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別れの歌の新定番「リメンバー・ミー」誕生秘話 『アナ雪』のヒットメーカーに聞く

 16日より公開中のディズニー/ピクサー映画『リメンバー・ミー』。今月4日(現地時間)に発表された『第90回アカデミー賞』で長編アニメーション賞と歌曲賞の2部門を受賞しているとおり、主題歌「リメンバー・ミー」が物語の鍵となる、これまでのディズニー/ピクサー作品にない試みで大ヒットを呼び、高い評価も得ている。この「リメンバー・ミー」は何を思って、どうやって誕生したのか? リー・アンクリッチ監督と、「リメンバー・ミー」の作詞作曲を手掛けたクリステン・アンダーソン=ロペスロバート・ロペス夫妻に話を聞いた。

■監督からのオーダーは「同じ曲なのに違う曲のように聴こえる」曲を

 『トイ・ストーリー3』(2010年)でアカデミー賞長編アニメーション賞と歌曲賞のW受賞を果たし、『リメンバー・ミー』で2度目の同2部門ダブル受賞という、アカデミー賞史上初の快挙を成し遂げたアンクリッチ監督。2月に来日した際に、ロペス夫妻にどのようなオファーをしたのか聞いた。

 監督は「『リメンバー・ミー』というタイトルで、テンポや音調を変えると同じ曲なのに違う曲のように聴こえて、歌詞も異なる解釈ができるような曲を作ってほしいと依頼しました。子守唄のように静かに歌うこともできるし、オーケストラの派手な演奏をバックに歌い上げることもできる。そして、メキシコの死者の日に起きる物語なので、亡くなった人とどう向き合うのか、ということに関連付けられる楽曲にしてほしいとお願いしました」。

 そして、ロペス夫妻が仕上げてきた「リメンバー・ミー」について、アンクリッチ監督は「シンプルなメロディ、歌詞にもかかわらず、死者の日のテーマ、この映画のテーマをすべてカバーしていて、本当に素晴らしい仕事をしてくれました。ご存知のとおり、ピクサーではストーリーを練りに練っていく過程で、いろいろなアイデア、シーン、せりふなどが変わっていくのですが、唯一変わらなかったのは、この楽曲でした。ひと言も一音も変えていません。むしろ、早い段階からこの曲があったおかげで、作品づくりの拠り所になってくれました。本当に感謝しています」と、褒め称えた。

■45分で書き上げた歌詞には「個人的な何年分もの経験も込められています」

 ロペス夫妻は、演劇界のアカデミー賞であるトニー賞3部門受賞の『アベニューQ』、9部門受賞の『ブック・オブ・モルモン』を手掛けた後、映画『アナと雪の女王』の主題歌「レット・イット・ゴー」でアカデミー賞歌曲賞を受賞したヒットメーカー。米ニューヨーク在住の2人とはテレビ電話でインタビューを行った。曲が完成するまでの経緯を2人は次のように説明した。

 ロバート「実際に曲を書き始める前に、私たちはピクサーで曲についてたくさん話し合い、メキシコ音楽について多くのリサーチをしています。メキシコの音楽的な伝統に忠実な曲にしたかったからです。さまざまなスタイルの曲をたくさん聴きました。特にエルネスト・デラクルスのヒントとなっているアーティストたち、ホルヘ・ネグレテやペドロ・インファンテの曲をなじみ深くなるまでたくさん聴きました。

 それで、最初の『♪リメンバー・ミー』をどうやって思いついたかなんですが、実はよく覚えていない(笑)。家にいて、フッと曲が降りてきて、パジャマのままピアノまでダッシュして、あとは一気に書き上げました。私の場合、メロディを書こうと決めて椅子に座ると、すぐにメロディが出てきます。本当にあまり長くはかかりません」。

 “曲先”で生まれた「リメンバー・ミー」に、クリステンが歌詞をつけた。ロバートが続けて、「彼女はブルックリンからマンハッタンまで、地下鉄に乗っている間に歌詞を仕上げます。電車から降りてきた時の彼女は完璧です(笑)。数え方によっては、2時間でできたとも言えるし、(打ち合わせ・リサーチ期間を含めて)3ヶ月とも言えるね(笑)」。

 クリステンが補足する。「Fトレインでブルックリンの7番街からマンハッタンの中心まで、だいたい45分ですね(笑)。でも、それ以前に、何ヶ月も、この曲について話し合っています。それから、私自身がこれまでに2人の娘たちを置いてツアーに出たり、子どもたちを寝かしつけるために子守唄を自作したりしていますから、個人的な何年分もの経験も込められています」。

■「真心で書いた楽曲は人々の心にも伝わる」

 『アナと雪の女王』に続き、『リメンバー・ミー』でも映画も主題歌も世界中で大ヒット。子どもの心をつかみ、大人にも響く名曲を生む秘けつは何か。

 クリステン「自分たちの中にある本当の真心で書いた楽曲には、そういう気持ちがすべて歌にすり込まれ、その感情が音楽の中に伝わり、人々の心にも伝わるのではないでしょうか。私に言えるのはそれくらいのことです。実際、私たちは『リメンバー・ミー』を手掛けた時、私たち自身が2人の娘に別れを告げる時、彼女たちが巣立つ時、または、私たちがいつの日が別の世界(それがどこであるにせよ)へと旅立つ時にも、娘たちと心でつながり続けていたいという思いからこの曲を書いたことは確かです。娘たちが心に抱き続け、私たちとつながっていると感じ続けられる曲になるように、私たちは『リメンバー・ミー』を書きました。

 そして、この曲をロバートのお母さんのお葬式でも歌いました。彼女は昨年8月に亡くなりましたが、私たちにとってこの曲は大きな癒しになっています。彼女とつながり続けていると思えるすべとして。ですから、悲しみや喪失を味わっている人たち、または、家族と疎遠になっていることに後ろめたさを感じている人たちが、この曲に共感を抱いてくれたらうれしいです。音楽を使って自分の中にある愛情を生かし続ける歌ですから」。

 映画が公開されてから、夫妻のもとにはさまざまな反響が届いているという。クリステンは「ツイッターを通して、ちょうど叔母さんの葬儀を終えたばかりという人や、週末に父親の葬儀を終えたばかりという人から、お葬式で『リメンバー・ミー』を歌ってとても癒しになった、故人との心のつながりを感じるのに役立った、といった報告をたくさんいただいています。どこかの誰かが私たちの歌で気持ちが楽になっていること、私たちが世に出したものが人々の助けになっていること、それは私にとって、とても意味深いことです」。

 ロバートは「私が思うに、『リメンバー・ミー』は、『レット・イット・ゴー』よりもささやかな歌です。素朴な短い歌ですが、どうやら人々に心的なインパクトを与えているようですね。『あの映画を観ていて、君たちの歌のところで泣いてしまったよ』と言ってもらえることが何よりもうれしい。なぜなら、映画に使われるための歌で一番大切なことは、その曲がいかにその映画に役立っているかであって、必ずしも、その歌だけが目立つことではありませんからね。それにしても、『リメンバー・ミー』のような一つの歌曲で物語を紡ぎ、サプライズまで担っている映画を私はほかに知りません」と話していた。

 歌うキャラクター、シーンによってさまざまな“思い”を語りかけてくる「リメンバー・ミー」。日本語吹き替え版では、主人公の少年ミゲル役の13歳の石橋陽彩が素晴らしい歌声を披露しているほか、ヘクター役の藤木直人、イメルダ役の松雪泰子、デラクルス役の橋本さとしが「リメンバー・ミー」を歌っている。日本版エンドソングを歌うシシド・カフカ feat.東京スカパラダイスオーケストラのバージョンも含めて、歌曲にも注目して観てほしい。



関連写真

  • 映画『リメンバー・ミー』の主題歌を作詞作曲したクリステン・アンダーソン=ロペス&ロバート・ロペス(C)2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
  • 映画『リメンバー・ミー』リー・アンクリッチ監督 (C)ORICON NewS inc.
  • ディズニー/ピクサー映画『リメンバー・ミー』(C)2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

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