2013年もいよいよ年の瀬。今年も多数のドラマや映画、CMが注目を浴び、多くの女優が目立った活躍を見せた。そこで、女優評論家の高倉文紀氏に今年を彩った女優をジャンル別に挙げてもらい、ドラマ・映画・CMそれぞれの大賞を決めてもらった。
――ドラマ部門――
■最優秀主演女優賞
【能年玲奈】
作品:『あまちゃん』(NHK)
「ドラマが大ヒットした要因は、間違いなくヒロインの能年さんがハマっていたこと。そして、全国の視聴者に愛されたことが大きい。宮藤官九郎さんの脚本の意図を的確に理解して演じ、コメディエンヌとしての才能も発揮していた。彼女が演じた天野アキは、おっとりしているが明るくて積極的な性格で表現が難しい役。朝ドラ出演前から、本人に取材しているが、素顔の彼女もドラマと同じ要素を兼ね備えていた。だからこそ、ナチュラルに演じられたと思う」
「そのほか、主演で言うと『Woman』(日本テレビ系)での満島ひかりさんの演技も印象的でした。視聴者を引き込む力を持つ演技派女優として、連ドラ人気が今後復活するためには、欠かせない女優になるはず」
■最優秀助演女優賞
【上戸彩】
作品:『半沢直樹』(TBS系)
「特に男性視聴者の間で、上戸さんが演じた主人公の奥さんのけなげで献身的な姿が共感を呼んでいた。彼女の演技力があったからこそ、温かさがあって好感が持てる人物に仕上がった。まさに助演に相応しい活躍。女優としてのキャリアを考えると、10代の代表作が『3年B組金八先生』なら、20代の代表作は『半沢』と言える」
「『クロコーチ』(日本テレビ系)での剛力彩芽さんも好助演には、敢闘賞をあげたい。2013年は『ビブリア古書堂の事件手帖』(フジテレビ系)の主演からはじまり、女優として着実に成長を見せていた」
■急上昇女優賞
【土屋太鳳】
作品:『真夜中のパン屋さん』(NHK)
「ストーリーの中心を引っ張った、主演の滝沢秀明さん、パン職人役の関西ジャニーズJr.・桐山照史さんとの3人のバランスが絶妙。彼女が注目を集めるきっかけになった『鈴木先生』(テレビ東京系)でも凛とした存在感を見せていたが、この『真夜中のパン屋さん』で、さらにヒロインの風格を持つ演技派の次世代女優としてアピールできた。クラシカルなたたずまいが魅力的な女優で、来年に2部作連続公開となる映画『るろうに剣心 京都大火編』『〜 伝説の最期編』での活躍も期待される」
――映画部門――
■最優秀主演女優賞
【前田敦子】
作品:『もらとりあむタマ子』『クロユリ団地』
「AKB48卒業後は、予想以上に女優として順調な道のりを歩んでいる彼女。『クロユリ団地』ではホラー映画に挑戦し、表情の変化に演技力の進境を見た。『もらとりあむタマ子』は、ぐうたらしている主人公というAKB時代のイメージとは全く違なる役を違和感なく自然に演じていた。公開前のインタビューでは、『私自身は、家でぐうたらしない』と断言していただけに、自身と異なる役を自然に見せる演技力を身につけた印象が強い」
■最優秀助演女優賞
【吉高由里子】
作品:『横道世之介』
「お嬢様育ちという設定の役を好演。切ない物語のなかで、彼女の爽やかな存在感がアクセントになっていた。来年春からは朝ドラ『花子とアン』に主演するので、どのような新しい魅力を見せてくれるのかも注目」
「また、大ヒットした『風立ちぬ』での瀧本美織さん、『かぐや姫の物語』で主人公を演じた朝倉あきさん。今年公開のジブリ映画2本で声優をつとめた2人も、豊かな感情表現を発揮していた。かつては朝ドラ『てっぱん』で親友役として共演していたが、お互い演技力と好感度の高い女優として、今後も活躍できるはず」
■急上昇女優賞
【川口春奈】
作品:『絶叫学級』『マダムマーマレードの異常な謎』
「主演ドラマでは視聴率が伸び悩んだが、彼女自身は映画でも主演として大きく成長を見せた1年。主演向きのオーラを持ち、映像に映えるのが彼女の魅力です。今年公開された主演作は、ホラーとミステリー系でしたが、今後は恋愛の要素を秘めた作品でも活躍できそう」
――CM部門――
■最優秀主演女優賞
【本田翼】
作品:「C1000レモンウォーター」「ピタットハウス」「JR SKI」「アフラック」ほか
「久々に登場したCMから人気に火がついた若手女優として、大きな注目を集めた。『JR SKI』のCMでのキュートな存在感もインパクトがあったが、『C1000レモンウォーター』や『アフラック』のように、ちょっととぼけたマイペースな役柄もよく似合う点が、彼女の個性とも言える。ビジュアルの魅力だけでなく、親しみやすくて、視聴者と同じ目線で演じられることも、引っ張りだこになっている理由でしょう」
■最優秀助演女優賞
【島崎遥香】
作品:「アサヒWONDA」「ドコモ」ほか
「AKBの若手メンバーとして人気を伸ばしただけでなく、複数のCMで準主役のポジションで持ち味を出していた。アサヒWONDA『ICカード』編では、ドジなOLを好演、同じくWONDAの『名画』編ではムンクの『叫び』に挑戦するなど、目を引かれた視聴者も多かったはず」
■急上昇女優賞
【有村架純】
作品:「フロム・エー ナビ」「ほっともっと」「ABCマート」「伊藤園」ほか
「今年最もCMが急増した若手女優。『あまちゃん』発の話題の女優を起用したい…という企業のニーズに、いろんな形で応えられる、多彩な表情の魅力を持っていたことが活躍の要因の一つ。同性にも好かれる愛らしさと透明感のあるフレッシュさは、起用する企業にとってもメリットが大きかった。彼女は所属事務所のオーディションに一度落ちたものの、与えられた課題にきっちり取り組んで、1年後にようやく所属が決まったという“雑草育ち”の女優で、地道に力をつけてきた背景もあり、息の長い活躍が期待できる」
※高倉文紀
プロフィール:女優評論家。雑誌『日経エンタテインメント!』『girls』などで女優やアイドルの取材・分析を手がけるほか、週刊誌やテレビ番組のコメント、企画協力も展開。アーキテクト「タレントパワーランキング」のホームページでは、注目の女優を紹介する『月刊ニッポン女優総研リポート』を連載中。
http://www.talentsearch.jp
――ドラマ部門――
■最優秀主演女優賞
【能年玲奈】
作品:『あまちゃん』(NHK)
「ドラマが大ヒットした要因は、間違いなくヒロインの能年さんがハマっていたこと。そして、全国の視聴者に愛されたことが大きい。宮藤官九郎さんの脚本の意図を的確に理解して演じ、コメディエンヌとしての才能も発揮していた。彼女が演じた天野アキは、おっとりしているが明るくて積極的な性格で表現が難しい役。朝ドラ出演前から、本人に取材しているが、素顔の彼女もドラマと同じ要素を兼ね備えていた。だからこそ、ナチュラルに演じられたと思う」
「そのほか、主演で言うと『Woman』(日本テレビ系)での満島ひかりさんの演技も印象的でした。視聴者を引き込む力を持つ演技派女優として、連ドラ人気が今後復活するためには、欠かせない女優になるはず」
■最優秀助演女優賞
【上戸彩】
作品:『半沢直樹』(TBS系)
「特に男性視聴者の間で、上戸さんが演じた主人公の奥さんのけなげで献身的な姿が共感を呼んでいた。彼女の演技力があったからこそ、温かさがあって好感が持てる人物に仕上がった。まさに助演に相応しい活躍。女優としてのキャリアを考えると、10代の代表作が『3年B組金八先生』なら、20代の代表作は『半沢』と言える」
「『クロコーチ』(日本テレビ系)での剛力彩芽さんも好助演には、敢闘賞をあげたい。2013年は『ビブリア古書堂の事件手帖』(フジテレビ系)の主演からはじまり、女優として着実に成長を見せていた」
■急上昇女優賞
【土屋太鳳】
作品:『真夜中のパン屋さん』(NHK)
「ストーリーの中心を引っ張った、主演の滝沢秀明さん、パン職人役の関西ジャニーズJr.・桐山照史さんとの3人のバランスが絶妙。彼女が注目を集めるきっかけになった『鈴木先生』(テレビ東京系)でも凛とした存在感を見せていたが、この『真夜中のパン屋さん』で、さらにヒロインの風格を持つ演技派の次世代女優としてアピールできた。クラシカルなたたずまいが魅力的な女優で、来年に2部作連続公開となる映画『るろうに剣心 京都大火編』『〜 伝説の最期編』での活躍も期待される」
――映画部門――
■最優秀主演女優賞
【前田敦子】
作品:『もらとりあむタマ子』『クロユリ団地』
「AKB48卒業後は、予想以上に女優として順調な道のりを歩んでいる彼女。『クロユリ団地』ではホラー映画に挑戦し、表情の変化に演技力の進境を見た。『もらとりあむタマ子』は、ぐうたらしている主人公というAKB時代のイメージとは全く違なる役を違和感なく自然に演じていた。公開前のインタビューでは、『私自身は、家でぐうたらしない』と断言していただけに、自身と異なる役を自然に見せる演技力を身につけた印象が強い」
■最優秀助演女優賞
【吉高由里子】
作品:『横道世之介』
「お嬢様育ちという設定の役を好演。切ない物語のなかで、彼女の爽やかな存在感がアクセントになっていた。来年春からは朝ドラ『花子とアン』に主演するので、どのような新しい魅力を見せてくれるのかも注目」
「また、大ヒットした『風立ちぬ』での瀧本美織さん、『かぐや姫の物語』で主人公を演じた朝倉あきさん。今年公開のジブリ映画2本で声優をつとめた2人も、豊かな感情表現を発揮していた。かつては朝ドラ『てっぱん』で親友役として共演していたが、お互い演技力と好感度の高い女優として、今後も活躍できるはず」
■急上昇女優賞
【川口春奈】
作品:『絶叫学級』『マダムマーマレードの異常な謎』
「主演ドラマでは視聴率が伸び悩んだが、彼女自身は映画でも主演として大きく成長を見せた1年。主演向きのオーラを持ち、映像に映えるのが彼女の魅力です。今年公開された主演作は、ホラーとミステリー系でしたが、今後は恋愛の要素を秘めた作品でも活躍できそう」
――CM部門――
■最優秀主演女優賞
【本田翼】
作品:「C1000レモンウォーター」「ピタットハウス」「JR SKI」「アフラック」ほか
「久々に登場したCMから人気に火がついた若手女優として、大きな注目を集めた。『JR SKI』のCMでのキュートな存在感もインパクトがあったが、『C1000レモンウォーター』や『アフラック』のように、ちょっととぼけたマイペースな役柄もよく似合う点が、彼女の個性とも言える。ビジュアルの魅力だけでなく、親しみやすくて、視聴者と同じ目線で演じられることも、引っ張りだこになっている理由でしょう」
■最優秀助演女優賞
【島崎遥香】
作品:「アサヒWONDA」「ドコモ」ほか
「AKBの若手メンバーとして人気を伸ばしただけでなく、複数のCMで準主役のポジションで持ち味を出していた。アサヒWONDA『ICカード』編では、ドジなOLを好演、同じくWONDAの『名画』編ではムンクの『叫び』に挑戦するなど、目を引かれた視聴者も多かったはず」
■急上昇女優賞
【有村架純】
作品:「フロム・エー ナビ」「ほっともっと」「ABCマート」「伊藤園」ほか
「今年最もCMが急増した若手女優。『あまちゃん』発の話題の女優を起用したい…という企業のニーズに、いろんな形で応えられる、多彩な表情の魅力を持っていたことが活躍の要因の一つ。同性にも好かれる愛らしさと透明感のあるフレッシュさは、起用する企業にとってもメリットが大きかった。彼女は所属事務所のオーディションに一度落ちたものの、与えられた課題にきっちり取り組んで、1年後にようやく所属が決まったという“雑草育ち”の女優で、地道に力をつけてきた背景もあり、息の長い活躍が期待できる」
※高倉文紀
プロフィール:女優評論家。雑誌『日経エンタテインメント!』『girls』などで女優やアイドルの取材・分析を手がけるほか、週刊誌やテレビ番組のコメント、企画協力も展開。アーキテクト「タレントパワーランキング」のホームページでは、注目の女優を紹介する『月刊ニッポン女優総研リポート』を連載中。
http://www.talentsearch.jp
コメントする・見る
2013/12/30