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新垣結衣主演作は「人情喜劇」 深川監督も新境地

 女優・新垣結衣と俳優・大泉洋が初共演で夫婦を演じ、新垣が初の母親役で新境地を魅せると話題になっている映画『トワイライト ささらさや』(11月8日公開)。概ねは「世にも切ない夫婦の愛の物語」との触れ込みだが、メガホンをとった深川栄洋監督は本作で「人情喜劇というものをやってみたかった」と話している。

最近めっきり減った喜劇の手法でつくった映画『トワイライト ささらさや』の深川栄洋監督(右)と出演の大泉洋(左)(C)2014「トワイライト ささらさや」製作委員会

最近めっきり減った喜劇の手法でつくった映画『トワイライト ささらさや』の深川栄洋監督(右)と出演の大泉洋(左)(C)2014「トワイライト ささらさや」製作委員会

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 同作は、2001年に幻冬舎から出版された加納朋子氏のファンタジーミステリー小説『ささら さや』(幻冬舎文庫)が原作。突然の事故で夫・ユウタロウ(大泉)を失ったサヤ(新垣)は、生まれたばかりの息子を抱え、不思議な町“ささら”で新しい生活を始める。成仏できない夫はいろいろな人に乗り移って妻を助け、そうしたいくつかの“奇跡”に支えられながらサヤが母親として成長していく姿が描かれる。

 同作を企画した石田雄治プロデューサーが原作小説に出会ったのは今から9年前。当初、ストレートな感動作を作ろうとしたが、試行錯誤した結果、映画化が一度見送られた経緯がある。そして、2年前に「今の時代にこそ、笑いと涙が同居した心の温かくなる優しい映画を作りたい」との思いから映画化に向けて再始動。監督として白羽の矢が立ったのが、『60歳のラブレター』(09年)、『神様のカルテ』(11年、14年)などの深川監督だった。

 深川監督と山室有紀子氏が共同で脚本を練り上げる中で、一児の母でもある山室氏の母親としての視点と、原作には全く描かれていないユウタロウと父親の関係性を映画オリジナルのエピソードとして付け加え、物語の後半は思いもかけない“オチ”に向かって進んでいく。ユウタロウの職業を落語家にしたのも深川監督のアイデアで、この映画全体が一つの新作落語のようにも見えるのだ。

 深川監督がやってみたかっという喜劇だが、単純に笑えるものだけが喜劇ではない。「笑いの裏には悲しみや哀愁がある、というものが喜劇なんじゃないかな」と深川監督。続けて「冒頭で(ユウタロウが)『私はこの世の人間ではない』と笑顔で言っている裏に、何か哀しいものが潜んでいて、それがだんだん炙り出されていく感じが出せれば喜劇になるんじゃないかと思った」と話した。

 誰にでも訪れる大切な人との別れ、それは死別だったり、気持ちのすれ違いだったり、そういったものとも向き合いながら、それでも人生を生きていく。同作に登場するサヤもユウタロウも、そして、ささらの町の人々もそれぞれに哀しみを抱えながらも懸命に生きている。俳優陣も真剣に演じている。その姿が傍から見るとどこかおかしみを感じさせる。同作で新境地を開いた深川監督には、笑いと涙を含ませた喜劇をまた撮ってほしい。

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  • 最近めっきり減った喜劇の手法でつくった映画『トワイライト ささらさや』の深川栄洋監督(右)と出演の大泉洋(左)(C)2014「トワイライト ささらさや」製作委員会
  • 映画の入り口と出口は落語の高座(C)2014「トワイライト ささらさや」製作委員会
  • サヤ(新垣結衣)とユウタロウ(大泉洋)が祝言をあげるシーン(C)2014「トワイライト ささらさや」製作委員会
  • 映画『トワイライト ささらさや』より。トラックにひかれて死んでしまったユウタロウ(大泉洋)は成仏できず、自分の葬儀会場に現れる(C)2014「トワイライト ささらさや」製作委員会
  • 映画『トワイライト ささらさや』より。母親として強く成長していくサヤを熱演した新垣結衣(C)2014「トワイライト ささらさや」製作委員会

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