昨年、英国のレスター大学が「ベネディクト・カンバーバッチがリチャード3世の血縁関係にあたる」と発表し、話題になった英国の人気俳優カンバーバッチ（『SHERLOCK／シャーロック』シャーロック・ホームズ役）が、シェイクスピア戯曲のリチャード3世を演じた『ホロウ・クラウン／嘆きの王冠』のシーズン2が、今月末（31日）より配信サービス「Hulu」で日本最速配信される。同ドラマで見せる狂気の裏側にある気品あふれる姿は代々受け継がれた血によるものかもしれない。

【写真】その他の写真を見る

　同ドラマは、BBC（英国放送協会）で放送された王冠を繋ぐ男たちの物語を描いたシェイクスピア戯曲ミニシリーズ。2012年ロンドンオリンピックを記念して制作されたシーズン1は、英国屈指の人気俳優であるベン・ウィショー、ジェレミー・アイアンズ、トム・ヒドルストンらが、「リチャード2世」「ヘンリー4世（第1部・第2部）」「ヘンリー5世」をそれぞれ演じ、英国アカデミー賞4冠の高い評価を得た。

　シェイクスピア没後400年を記念し、今年4月に放送されたばかりのシーズン2では、「ヘンリー6世（第1部・第2部）」「リチャード3世」が描かれ、繰り返される哀しみの歴史に翻弄された男たちの美しくもはかない物語は視聴者を魅了し続けている。

　シーズン１と2で描かれる14世紀末から15世紀末までの約100年間に英国の王権は、リチャード2世、ヘンリー4世、ヘンリー5世、ヘンリー6世、エドワード4世、リチャード3世と受け継がれていく。英国の王権が不安定な時代で、ヨーク派とランカスター派の対立はのちに薔薇戦争という形で内戦にまで発展。フランスの領地をめぐり、フランスとの抗争が絶えない百年戦争時代でもあった。

　英国内で薔薇戦争が勃発した時代を描く「ヘンリー6世（第1部・第2部）」でヘンリー6世を演じるのは『パイレーツ･オブ･ロック』で繊細な青年を演じ注目されたトム・スターリッジ。百年戦争後に荒廃したフランスを統一させることに成功したフランス国王ルイ11世を『SHERLOCK／シャーロック』で元数学教授の悪党ジェームズ・モリアーティ役を演じるアンドリュー・スコットが演じている。

　ヘンリー6世を崩御させ、薔薇戦争を制して再び王権に返り咲いたヨーク派。王権を握ったのはエドワード4世だったが、密かにその座を狙っていたのは弟のリチャード3世。シェイクスピアが造形した人物像の中でも、最も残忍な王として描かれたリチャード3世をカンバーバッチが熱演。すさまじいまでの演技力とその存在感で批評家たちからも高く評価されている。

　シーズン1はHuluで全話配信中。シーズン2は5月31日より配信スタート。以降、毎週火曜に1話ずつ更新予定（全8話）。