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『刑事ゆがみ』Pが明かす撮影秘話「積極的に怒られること(=挑戦的なこと)をやりにいった」

 浅野忠信が民放連ドラ初主演を飾り、初の刑事役となる神木隆之介と“バディ”を組んだ木曜劇場『刑事ゆがみ』(フジテレビ系)が、17年10月期の“質の高いドラマ”を表彰する『第10回コンフィデンスアワード・ドラマ賞』で「作品賞」を受賞。また、浅野が「主演男優賞」、神木が「助演男優賞」に輝き、7部門中3部門を制した。プロデュースを手がけたフジテレビ・藤野良太氏に、キャスト・スタッフ共に「積極的に怒られること(=挑戦的なこと)をやっていこう」との認識の元で進んだという同作製作の裏側、また、今のテレビドラマ界について語ってもらった。

恋愛ドラマのノウハウを活かして作った刑事ドラマ

――「第10回コンフィデンスアワード・ドラマ賞」で、木曜劇場『刑事ゆがみ』(フジテレビ系)が作品賞を受賞されました。今のお気持ちをお聞かせください。
藤野良太 とても嬉しいです。視聴率的には悔しい思いもしましたが、浅野忠信さん、神木隆之介さんをはじめとするキャストの皆さん、そしてスタッフ1人ひとりが本当に熱い思いを持って挑んでいたので、こういう形で賞をいただくことができ嬉しいです。

――藤野さんといえば、『恋仲』(15年)や『好きな人がいること』(16年)など、ラブストーリーを多く手がけていらっしゃる印象がありましたが、今回は刑事ドラマと、全くタイプの違う作品でしたね。
藤野 そうですね。この数年は、「月9」という枠で若い視聴者にドラマを観てもらうことをずっと考えてきたので、F2(35歳〜49歳の女性)、F3(50歳以上の女性)層を主ターゲットとした「木曜劇場」枠というのは挑戦でした。刑事ドラマを手がけるのも初めてのことでしたし、これまで僕は原作の実写化作品をそんなにやってきていなかったので、最初はかなり模索をしていたんです。でも、主演を務めてくださった浅野忠信さんとの出会いで視界が開けてきたというか。2人のユーモアバディが現代の闇=歪みを見抜いていく、というコンセプトが見えてきた感じでした。

弓神適当(ゆがみゆきまさ)役を演じた浅野忠信 (C)フジテレビ

弓神適当(ゆがみゆきまさ)役を演じた浅野忠信 (C)フジテレビ

――この作品は、良い意味で刑事ドラマらしくない雰囲気がありますよね。
藤野 とある方に相談をさせていただいているうちに、ある時、無理に刑事ドラマをやらなくてもいいんだ、自分のノウハウでやればいいんだ、ってふと思ったんです。例えば、ラブストーリーを作る時にどうしていたかと言うと、ストーリーは全く考えず、この魅力的な2ショットをどう撮るかとか、ラストにこういうシーンを作ろう、っていうことで考えていたんですね。刑事ドラマもそういう考えでいいんじゃないかな?と思っていたところ、ハリウッドの言葉で「良いバディものは、セックスのない恋愛映画のようなものだ」という言葉を見つけて、確信が持てたというか。魅力的なバディを描くことを意識していたような気がします。

キャストの「新しい一面」を引き出すことを意識

――キャストとして最初に浅野さんが決まって、バディの相手を誰にするか?というのは、悩まれたのではないでしょうか。
藤野 ずっと、神木隆之介さんと仕事をしてみたい、と思っていたこともありますが、相手役は端から神木さんだと思っていました。浅野さんに提案したら、「絶対に連れて来てください、神木くんじゃなきゃ成立しないです!」っておっしゃって。そうして神木さんのところにプレゼンに行ったら、驚いたことに即決してくださって、ありがたかったですね。僕が役者さんと向き合う時に心がけているのは、どんなにベテランの方であったとしても、何か「新しい一面」を引き出せないかということ。神木さんに関しては“色気”とか“ワイルド”とか、今まで見たことない神木隆之介さんを作りたいと西谷監督とも話していました。そのオーダーに対して浅野さん、神木さんをはじめ、出演者の皆さんがどんどん付加価値を付けてくださり、またスタッフも乗ってきてくれて、とても良い雰囲気の中で撮影を進めることができました。

弓神の“バディ”となる羽生虎夫役を好演した神木隆之介 (C)フジテレビ

弓神の“バディ”となる羽生虎夫役を好演した神木隆之介 (C)フジテレビ

――お2人の“バディ感”は絶妙でしたね。ユーモアたっぷりのかけ合いも魅力的でしたが、コミカルさという部分は相当意識されていたのでしょうか?
藤野 そうですね。刑事ドラマということは事件が発生するわけで、暗くなりがちな部分をいかにほかのシーンでカバーできるか。コミカルさがあることでいろんな感情が活きてくると思いますし、ドラマとしても面白いんじゃないかと思っていたので、すごく意識しましたね。そもそも、最初に浅野さんと「(今回は)積極的に怒られることをやっていこう」というコンセプトを決めたんです。怒られにいこうというのは、挑戦心を持ってやっていこうという意味で。それはスタッフとも共有していたので、随所に遊び心が散りばめられていたのではないかと思います。

浅野忠信は「話し合いをしながら泣いてしまうくらい熱い」

――特に浅野さんからは、撮影中もたくさんアイデアの提案があったみたいですね。
藤野 浅野さんに初めてお会いした時、「なんで今、テレビドラマに出ようと思ってくださったんですか?」と聞いたら、「今この時代だからこそ、僕のような者がテレビの世界に行くことで、(テレビドラマを)面白くできると思うんだよね」ということを言ってくださったんです。そういう風に覚悟を持って臨んできてくださっていることもあって、ここをこうした方が面白いんじゃないかとか、台本もこういう風にしたら面白いんじゃないかとか、本番ギリギリまで粘り強くアイデアを出してくださったんです。そういう作品への熱が画面に乗って、視聴者の方々にも届いたのかなという風に思います。
  • (C)フジテレビ

    (C)フジテレビ

  • (C)フジテレビ

    (C)フジテレビ

――撮影中のエピソードで特に印象深いものはありますか?
藤野 少年法の話題が盛り込まれた回が第6話にあったんですけど、あの回のラストシーンは浅野さんと何度も議論を重ねました。浅野さん、話し合いをしながら泣いてしまうくらい熱くて、お互い納得の行く議論ができた時には2人とも涙眼になっていたと思います(笑)。本番中も込み上げてくるものがあったみたいで、「弓神って泣くようなキャラじゃないですよね?」って言ったら、「ごめん……」って(笑)。あそこは初めて弓神の感情が溢れ出ていたシーンなんじゃないかなと思います。浅野さんとの作品づくりは本当に刺激的で面白かったですし、鍛えていただいたなと思います。

――視聴者の方からは、「続編を観たい」という声が多く聞かれましたが、そちらに関してはいかがですか?
藤野 連ドラを作る時って毎回そうなんですけど、やっぱり10話で完結させるという気持ちで臨んでいるんですね。その作品の最終話のラストシーンでそのドラマが終わるっていう。今回で言うと、羽生虎夫(神木)という刑事が弓神(浅野)に染まり、弓神になって終わるんですよね。もちろん、その先に何かあるかもしれないですし、描くことはあるかもしれませんが、今現在は燃え尽きています(笑)。

これまで通りのことをやっていてはダメ

  • 木曜劇場『刑事ゆがみ』プロデューサーの藤野良太氏

    木曜劇場『刑事ゆがみ』プロデューサーの藤野良太氏

――「質の高いドラマ」として視聴者と有識者、双方から支持されましたが、一方で視聴率としては、苦戦を強いられた部分もあったかと思います。ネットの普及などでテレビを取り巻く環境はこくこくと変化していますが、今のテレビドラマに関してどのような見方をされていますか?
藤野 非常に厳しい時代だなと思います。これまで通りのことをやっていてはダメで、もう一歩深めていくというか。数あるコンテンツの中からドラマを選んでもらうためには、内容の部分も宣伝の部分も、より深く考えていかなきゃいけないなと感じています。やっぱり、プロデューサーが「これがやりたかったんだよ!」と自信を持って言える作品は、熱がこもっていて伝わる人には伝わる。そういう輪を少しずつ大きくしていくことで、ドラマ全体を盛り上げていきたいですし、フジテレビの復活にも繋げていけたらいいなと思っています。

――藤野さんが次にどんな作品を手がけられるのか、次回作も楽しみにしています。
藤野 「良いドラマ」と言うと言葉は軽いですが、そういう作品というのはやっぱり、何か少しでも目新しさや発見があって、観た人の心に生き続けるような作品だと思っていますので、今後も描いたことのない世界に挑戦していきたいと思います。

提供元: コンフィデンス

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