■“浪花のおかん”と言うけれど
底抜けに明るくてノリが良く、買い物は必ず値切り、豹柄ファッションのおばちゃん。口から出るのはがらの悪い大阪弁。“浪花のおかん”といえば、こんなイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。
優しくて、ほんわかやわらかに周りを包み込み、ときにはきっぱりと。こんな雰囲気を醸す大阪弁ならではのしゃべり。戦後の人気ラジオドラマ『アチャコ青春手帳』で、今とは違う“ほんま”の“浪花のおかん”を演じたのが、女優・浪花千栄子(1907-73)でした。
亡くなってから40年近くたった現在では「知らないよ」という方も多いことでしょう。昭和のイメージが色濃く残るコレクションアイテムのホーロー看板。傷薬のオロナイン軟膏を手にして、にっこり笑っている着物姿のおばちゃん。あの人が浪花千栄子です。
昭和初期、市川右太衛門や市川百々之助らの映画に出演、その後は舞台俳優に転じ、渋谷天外らが創設した松竹新喜劇の看板女優として活躍しました。私生活でも天外とは夫婦でしたが、昭和26年に劇団を去ることになります。天外が後輩女優との間に子どもを作り、離婚に追い込まれたのです。
表舞台から消えて失意の中で暮らしたあと、ふたたびよみがえったのが「アチャコ青春手帳」で演じたアチャコの母親役。実際にはアチャコより10歳年下でしたが、頼りない大学生役のアチャコを支える母の姿を、温かい大阪弁でうまく演じ、共感を呼んだのです。
ところで、浪花千栄子の本名は、南口キクノ。ナンコウキクノと読みます。オロナイン軟膏の宣伝にはピッタリですね。
「吉本百年物語」9月公演〜焼け跡、青春手帖〜より
(次回掲載は9月15日)文・前田憲司
「吉本百年物語」(1)吉本発祥のナゾ
「吉本百年物語」(2)漫才と落語
「吉本百年物語」(3)東京の吉本
「吉本百年物語」(4)慰問演芸団で中間搾取?
「吉本百年物語」(5)惚れて惚れられ ワカナ・一郎
「吉本百年物語」(6)戦死した芸人のこと
底抜けに明るくてノリが良く、買い物は必ず値切り、豹柄ファッションのおばちゃん。口から出るのはがらの悪い大阪弁。“浪花のおかん”といえば、こんなイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。
優しくて、ほんわかやわらかに周りを包み込み、ときにはきっぱりと。こんな雰囲気を醸す大阪弁ならではのしゃべり。戦後の人気ラジオドラマ『アチャコ青春手帳』で、今とは違う“ほんま”の“浪花のおかん”を演じたのが、女優・浪花千栄子(1907-73)でした。
昭和初期、市川右太衛門や市川百々之助らの映画に出演、その後は舞台俳優に転じ、渋谷天外らが創設した松竹新喜劇の看板女優として活躍しました。私生活でも天外とは夫婦でしたが、昭和26年に劇団を去ることになります。天外が後輩女優との間に子どもを作り、離婚に追い込まれたのです。
表舞台から消えて失意の中で暮らしたあと、ふたたびよみがえったのが「アチャコ青春手帳」で演じたアチャコの母親役。実際にはアチャコより10歳年下でしたが、頼りない大学生役のアチャコを支える母の姿を、温かい大阪弁でうまく演じ、共感を呼んだのです。
ところで、浪花千栄子の本名は、南口キクノ。ナンコウキクノと読みます。オロナイン軟膏の宣伝にはピッタリですね。
「吉本百年物語」9月公演〜焼け跡、青春手帖〜より
(次回掲載は9月15日)文・前田憲司
「吉本百年物語」(1)吉本発祥のナゾ
「吉本百年物語」(2)漫才と落語
「吉本百年物語」(3)東京の吉本
「吉本百年物語」(4)慰問演芸団で中間搾取?
「吉本百年物語」(5)惚れて惚れられ ワカナ・一郎
「吉本百年物語」(6)戦死した芸人のこと
2012/09/12