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【2018年のネタ番組 Vol.2】『ネタパレ』セット&トークにこだわった演出の“狙い”

 2000年代前半から後半にかけて『爆笑オンエアバトル』(NHK)、『エンタの神様』(日本テレビ)、『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ)など各局のネタ番組がにぎわい、一躍ブレイクを果たす芸人が次々と生まれた。そこから10年あまりが経った現在、テレビでは規制強化や制作費削減などが叫ばれ、Abema TVやAmazon Prime Videoといったネット動画配信サービスに大物芸人が出演するなど、バラエティー番組を取り巻く環境は一気に変わりつつある。

 そんな中、次世代のスター発掘、売れっ子たちの豪華共演などといった見どころを提供してきたネタ番組はどうなっているのか。今回は『2018年のネタ番組』と題して、趣向を凝らした演出を行っている2番組に注目して、ネタ番組の現在と今後の展望を探っていく。2回目は、ウッチャンナンチャン南原清隆陣内智則NEWS増田貴久という座組で、旬な芸人から若手芸人まで幅広い層のネタを見守る『ネタパレ』(フジテレビ)。チーフプロデューサーの木月洋介氏に番組の狙いと今後の展望を聞いた。

■キャラからネタへ路線変更のワケ 新星発掘への熱い思い

 2016年4月に、前身番組『超ハマる!爆笑キャラパレード』(『キャラパレ』)が土曜午後7時の“ゴールデン帯”でスタート。「しゃべり方、顔つき、動き、理不尽さ、非常識さなど“まわりにいそうな”人のくせや特徴を芸人たちが演じる」がコンセプトとなっていたが、木月氏は立ち上げの経緯を次のように説明する。

 「『ピカルの定理』(※)を担当していた時に、芸人さんたちが前室でやっていたミニコントキャラみたいなもの、1本のネタとしては昇華しないものを見ていて『これを何か形にできないかな』と感じていました。コントにするにはオチをつける必要がありますが、あえてそうせずにキャラだけにスポットを当てて短い“ネタ”として見せるやり方は新鮮だなということで始めてみました」。
※ピース、平成ノブシコブシ渡辺直美らが出演していたコント番組。2010年10月に同局ローカルの深夜枠でスタートし、13年4月から9月までゴールデン帯で放送された。

 ネタが終わった後のトークも、あくまでキャラになりきって行うなど、演出にもこだわってきた『キャラパレ』では、アルコ&ピース平子祐希扮する“意識高い系IT社長”の瀬良明正、ロバート山本博扮する“年間300本のドラマ出演をこなすエキストラ”の今川さんを筆頭に、人気キャラクターを輩出。平野ノラ阿佐ヶ谷姉妹横澤夏子ゆりやんレトリィバァなども個性的なキャラで番組を盛り上げてきた。それでも、こうした番組の「面白い空気」を伝えることに苦心したという。「ゴールデンで通用するのかというところからスタートしましたが、結局通用する前に終わってしまった(苦笑)。いろいろなキャラが生まれて話題にはなって、『キャラパレ』に出てくれていたくっきーさんも今では大ブレイクしていますが、キャラを楽しむことが浸透する前に深夜に移行するという話になりまして…。そこでキャラだけにこだわると出演できない芸人さんもいるので、いろいろと考えて“ネタ”でいこうという話になりました」。

 こうした流れから、昨年4月に『ネタパレ』として毎週金曜の午後11時30分からの放送で新装開店。キャラからネタへのシフトチェンジには、若手芸人発掘への思いも込められていた。「今って若手芸人の方々が出られる番組が少ないじゃないですか。そういう部分は、テレビ局の機能として持っておかなければいけないと思ったのですが、ド若手すぎる芸人さんがいきなりキャラで出ていくと、もともとどんな人なのかフリがきいてないから視聴者の方も飲み込むのが難しいですよね。深夜にいくに従って、キャラをやる人はやっていただいて、そうじゃない人は持ちネタを披露してもらうというように少し自由にしてみようと考えました」。

 南原、陣内、増田とゲストたちが観客と一緒に真正面からネタを鑑賞するステージとなっているが、この見せ方にはこだわったという。「セットは相当お金をかけました。芸人さんが芸をしやすいシステムは何なのかということを考えて、やっぱりシンプルにお客さんに正面から見ていただくのが一番だなと。ちゃんと芸人さんたちの視界にお客さんがいるステージにして、笑い声が逃げていかない密閉した空間がいいので、そういう部分も意識して作りました。おかげさまで、出ていただく芸人さんから『非常にやりやすい』と言っていただけます」。

■ネタ後のブレイク見据え“トーク”重視の演出 ネタ番組復権へ「次の文化を作る気持ちで」

 出演芸人の選定はどのように行っているのか。「基本的にはオーディションで探していて、最近はものすごい回数、開催してます。今は番組のテイストが『いまだ見ぬ若手を発掘する』方へとシフトしてきており、『ショートネタパレード』というコーナーや、トークの部分でも何とか若手芸人さんの魅力が伝わればと考えながらやっています。ちなみに今週は3時間のオーディションを2回くらいやって、3時間だったら30組くらいのネタを一気に見ることになるのですが、もう大変で何が面白いのかわからなくなってきてしまうこともあるようで(笑)。それは半分冗談ですが、それくらい現場のディレクターたちが頑張ってくれているので、これからの放送でも見たことないような芸人さんがどんどん登場してきますから、その辺りも期待して見ていただけるとうれしいですね」。

 前回の『にちようチャップリン』の伊藤氏のインタビューとも共通しているのは、この番組をきっかけにブレイクする若手芸人が誕生してほしいという思い。『にちよう〜』では、年間を通してチャンピオンを決める大会「1年ぶっ通しお笑い王決定戦2018」という“賞レース”に近い演出を行っているが、『ネタパレ』ではネタ後のトークコーナーに力を入れている。「ネタが面白くて、いろいろなバラエティー番組にいざ出ていくという時に、ほかの芸人さんとの絡みや、グループでの笑いをどうやって作っていくかという“平場力”というのが求められてくる。そこで、最近はトークコーナーを重視していて、南原さんたちとのトークの中から『これはイケる!』という鉄板のやりとりが生まれたらいいなということを考えながらやっています」。こうした演出の裏には“フジテレビ”に受け継がれてきたノウハウが隠されていた。

 「ウチは、どの番組でもそうなんですけど、いい意味でも悪い意味でもウェットだなと感じます。言い換えると『タレントさんに対してしっかり向き合う』ということで、芸人さんに恥をかかせたくないということに対する葛藤や、この番組は誰がやっても同じではないよというのをどう出すのか…、というのは僕自身も先輩たちから学んできた部分です。だから、『ネタパレ』の裏テーマとしては、番組を担当している若手ディレクターの成長というのもあります。やっぱり芸人さんとしっかり向き合うと『笑いって、こういう風に考えて作っているんだな』というのがだんだんわかってきて、それが成長していく上でのプラスになりますから」。

 ネタが評価された後のことも見据えた演出を行っている木月氏は、ネタ番組の現状をどのように捉えているのだろう。「視聴率が厳しいですね。ただ、昔で言えば『THE MANZAI』、2000年代であれば『エンタの神様』や『レッドカーペット』といったようなネタ番組のブームも定期的に起きていますよね。それで、過熱して、枯渇していき、飽きられていく…。経済の波と同じです(笑)。だからといって、ネタ番組をゼロにするのは良くないと思うので『次の文化を作る』くらいの気持ちで作っていく必要があるなと感じています」。

 『有田Pおもてなす』(NHK)、『ウチのガヤがすみません!』(日本テレビ)、『イッテンモノ』(テレビ朝日)、『有田ジェネレーション』(TBS)といったように各局さまざまな形で展開している2018年のネタ番組。木月氏の言葉を借りれば「次の文化を作る」という気概を感じるラインナップがそろっている。そんな中、「日本一豪華なネタ番組」をコンセプトにしたフジテレビ系バラエティー特番『ENGEIグランドスラム』が今月29日に初の生放送に挑戦することが決定。新たな波はもうすぐそこまで来ている。



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