俳優の唐沢寿明（55）がテレビ東京開局55周年特別企画ドラマスペシャル『あまんじゃく　元外科医の殺し屋が医療の闇に挑む！』（24日　後9：00）で演じるのは、元外科医の殺し屋。もともとは大学病院で優秀な外科医として働いていたが、恩師の教授に裏切られたことから殺し屋稼業に足を踏み入れることとなる。病院の顧問をしていた弁護士経由で仕事の依頼を受け、法の裁きを擦り抜け悪事を働く医者を次々に始末していく。それも、銃や刃物ではなく、最先端の医学の知識を利用した手口で完全犯罪を成し遂げていく。

【写真】その他の写真を見る

　「必殺シリーズのような、『晴らせぬ恨みを晴らします』とか『世のため人のため』とか、そういうことでもないんだよね、このドラマは。自分が演じた折壁も、正義の味方では決してないし、登場人物のほとんどが悪人という…。さらに、もっと深い闇があるんです」。

　原作は、藤村いずみ氏による同名小説。一時絶版となっていたが今回のドラマ化を機に復刊した。実は、8年前にも唐沢主演で実写化する企画があったが、実現には至らなかった。「いつか映像化できたらと長年思っていたので、実現できてうれしかったです。出会ってから8年経って、まさかやれるとは思っていなかったから」。

　唐沢を魅了したのは、元外科医の殺し屋という設定でも、悪事を働く医者を懲らしめるところでもなく、「うああ！　そうだったの？　という展開の面白さ。殺し屋稼業に加担した主人公が、いつしか巨大な陰謀に巻き込まれていく。視聴者が思わず驚くようなシーンもあると思います。『デスペラード』のアントニオ・バンデラス（※）かと思うようなガンアクションもあるラスト30分を見るだけでも価値があるんじゃないかな」と、ちゃめっ気たっぷりに笑った。（※）アントニオ・バンデラスが主演した映画『デスペラード』は撃って撃って撃ちまくるド派手な銃撃戦のシーンで有名。

　日本で銃撃戦（？）。なんだか、信じがたいけれどあっても不思議ではない、と思えて胸がザワザワしてくるのが、『あまんじゃく』の物語なのだ。『99.9 -刑事専門弁護士-』（TBS）などの木村ひさし監督による、緊張感あふれる映像にも期待が高まる。

　「自分自身も攻めた事をやっていきたいと常に思っています。仕事をしていて、自分はこれで勝負したい、という感情がふつふつと湧き上がってくるようなものに出会いたいし、出演するからには、常に新しい挑戦だと思って演じたい。同じことを繰り返しているだけだと面白くないでしょう。やる時は本気でやらないと。それが当たるか、当たらないか、で言ったらゼロか100か。中間くらいで終わるのが一番面白くないと思うから」。

　唐沢はこの『あまんじゃく』のほかに、テレ東で10月クールのドラマBiz『ハラスメントゲーム』にも主演。こちらでは、セクハラやパワハラなどの“ハラスメント”問題を奇抜なアイデアで解決していく、老舗スーパーのコンプライアンス室長を演じる。

　「平成」の30年間を俳優として第一線で活躍し続けたてきた中で、最後の年に正反対ともいえる役どころに連続して挑むことに何か、思うことはあるかと聞いてみた。「いろいろ乗り越えてきたといえば、乗り越えてきましたね。平成の最後というのは意識していなかったけど、チャレンジングな作品に参加できたというのは、いい節目になるかもしれません。いまだに面白いことをやりたい、とんがった企画もやってみたいと思いながら俳優を続けていられてよかったと思います」。

■放送情報
テレビ東京開局55周年特別企画ドラマスペシャル
『あまんじゃく　元外科医の殺し屋が医療の闇に挑む！』
9月24日（月・休)　後9：00〜11：08

テレビ東京開局55周年特別企画
ドラマBiz『ハラスメントゲーム』
10月15日スタート、毎週月曜　後10：00（※初回15分拡大）