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音楽シーンで振り返る“平成” 際立つビーイングの存在感

 2018年、平成最後の年の音楽シーンの一大トピックは、平成の歌姫、安室奈美恵の引退劇だった。国民の関心事に発展したことで、ベストアルバム『Finally』は241.3万枚、80万人を動員したラストツアーを収めたライブ映像は175.3万枚(DVD・BD合計)を売り上げる大ヒットを記録した。各メディアで特集が組まれ、25年の軌跡を振り返るなかで、90年代に巻き起こった彼女のファッションを真似た“アムラーブーム”にも注目が集まった。また今年は、90年代のユーロビートナンバーのカバー曲「U.S.A.」を歌ったDA PUMPも再ブレイク。“ダサかっこいい/U.S.A.」が流行語大賞にノミネートされるほどの盛り上がりを見せるなど、何かと90年代がクローズアップされた1年となった。

音楽とカラオケがコミュニケーション・ツール、場として、生活に溶け込んでいた90年代

 バブル経済崩壊後、90年代の音楽シーンには、空前のCDバブルが到来した。トレンディ・ドラマ主題歌やCMソングが広く注目を集めたことに加え、80年代後半から急速にカラオケボックスが全国に普及したことで、カラオケ人口が爆発的に増加。それらが相乗効果となり、ミリオンヒットの量産につながっていった。それまで、夜の酒場や宴会場などで、主にサラリーマン世代が楽しむものだったカラオケは、とくに若い世代の間で、学校帰りや休日に楽しめる手軽な娯楽として急速に広がっていった。

 ヒット曲は、ただ受動的に聴くだけのものではなく、能動的に歌って楽しむもの、という側面がより強まり、人々は新曲のCDを購入したりレンタルしたりして覚え、こぞってカラオケボックスに通った。音楽とカラオケが、仲間内のコミュニケーション・ツール、場として、生活に溶け込んでいた時代である。

90年代半ばヒットチャートを独占した二大勢力“ビーイング”と“小室ファミリー”

 その90年代ヒットシーンを語るうえで欠かせないのが、“ビーイング”と“小室ファミリー”の二大勢力である。前者は、長戸大幸率いる音楽プロダクション・ビーイング所属アーティストの総称で、後者は音楽プロデューサーの小室哲哉がプロデュースまたは楽曲提供したアーティストの総称である。前出の安室奈美恵は、この小室ファミリーの一員であった。
 ヒットチャート上位を独占したこの二大勢力のパワーは、90年代の「年間シングルTOP100内にランクインしたビーイング、小室ファミリー 売上枚数の推移」を見れば明白だ。同グラフを見ると、90年、91年では、シングルTOP100内の売上枚数のシェアが8%台だったビーイングは、92年には12.3%に伸長し、93年には34.2%と3分の1を占めるまでになっている。これは、小室ファミリーの最盛期である96年の21.3%をはるかに超えている。同表を見るだけでも、90年代前半におけるビーイング旋風の凄まじさがわかるだろう。
 ちなみに、93年のシングル・アルバムTOP10を見ると、ビーイング関連作品はシングルではTOP10内に6作がランクイン。B’zの2作品「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」(年間2位/193.2万枚)、「裸足の女神」(年間5位/165.3万枚)、ZARDの2作品「負けないで」(年間6位:164.5万枚)、「揺れる想い」(年間9位/139.6万枚)、WANDSの2作「時の扉」(年間7位/144.3万枚)、中山美穂とのデュエット曲「世界中の誰よりきっと」(年間10位/132.6万枚)。TOP10内が全てミリオンヒット作であることからも、当時の音楽シーンの活況ぶりがうかがえる。
 アルバムは年間1位のZARD『揺れる想い』(193.8万枚)を筆頭に、WANDSの2作『時の扉』(年間2位/160.9万枚)、『Little Bit…』(年間10位/84.7万枚)、B’z『FRIENDS』(年間6位/135.6万枚)、T-BOLAN『HEART OF STONE』(年間9位/86.6万枚)の5作がTOP10内に並んでいる。

時代のニーズにフィットしたビーイングのヒット戦略

「愛のままにわがままに〜」「世界中の誰よりきっと」「負けないで」「揺れる想い」…、並んでいるタイトルを見て、お気づきだろうか。前段で、90年代はカラオケ全盛期だったと書いたが、当時のビーイングの楽曲タイトルは、ユーザーが歌う際に楽曲の内容を瞬時に理解しやすいようにと、歌詞の一節をそのままタイトルにしていた。また、自社のレコーディングスタジオを持ち、クリエイター陣を抱えて、24時間体制でデモ楽曲の制作が行われていたため、楽曲ストックも多かった。そのスピード感は群を抜いており、必然的に楽曲発注が集中した。そういった従来のやり方とは異なるヒット戦略を推進したことも、時代のニーズにフィットした要因の一つに挙げられる。
 90年代の終わりと共に、一時期の熱狂は去ったものの、00年代に入っても、ビーイングのアーティストは、折に触れて存在感を示してきた。その筆頭が、長きに亘り日本のロック・シーンの最前線を走り続けるB’z、90年代後半の音楽シーンに颯爽と登場した歌姫・倉木麻衣は、いつの間にかソロシンガーとして円熟期を迎えている。また、常に話題に事欠かないDAIGOがメンバーのBREAKERZも、昨年のバンドデビュー10周年を機に次のステップに進んでいる。

平成最後の年にDAIGOが贈るビーイング大ヒット曲のカバーアルバム

 平成初期のミュージックシーンを席巻したビーイングは、今年11月に設立40周年を迎えた。その記念すべき年に、そして平成最後の年に、時代を彩ったビーイングの大ヒット曲のカバーアルバム(12月5日発売)がリリースされる。新たな命を吹き込むのは、多感な時期にビーイングナンバーを聴いて育ったDAIGOだ。今年、40歳という節目を迎えた彼が、自分と同い年の所属事務所のメモリアルイヤーを祝う。アルバム名は、『Being』ならぬ『Deing』と、なんともビーイング愛に溢れたタイトルになっている。

 本作では、事務所の先輩である、オリジナルアーティストとのコラボレーションも実現している。「離したくはない」(91年)では、森友嵐士(T-BOLAN)、「あなただけ見つめてる」(93年)では大黒摩季、「このまま君だけを奪い去りたい」(93年)では、池森秀一(DEEN)がゲストボーカルとして参加した。T-BOLANは今年活動30周年を迎え、現在アニバーサリーツアーを開催中、活動25周年を迎えた大黒摩季は、8年ぶりのオリジナル・アルバム『MUSIC MUSCLE』を本作と同日に発売、同じく25周年のDEENも今年3月に通算10回目の日本武道館ライブを行うなど、精力的な活動を続けている。DAIGO自身もメジャーデビューから今年15年目を迎えているが、そのキャリアを上回る大先輩の胸を借りて、これまでのイメージとは異なる新たな魅力を振りまいている。

 本作の指揮を執ったのは、ビーイング創設者の長戸大幸プロデューサー。四半世紀の時を経てビーイングのヒットストーリーを再構築した本作は、そういう意味においても意義深い作品なのである。
※文中の売上枚数は18年12/3現在のもの

提供元: コンフィデンス

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