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デビュー20年、異色ジャニーズ・生田斗真が「俳優でいく」決意をした瞬間

 今年で俳優デビュー20年を迎えた生田斗真。ジャニーズ事務所に所属しながらも歌手デビューすることなく、演技の道を志した理由とは? キャリアと実力を兼ね備え、いまや日本映画界で確固たる立ち位置を築いた生田。これまで模索してきた道のり、そして30代男性のリアルな“揺らぎ”を語った。

◆初めてカメラの前で演技をしたことは鮮明に覚えている

 生田斗真が、生徒に思いを寄せられる高校教師を演じた主演作映画『先生! 、、、好きになってもいいですか?』(10月28日公開)。本作は、三木孝浩監督作『僕等がいた 前・後編』(2012年)から5年後、生田が久しぶりに挑戦したラブストートーリーだ。そして、「今度は30代になった生田斗真を撮ってみたい」という三木監督との“約束”が結実した作品でもある。
 「監督と僕は、年齢は違っても男同士だから。一緒に仕事をしていなかった数年間の経験を作品にどう反映させていくのかということは、競い合いではないですが、お互いに意識していたと思います。そういう意味でも、同じ監督と仕事をするのは成長を問われるようで刺激的ですね。ましてや、20代で演じてきた役とは違う、ひとりの大人の男を演じるということが僕にとっても挑戦でした」

 本作は、生田にとって15作目の映画出演。俳優としてのキャリアは、今年20周年を迎えた。
 「“20”という数字を言われると、愕然とします(笑)。年数は数えたことはないけれど、初めてカメラの前で演技をしたことは、今でも鮮明に覚えています。あの時の興奮、快感、それまで感じたことのない感情とか。それが忘れられないから、今までやってきたのかな」

◆いつかグループを組んでデビューするのかなとは思っていた

 1996年、11歳でジャニーズ事務所に所属し、NHK教育『天才てれびくん』にレギュラー出演。翌1997年にはNHK連続テレビ小説『あぐり』で子役デビューを果たしている。以来、数多くのドラマに出演する一方で、ジャニーズJr.としての活動も行ってきた。しかし、同時期にJr.として活躍していた仲間が関ジャニ∞として次々にデビューしていくなかで、生田自身は少しずつ別の道を模索していた。
 「もちろん、最初の頃はいつかグループを組んでデビューするのかなとは思っていました。でも、なかなかチャンスがなくて(笑)。そう思いながらドラマの仕事が面白くなってきて…。絞るということではなく“よし、俳優でいこう!”と考え、演じることと生きていくことがひとつに繋がったのは、やっぱり演劇に関わるようになってからですね」

 数々の舞台やドラマで着実に力をつけつつあった“俳優・生田斗真”に注目が集まったのは、ドラマ『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』(2007年 フジテレビ系)。その端正なルックスと確かな演技力で、女性を中心に人気を獲得。以後はドラマ『魔王』(2008年 TBS系)や、NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』(2014年)など数多くの作品に出演し、シリアスもコミカルも、そしてアクションもこなせる多面性を見せつけた。

◆劇団☆新感線の舞台を観て大ショックを受けた

 そんな生田の映画出演は2010 年、初主演を飾った『人間失格』。そこからの映画界での活躍は、まさに目を見張るものがある。同年には『ハナミズキ』が公開され、翌年には『源氏物語 先年の謎』で主演。2013年には『脳男』で犯罪者を抹殺する殺人ロボット=脳男をダークかつ苛烈に熱演し、クセ者俳優としての強烈な印象を放った。このころから生田は、これまでのジャニーズの枠組みにハマりきらない、CDデビューをしない“異色の人”となり、俳優・生田斗真として誰もが認める存在となった。だが、本人が“俳優でいく”ことを考えたのは、意外にも最近のことだったという。
 「作品的には、劇団☆新感線の『SHINKANSEN☆RX「Vamp Bamboo Burn〜ヴァン!バン!バ〜ン!〜」』(2016年)に出させていただいたことも大きかったです。かなり前に劇団☆新感線の舞台を観させていただいて大ショックを受けて、憧れて。毎回公演を見続けて、ワークショップにも参加させていただいた。それでやっと念願が叶って出ることができて、ほんとに貴重な経験でした」

 映像だけでなく、あくまで舞台にもこだわる。その勤勉さと志の高さが、演技力だけではなく即興性や瞬発力も培い、幅広い役柄を演じきれる俳優に成長させたのだろう。最近の作品を見ても、映画『土竜の唄』シリーズ(2014年、2016年)では全裸も辞さない体当たりの演技で爆笑を誘ったかと思えば、『彼らが本気で編むときは、』(2017年)では、トランスジェンダーの女性・リンコになりきり、人間の悲しみと居直り、そして慈愛に満ちた存在感を体現して感動を生んだ。

 そして冒頭に紹介した最新作『先生!』だ。このところクセの強い役柄が続いていたが、本作では茫洋とした社会科教師に扮し、大人の男性の葛藤をリアルに演じた。王道のラブストーリーでありながら、求められる役割を的確に表現した生田の演技は、カメラの前に立つことへの余裕すら感じさせる。30代の生田の、等身大の魅力が味わえる作品と言えるだろう。
 「僕が演じた高校教師と同じように、僕自身もまだ揺らいでいる。一人前であろうとは思っても、まだまだいろんな影響を受けて揺らぎながら、中身がだんだん構築されていくんだろうなと思っています」

 10 月30日からは、菅田将暉と共演する舞台『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』が幕を開ける。シェークスピア悲劇『ハムレット』に端を発し、英国演劇界の巨匠トム・ストッパードが書き上げた傑作戯曲だ。不条理劇としても高い評価を得る作品で、30代の実力と揺らぎを体現する生田がどんな演技を見せるのか。大いに楽しみではある。
(文:金子裕子)