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高良健吾、デビュー10年目の心境 「自分に興味がない」

 俳優デビュー10年目を迎えた高良健吾。映画を中心に数多くの作品に出演しながら、そのたびに身を削るように作品に入り込み、役柄を自分の一部にしてにじみださせる演技は、廣木隆一監督ほか多くの監督からの厚い信頼を得ている。そんな高良の最新作『悼む人』は2月14日から公開され、現在はNHK大河ドラマ『花燃ゆ』高杉晋作役の撮影の真っ最中。彼の色に染まる新しい高杉像を期待させる高良に、彼にとっての俳優業を聞いた。

高良健吾インタビュー『自分がどういう人間なのかわからない』


◆“死”に近い役が続いた時期は苦しかった

 デビュー10年目に出会った『悼む人』では、他者の死と向き合うことで自分の生きる道を模索する、まさに高良が演じるにふさわしいと思わせる難役に挑んだ。そんな役を演じるにあたってなにを考え、また自分自身にどんな影響があったかを聞くと、心の声を絞りだすように答えてくれた。

「案外自分のことって、自分以外の人が浮き彫りにしてくれるものなのかもと思います。僕は自分がどういう人間なのか、わからないんです。この仕事をするようになって、自分が“NO!”と思っていたことを肯定しなきゃいけない役が多かったからかも知れません。例えば『罪と罰 A Falsified Romance』(2012年/WOWOW)をやったときとかはしんどくて。なぜ人は人を殺しちゃいけないのか? って、普段なら全く考える必要のないことを、毎日真剣に悩んでいました。役のせいで、考えなくていいことをたくさん考えて、自分と向き合う時間が多くなると、自分の嫌な部分もたくさん見えてくる。だから正直、自分自身についてはもう本当に興味がないというか。寂しいことだけど(苦笑)。でも役に完璧になり切れるとも思わないし、自分の体を通るからには、自分自身も役に表れていると思う。役の感情が自分の人格に影響しているとも思います。そういう意味では、自己紹介って自分の作品を観てもらうことだったりもすると思う」

 一つひとつの質問に真剣に耳を傾け、真摯に向き合う高良。俳優という果てしない旅の途中でさまざまな作品に出会い、今10年目に到達した。

「またここから11年、12年目へと続いていくと思っています。役のせいで、とばっかり考えていた時期もあったけれど、逆に役のおかげでということもたくさんある。“死”に近い役が続いて、ずっと死について考えていた頃は苦しかったけれど、ちゃんと向き合ったと思うし、役に学ばせてもらって、評価されたこともあったと思う。あの時間があったからこそ、今がある。だから自分と向き合うことは苦しい作業だけれど、自他がなくなるギリギリまで知っていかないと、と思います。昔は、知らないことが武器だと思っていたけれど、それは違う。ずっと知らないままだと、衰えていく。今は、いろんなことに気づいていきたいって思っています。自分で選んだこのやり方で、ブレずにやり続けていければ、大丈夫だと思う(笑)」

◆ふわっと全体が見えるような状態が落ち着く

 そんな高良の節目の年の作品のひとつが、現在放送中のNHK大河ドラマ『花燃ゆ』。すでに名前は世に広く知られ、多くの作品に出演しているが、本人の内面的にも、俳優としての立ち位置としても、俳優・高良健吾をさらに次のステップへと導くきっかけになるのかもしれない。

「(『花燃ゆ』も)がんばっています(笑)。これから10話以降、事件が起きて、もっと楽しくなっていきますよ! 『悼む人』もそうですが、昨年出会った作品は『きみはいい子』(呉美保監督/初夏公開予定)も『花燃ゆ』も、ずっと試してきたことが何らかの形になりはじめているのか、今までにない感触がありました。これまでとは違う僕を観ていただけるんじゃないかなと、自分では思っているんですけどね(照笑)」

 この先も歩み続けていくだろう俳優としての道。10年目の新たな一歩を踏み出す今の心境は?

「新しい自分を見つけようと思いますし、自分から出会いにいかなきゃいけないんだと思う。だから、いつでも行ける準備はしています。だけど、普段こそ、こう(前のめりに)なり過ぎちゃダメっていうか。こうなるのは仕事の現場だけでいいなって。それは意識しています。きれいごとって言われたらそれで終わっちゃうんですけど、偏見なく、ちゃんと心で感じられたら、ストレスってないですから。いろいろ目だけで見ていると、考え過ぎて疲れますし。普段はなるべく、ふわっと全体が見えるような状態が、いちばん落ち着くなあって」



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