『DOCTORS〜最強の名医』(テレビ朝日系)シリーズでは傍若無人のキレ気味ドクターを演じ、物凄い形相でハンカチを噛んで「キィー!」として見せたり、現在放送中の『真田丸』(NHK総合)の北条氏政役では、ちょんまげ姿で汁かけご飯をかっ食らって悪い笑い顔を見せる。今、女優No.1の“悪女”が菜々緒なら、男優No.1の“悪役”は間違いなく高嶋政伸ではないだろうか。『真田丸』の演技でも、「高嶋政伸の悪役は天下一品」「完全に悪役で覚醒した」等の声が多数ネットであがっている。芸能一家のサラブレッドであり、“好青年”役のお手本のような高嶋政伸にいったい何が起き、悪役をも承諾できるまでに変貌を遂げたのだろうか?
◆高嶋兄弟として“さわやか好青年”で一世風靡するも、離婚騒動で暗雲
『真田丸』の高嶋の役どころは、真田家と激戦を繰り広げた北条氏政。信長が「本能寺の変」で散った直後の第6回で、真田昌幸(草刈正雄)に信州・上州への侵攻を思いとどまるように説得されると、「北条は織田と約定を交わしておる。攻め込むわけがないではないか」と高笑い。視聴者の誰もが(コレ、絶対裏切るよな〜)と思うわけだが、案の定、明智光秀が秀吉に討たれるとすぐさま出兵する……。“タヌキ”(草刈)や“バカ殿”(家康役の内野聖陽)など、クセ者ぞろいの大河ドラマの中でも、高嶋の北条はひと際うさん臭い存在感を放っている。
かつて兄の高嶋政宏とともに“高嶋兄弟”として活躍し、イケメンで男っぽい兄とは違って、性格の良い弟キャラで人気を博した。代表作と言えばもちろん、「姉さん、事件です」で始まるドラマ『HOTEL』(TBS系/1990〜2002年)。また『ダブル・キッチン』(同系/1993年)での、嫁(山口智子)と姑(野際陽子)の板挟みに悩む夫・よきパパ役、『こちら本池上署』(同系/2002〜2005年)の正義感溢れる警官など、いずれにしろ“いい人”役が多かったのである。言ってみれば、当時の高嶋はトレンディ俳優で、山田邦子と『MOGITATE!バナナ大使』(同系)なるバラエティ番組のMCまでこなしていたのだ。そんな“さわやかな好青年”だったはずの高嶋が、今なぜ悪役なのか?
「現在の悪役のイメージを視聴者に印象づけたのは、2011年のドラマ『DOCTORS〜最強の名医〜』(テレビ朝日系)でのブチ切れ演技でしょう。典型的なプライドの高い医者役で、超傲慢なイヤなヤツでありながら、責められると途端に弱気になるタイプ。主役こそ沢村(一樹)さんでしたが、そうした高嶋さんの弱い部分を平気でさらけ出す“百面相”ぶりが視聴者にバカ受けして、同ドラマはシーズン3まで放映されました」(テレビ誌編集者)
ちなみにこの時期の高嶋は、2007年に結婚した美元とのドロ沼離婚騒動の真っただ中(2012年11月に離婚成立)。本人にとっても相当キツかったのか、2013年の仲間由紀恵主演のドラマ『サキ』(フジテレビ系)の記者発表において、悪女の定義を求められると、「自分自身のことをみじんも悪女と思ってない人が、悪女だと思います」と激白。実際、離婚騒動の際には仕事も減り、体調不良も報じられ、本人は「今までの25年の芸能生活を投げ打っても離婚したい」との名言まで残しているのである(2015年9月に14歳年下の一般女性と再婚)。
◆かつては“好感度の高い次男坊タレント”イメージが先行し、役柄も限定されていた
では、現在の高嶋の“悪役キャラ”も、こうした苦い経験が糧となっているのだろうか? 「いや、そんなに単純な話ではないと思いますね。政伸さんのデビュー当初、“幸せな高嶋一家を訪問する”ドキュメンタリー番組があったのですが、政伸さんはひとりだけ不愛想で、微妙な空気を醸し出していました。代表作のドラマ『HOTEL』のある回でも、ホテルで極道の娘の成人式の着付けとメイクをしたのですが、美容師がミスして娘の片眉を剃り落してしまった。父の親分が激怒すると、政伸さんは謝ると同時に自分の片眉を剃り落してしまったのです。結局、一件落着するのですが、番組のエンディングで片眉がないまま笑顔を浮かべている姿は、もちろん脚本・演出通りなんでしょうけど、どこかソラ恐ろしくて、鳥肌が立ったことを覚えています」(前出の編集者)
今の高嶋政伸の悪役・怪演ぶりがウケているのは、かつての“さわやかな好青年”キャラとのギャップがあることも大きいだろう。ましてや高嶋のデビュー当時は、現在のように二世タレントが溢れ返り、本人も抵抗なく自分自身をネタにするような時代ではなかった。世間のイメージもあり、なかなか自分の“素”を見せることが難しかったのである。高嶋にしても、“好感度の高い次男坊の二世タレント”のイメージが先行し、役柄もかなり限定されてきた感があり、忸怩たる思いがあったのかもしれない。
2014年にWOWOWの連続ドラマW『株価暴落』で共演した俳優の相島一之は、高嶋のことを「私生活のうっ憤を晴らすように張り切っている。ハリウッド映画の悪役みたいな匂いがするところも好きなんですよ」と評していたが、確かに高嶋の演技からは、映画『バッドマン』で究極の悪役・ジョーカーを演じたジャック・ニコルソンや、ヒース・レジャーのような“狂気”が漂ってくることがある。公私ともに紆余曲折を経て、高嶋政伸はここにきて初めて、本来の俳優としての自分の実力を発揮し出したのかもしれない。そんな高嶋政伸が演じる“超極悪”、あるいは久々の“ド正義”な主人公が繰り広げる、重厚で人間臭いドラマを見てみたいものである。
◆高嶋兄弟として“さわやか好青年”で一世風靡するも、離婚騒動で暗雲
『真田丸』の高嶋の役どころは、真田家と激戦を繰り広げた北条氏政。信長が「本能寺の変」で散った直後の第6回で、真田昌幸(草刈正雄)に信州・上州への侵攻を思いとどまるように説得されると、「北条は織田と約定を交わしておる。攻め込むわけがないではないか」と高笑い。視聴者の誰もが(コレ、絶対裏切るよな〜)と思うわけだが、案の定、明智光秀が秀吉に討たれるとすぐさま出兵する……。“タヌキ”(草刈)や“バカ殿”(家康役の内野聖陽)など、クセ者ぞろいの大河ドラマの中でも、高嶋の北条はひと際うさん臭い存在感を放っている。
かつて兄の高嶋政宏とともに“高嶋兄弟”として活躍し、イケメンで男っぽい兄とは違って、性格の良い弟キャラで人気を博した。代表作と言えばもちろん、「姉さん、事件です」で始まるドラマ『HOTEL』(TBS系/1990〜2002年)。また『ダブル・キッチン』(同系/1993年)での、嫁(山口智子)と姑(野際陽子)の板挟みに悩む夫・よきパパ役、『こちら本池上署』(同系/2002〜2005年)の正義感溢れる警官など、いずれにしろ“いい人”役が多かったのである。言ってみれば、当時の高嶋はトレンディ俳優で、山田邦子と『MOGITATE!バナナ大使』(同系)なるバラエティ番組のMCまでこなしていたのだ。そんな“さわやかな好青年”だったはずの高嶋が、今なぜ悪役なのか?
「現在の悪役のイメージを視聴者に印象づけたのは、2011年のドラマ『DOCTORS〜最強の名医〜』(テレビ朝日系)でのブチ切れ演技でしょう。典型的なプライドの高い医者役で、超傲慢なイヤなヤツでありながら、責められると途端に弱気になるタイプ。主役こそ沢村(一樹)さんでしたが、そうした高嶋さんの弱い部分を平気でさらけ出す“百面相”ぶりが視聴者にバカ受けして、同ドラマはシーズン3まで放映されました」(テレビ誌編集者)
ちなみにこの時期の高嶋は、2007年に結婚した美元とのドロ沼離婚騒動の真っただ中(2012年11月に離婚成立)。本人にとっても相当キツかったのか、2013年の仲間由紀恵主演のドラマ『サキ』(フジテレビ系)の記者発表において、悪女の定義を求められると、「自分自身のことをみじんも悪女と思ってない人が、悪女だと思います」と激白。実際、離婚騒動の際には仕事も減り、体調不良も報じられ、本人は「今までの25年の芸能生活を投げ打っても離婚したい」との名言まで残しているのである(2015年9月に14歳年下の一般女性と再婚)。
◆かつては“好感度の高い次男坊タレント”イメージが先行し、役柄も限定されていた
では、現在の高嶋の“悪役キャラ”も、こうした苦い経験が糧となっているのだろうか? 「いや、そんなに単純な話ではないと思いますね。政伸さんのデビュー当初、“幸せな高嶋一家を訪問する”ドキュメンタリー番組があったのですが、政伸さんはひとりだけ不愛想で、微妙な空気を醸し出していました。代表作のドラマ『HOTEL』のある回でも、ホテルで極道の娘の成人式の着付けとメイクをしたのですが、美容師がミスして娘の片眉を剃り落してしまった。父の親分が激怒すると、政伸さんは謝ると同時に自分の片眉を剃り落してしまったのです。結局、一件落着するのですが、番組のエンディングで片眉がないまま笑顔を浮かべている姿は、もちろん脚本・演出通りなんでしょうけど、どこかソラ恐ろしくて、鳥肌が立ったことを覚えています」(前出の編集者)
今の高嶋政伸の悪役・怪演ぶりがウケているのは、かつての“さわやかな好青年”キャラとのギャップがあることも大きいだろう。ましてや高嶋のデビュー当時は、現在のように二世タレントが溢れ返り、本人も抵抗なく自分自身をネタにするような時代ではなかった。世間のイメージもあり、なかなか自分の“素”を見せることが難しかったのである。高嶋にしても、“好感度の高い次男坊の二世タレント”のイメージが先行し、役柄もかなり限定されてきた感があり、忸怩たる思いがあったのかもしれない。
2014年にWOWOWの連続ドラマW『株価暴落』で共演した俳優の相島一之は、高嶋のことを「私生活のうっ憤を晴らすように張り切っている。ハリウッド映画の悪役みたいな匂いがするところも好きなんですよ」と評していたが、確かに高嶋の演技からは、映画『バッドマン』で究極の悪役・ジョーカーを演じたジャック・ニコルソンや、ヒース・レジャーのような“狂気”が漂ってくることがある。公私ともに紆余曲折を経て、高嶋政伸はここにきて初めて、本来の俳優としての自分の実力を発揮し出したのかもしれない。そんな高嶋政伸が演じる“超極悪”、あるいは久々の“ド正義”な主人公が繰り広げる、重厚で人間臭いドラマを見てみたいものである。
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2016/03/25