこに答えがあったりするので事前に勉強ができる。ですが、海外ドラマだと完成品として存在している以上、それに対する解説書などがない。その中で本能的に今までのキャリアで培ってきた感性の鋭い方々が、テストの段階から正解としか思えない音を出すんです。僕は『果たしてこれであっているのだろうか?』というところから始まって、『こういう意図でやりましたが、これであっていますか?』と聞いて、『OK』をもらってから自信を持ってやる。改めて、アニメーションを多くやってきた僕と外画をメインにしている方のアプローチの違いは感じましたね」と驚きながら振り返る。

 さらに、共演者の役作りも驚いたという。「『このキャラクターは、なにか理由があって仕方がなくこの行動をしているに違いない』と推測を立てていた。それを見て、この人たちは、先々のことを読んで役作りも要求されているんだなと思いました。アニメーションのオリジナル作品をやっている以上に、スリリングなことが起きているんだという感覚はありましたね。アニメーションと違って、原作を読んで聞けばわかるものではないと。日本のオリジナルアニメの場合、人気が出ないキャラだったら今後の活躍は控えたりだとか、脇役のキャラだったのが急に人気が出てメインで活躍させたりなど、演じた役者の頑張りで、まれにですが物語に影響を与えることがある。でも、海外ドラマはそんなのはありえない。こちらがいくら頑張っても向こうのさじ加減でいつの間にかキャラが居なくなったり、主人公が亡くなったりもする。なのでスリリングな現場だなと思います」と、現場で受けた刺激を伝えてくれた。

ヘアメイク:NOBU(HAPP'S)
スタイリスト:村田友哉(SMB International)

関連写真

  • 日本語吹替えを担当した神谷浩史 (C)ORICON NewS inc.
  • 海外ドラマ『BELOW THE SURFACE 深層の8日間』主役の日本語吹替えを担当した神谷浩史 (C)ORICON NewS inc.
  • 海外ドラマ『BELOW THE SURFACE 深層の8日間』主役の日本語吹替えを担当した神谷浩史 (C)ORICON NewS inc.

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