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ヒット映画に“夕日”あり 映画ポスターを読み解く

 今月8日に公開された映画『トワイライト ささらさや』。初日から2日間で動員8万2140人、興行収入1億836万6000円をあげ、興行通信社による全国映画動員ランキングで初登場1位となった。出足好調の理由は、主演の新垣結衣大泉洋をはじめとするキャストの演技、深川栄洋監督の演出やシナリオ(山室有紀子氏と共同執筆)、赤ちゃんのかわいらしさなど、いろいろ考えられるが、劇場に掲出されているポスターも見逃せない。美しい夕日が目に留まり、思わず立ち止まった人も多いのではないだろうか。

『ALWAYS 三丁目の夕日』のポスターを手がけたイラストレーター・村田篤司氏が描いた映画『トワイライト ささらさや』(公開中)の手描きポスター(C)2014 「トワイライト ささらさや」製作委員会

『ALWAYS 三丁目の夕日』のポスターを手がけたイラストレーター・村田篤司氏が描いた映画『トワイライト ささらさや』(公開中)の手描きポスター(C)2014 「トワイライト ささらさや」製作委員会

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 同作では、大ヒット映画『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズ、『みんなのいえ』なども手がけたイラストレーターの村田篤司氏にポスター制作を依頼。制作期間に2ヶ月を要したという手描きポスターは、公開2週間前から全国の劇場で掲出された。

 村田氏は同作のポスター制作に当たり、「ストーリーを知らない観客がこの映画を感じる手がかりとして、登場人物の表情やまなざし、身振り、またモチーフや背景を描きますが、この中で優しさや寂しさや希望といった心の状態を表す要素として夕日の色合いがとても重要でした」と明かす。

 夕日といってもコバルトブルーや紫、オレンジや赤と無限に色があるが、「寂しいイメージではなく、優しい気持ちになるような色にしたいという希望がありました。また、この作品は、主人公がささら町の住人や亡き夫に見守られながら成長していく話であり、女性の心が主体になると思いましたので、トワイライト=優しい色としてピンクをイメージしました」と解説する。

 そもそも映画ポスターは集客するためのものであり、人の目に留まるものを作らなければならない。好みや興味は人それぞれ、人によって目に留まるものとそうでないものがあるのも当然だが、美しい夕日は、実景であれ、写真であれ、イラストであれ、誰もがつい目を留めてしまう何かがあるようにも思える。

 映画のヒットと“夕日”を結びつける例がほかにもある。夕日バックのポスターが印象的だった『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』(4月19日公開)はシリーズ22作目で史上3番目となる興行成績(18.2億円)をあげ、マーケティング戦略に長けたディズニーは新作映画『ベイマックス』(12月20日公開)で、日本向けだけに夕焼けを描いたポスターを制作した。

 村田氏は「夕日の美しさは喪失感にあると思っています」とその魅力を語る。

 「私たちは夕方の空に欠けてしまったもの、失ってしまったものだからこそ、いっそう輝く大切なものを感じてしまうように思います。この喪失感は必ずしも年齢を重ねることだけで起こる傷みでなく、その人その人の出会いにより、若くして遭遇する可能性のある感覚だと思います。“美しさ”、これはけっしてとどまってはいない。夕日はこのことを毎日毎日最高の輝きで私たちに教えてくれ、ある意味では朝日以上に『より良く生きなさい。』と伝えてくれているのではと感じています」。

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  • 『ALWAYS 三丁目の夕日』のポスターを手がけたイラストレーター・村田篤司氏が描いた映画『トワイライト ささらさや』(公開中)の手描きポスター(C)2014 「トワイライト ささらさや」製作委員会
  • 映画『トワイライト ささらさや』(公開中)の実写ポスターも夕焼けです(C)2014 「トワイライト ささらさや」製作委員会

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