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【前編】堺雅人、トレードマーク“微笑み”は無意識「決め顏じゃない」

 俳優・堺雅人主演、妻を殺された男とその犯人を軸に展開する映画『その夜の侍』(公開中)の赤堀雅秋監督と堺がORICON STYLEで初対談を行った。劇中の堺演じる主人公の顏には終始葛藤と失望感が広がっており、映画デビュー当時に“小劇界の貴公子”と呼ばれ、以降定着した「微笑み=堺」というパブリックイメージは微塵もない。初監督作にして人気俳優のオーラを消し去ったのは才能なのか、それとも俳優の意地なのか。2人が本音を語り合う。

自身のトレードマーク「微笑み」は無自覚だったと語る堺雅人(左)と赤堀雅秋監督 (写真:鈴木一なり)

自身のトレードマーク「微笑み」は無自覚だったと語る堺雅人(左)と赤堀雅秋監督 (写真:鈴木一なり)

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―― 今回は劇団『THE SHAMPOO HAT』の戯曲の映画化ですが、ご自身が演じられた主人公に堺さんを起用された理由をお聞かせください。

【赤堀】キャスティングは毎回難航するんです。僕が描くのは“ザ・凡庸”という人物で、タレント名鑑を片っ端から探しても見当たらない。どうしたって皆さん華があるし、毒もあって、色気もある…。そんな時に、ご縁があって居酒屋で堺さんとご一緒したんです。端っこの光の当たらないところに座っていらして。

【堺】華がなかったんでしょう、きっと(笑)。

【赤堀】いやいや(笑)。ただ、その時に感じた堺さんの木訥(ぼくとつ)とした雰囲気を僕なりに引き出せたらと。すぐにプロデュサーに相談しました。

―― これまでの堺さんのイメージとはかけ離れた役でしたが、出演を決めた理由はなんですか?

【堺】 特に何も。僕は何でもやりたいし、きっかけのようなものはないです。ただ、今回は脚本が圧倒的に面白かった。

――堺さんといえば、2000年の映画デビュー当時に“小劇界の貴公子”というキャッチフレーズがありました。現在も感情を内包したさまざまな笑顔が印象的ですが、徹底して笑わない今回の役にギャップはありましたか?

【堺】そこについては色々言いたいこともあるし、元々そんな風に呼ばれてもないからね(笑)。まず、自分が“笑っている俳優”とか“決め顏は笑顔”とか、そんな意識は全くなくて。きっと周囲もそう捉えている人は少ないんじゃないかな。

【赤堀】ハハハ。これまで幾つか取材を受けて、この作品の記事を拝見すると「微笑み封印」とか書いてありますけど、僕が封印したわけでもなければ、堺さんが意図したものでもない。役者が一つの役を演じれば、当たり前ですけど唯一無二の「顔」になるわけです。

【堺】僕自身は(作品が公開された)結果、周囲から見て「いつもの堺とは違うね」でも「同じだね」でも、どちらでも嬉しいです。

 町の小さな鉄工所で日々働く男が、ある日妻を殺される。平凡だった男が犯人への復讐に全てを捧げ、社会との関わりを見失い、生活の輪郭を崩していく…。犯人役に山田孝之を迎え、綾野剛、谷村美月らが出演する映画『その夜の侍』は現在公開中。

 映画『その夜の侍』

 堺雅人がポケットからブラジャー!? 野次馬をねじ伏せたロケ現場に迫る

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  • 他界した妻が、片づけ忘れた洗濯物に顔をうずめる主人公 (C)2012「その夜の侍」製作委員会
  • 土砂降りのなか妻を殺された男と犯人が初めて出会う (C)2012「その夜の侍」製作委員会

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